【R18.BL】水光接天

麦飯 太郎

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16.真実

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 愕然とした華月は、天花と蓮を見比べる。本当に何も知らないというのか、そんなことがあるのかと思ったが、どうやら本当に何も知らないようだ。
 驚きのあまり思わず蓮を指差す。

「嘘……だろ? お前、本当に気付いてないのか? 本当に?? え?? 皆で知らないふりでもしてるんじゃなく? 本気で……嘘だろ。山に籠って神事にも来ないのはただそういうのが苦手なんだと思ったが……まじ??」
「何がでしょう?」

 何を言っているのか皆目見当もつかないというように、蓮が首を傾げる。

「…………え、マジか」
「華月様……苦しい……」

 逃げ出されないように強く抱いていた腕を弛め、天花の頭を撫でる。それは、華月自身を落ち着かせるために思わずした行為だ。

「蓮、お前、人でなくなって何年経つんだ?」
「さぁ、何年でしょう? 千年超えてからは数えていないので……」
「そうか……蓮はとっくの昔に神に格上げされてる」
「…………えぇ!?」

 華月の言葉に、全員が一歩遅れて驚愕の声をあげた。

「いや、神って……蓮が?」

 誰も言葉を発せなかった中で、ようやく恭吾が質問をし、華月はしっかりと頷いた。

「蓮、お前に生命を吹き込んだのが、誰だか知ってるだろ?」
「いえ……その生命そのもののような方としか。生命を吹き込まれてから、すぐに居なくなってしまわれたので殆ど話もしませんでしたし」
「そこからか。巷の誰でも知ってることを、当の本人は知らねぇのか……」
「申し訳ないです……」

 呆れたのは蓮に生命を吹き込んだ神に向けてだったが、項垂れる蓮に華月は焦って言葉を続けた。

「いやいやいや!! 怒ってねぇよ?! ただ、四季の神々は相変わらずクソほど性格悪いってだけだ」
「しきのかみ?」

 そこも知らないのか……と華月は目を瞬かせる。干渉することの難しい山の奥で住んでいるが、それでも誰かが指南したり関与したり出来たのではないかと考えたが、華月自身も何度かここを訪れたのにそんな話にはならなかった。
 きっと百年に一度、誰かの訪問が有るか否かだったのだろう。いや、もしかしたら天狗の長からの文を届けていた華月以外の訪問はなかった可能性もある。
 となると、手紙を渡し、返事を書くまでの間に客間で茶を飲み、受け取ったら出て行っていたので会話は至極少なかった。
 他の妖のことなど、知る由もない。

「……長からの手紙に書いてなかったか?」
「え? はい。手紙には一人だと不便だろうから、鬼の三つ子の孤児を引き取らないかとだけ……」

 そんな所で繋がるとは。確かに妖を知らない蓮が突然、鬼を引き取るなどおかしな話だ。鬼界へのてはずもきっと長がしていたのだろう。溜息を吐きつつ話を戻そうと思い、また天花の頭を撫でた。

「しきがみ、術式の式じゃなくて季節の四季だ。春夏秋冬、それぞれに神が宿ってる。蓮に命を吹き込んだのはその中で一番大人しかったと言われてる冬の神だ。四季神はそれぞれの管轄がはっきりとしているから基本的には関わることはない。でも、唯一、神無月だけは全員で出雲大社に集まるんだけど……冬の神である蓮だけ来ないなぁって言ってたんだよ。あ。俺は神じゃないけど、妖で力がある一族だから世話係で招集されてただけな。で、蓮を呼ぶのかと思ったけど、ちゃんと仕事してるから良いけどって話になってた。それでも、三人の四季神の誰かが蓮に知らせてるとばかり……。アイツらは本当に自分勝手が過ぎる」
「私が……神?」

 未だに信じられない様子の蓮に、思わず華月は笑いかけた。

「そう、それにただの付喪神みたいな神じゃない。四季神はその季節を代表する神だ。だから、冬さえくれば人間の信仰は無くならない。冬を畏れ、冬に感謝し、冬を愛する心は必ず人間に芽生える。その冬そのものが蓮の生命の源だからな。神に死ぬって概念は無いけど、信仰が無くなり消滅することはある。でも四季は無くならないから、四季神は消滅しない。だから、神の中でも格は相当上になる。でも、前の四季神はお前に生命を明け渡した。何故かはしらねぇけど」

 そこまで話すと、恭吾がそっと手を挙げた。

「でも、蓮はずっとここにいるぞ? どこにも行っていない。神としての仕事は出来てないんじゃないか?」
「別に四季神は何するってわけじゎないからな。季節の調整くらいだ。この日本……青森から鹿児島までならどこにいても構わない。北海道と沖縄は古の神々が別に居るから管轄外な。ってことでそこ以外なら移動してもいいし、ずっと同じ場所でもいい。まぁ他の三人の神は移動し続けてるよ。春の神なんて、毎年南から桜の満開場所を巡って北上してるし。人間の宴会場に勝手に混ざってるらしいぞ? で仕事っていう仕事は、冬の神だと多少寒くなり過ぎないように冷気を貯めたり、放ったり、あとはたまに見回りはしてもしなくてもって感じだな。他の四季神もそんなもんだ」
「……だから、私は冷気を溜め込むのですね……」

 腑に落ちたような蓮に、本当に何も知らなかったのだと驚きつつも、ならば教えて貰うこともなく何百年も冬の神として調整し全うしていたことに感嘆の念を覚える。

「神になって何をすればいいんですか?」
「今までと何も変わらないさ。あるとすれば、この山だけじゃなくて、全国各地、自由に行き来できるってこと。詳しくは今度の神無月に他の四季神に聞けば詳しく話してくれるはずだ。神になったのは書物によると五百年、いやあの書物を見たのは百年前か?ってことは六百年以上前から蓮は四季神だな。前の四季神が完全に力を失った時のはずだ。それと、あとは」

 ちらりと腕の中の天花をみる。
 ずっと蓮の話をしていたのに、視線を向けられた天花は首を傾げた。

「四季神の小鬼である天花達三人は、神使になってる」
「神使!?」

 腕の中の天花だけでなく、風花に六花まで驚きの声をあげた。それに驚いた赤子が泣き出しそうになり、三人とも同じように手で口を塞ぐ。
 その仕草が完全に揃っていたので華月は吹き出しそうになりつつ、もう一つ知っている……蓮達の知らないであろうことを口にした。

「あぁ、まだほんの十年位だけどな。あと恭吾はまだ、ただの元人間だけど、あと二百年もすれば四季神から生命を吹き込まれたから、同等の神になるだろうって長が言ってたぞ」

 一気に与えられた情報に、全員の頭が大混乱しているのが分かる。

「蓮が神で……俺も?」
「恭吾さんも?? なんだかお互いが神なんて、信じられないですね」
「神使……私達が?」

 その様子を少し眺めて、五人のざわめきが少し収まってから、また華月が口を開く。

「神使ってのは、大抵が妖か格の低い神が担うもんだ。でも、五十年ちょい前に鬼界の放置された子を四季神が引き取るって言ってる、ってかなり噂になった。引き取るってことは神使にすると公言してるようなもんだからな。だから、神が妖でも神でもない、孤児の鬼子を神使にするなんてって反対もあったけど……蓮、お前結構強引に連れ帰ったろ?」

 皆の視線が一斉に蓮に向けられる。すると蓮は恥ずかしそうに苦笑いをして指先で頬を掻いた。

「だって、三人ともお腹が空いたと泣き出しましたから」
「で、気付いたら鬼界から三人とも居なくなり、四季神の元で育てられてるから鬼界の方も手が出せなくなって、成長するにつれて力も増してしかも神使としての役割全うしてる……だから、誰も何も言わなかった……と」

 話に一区切りがつき、それぞれが考えるように黙り込む。
 天花との格の話をするのに、ここまで説明をしなければならなくなったのは仕方ないとしても、一気増えた情報に混乱するのは無理もない。
 華月自身も色々と話していくうちに、天花とのことで格の問題が無ければ全て上手くいくと思い、焦りすぎたと反省し、落ち着くことができた。
 腕の中の天花の頭を撫でる。
 すると、微かにビクついたように震えた気がした。
 なんと声をかければいいのか思案していると、今度は本格的に赤子が泣き出してしまい、蓮が立ち上がりあやし始めた。

「よしよし、そろそろお腹が空く時間ですね」

 その慈愛に満ちた蓮の表情に、華月は思わず微笑んだ。

「四季神は神使は居ても、伴侶を持つ者はない。それに子を産むなんて、前代未聞だ。でも、お前らなら大丈夫だろ」
「そりゃぁ、もちろん!! 蓮様だからな!!」

 勢いの良い風花の言葉に、腕の中の天花も頷く。
 これもきっと時代の流れの一部なのだろう。こうして少しずつ、前代未聞が普通になり、さらにまた新たな出来事が起こり、それも普通になる。
 この四季神という役も、天狗の里の役も、きっと少しずつ変わる。全てが良いとは限らないそれを判断し、どのように受け入れるのかを決めるのがこれからの長の指名なのかもしれない。

「……天狗の里のこと、天花にしてしまったこと、これからのこと。それを……話したい」

 改めて言うと、警戒を解いていた恭吾と風花はまた顔付きを厳しくした。

「さっきは、その、俺が焦ってたのもあって……婚姻とか言ってしまったけど、いや、もちろん本気だ。でも、その前にきちんと話したい」
「二人にすると思ってんのか? っていうか、天花を離せ」

 怒気を孕んだ風花の言葉が胸に突き刺さる。しかし腕の中の天花を離したくなく、力を込めた。
 すると、天花がようやく口を開いた。

「……あの、ちょっと二人で話したいです……」
「天花!!」
「恭吾、大丈夫です。私は、大丈夫ですから」
「でも!!」
 焦る様な声の恭吾に、天花は何度も大丈夫と伝えた。そして蓮も、赤子を抱きながら恭吾の着物の袖を掴んだ。

「どちらにせよ、もう、遅いです。泊まっていってください。大したおもてなしは出来ませんが、離れの部屋で天花とお話を」
「おい、蓮。でも」
「天花さんが大丈夫だと仰ってるんです。私達はそれを信じましょう」

 そう口では言っているが、蓮の視線は 天花が悲しむことをしたらただでは返さない と言っているようで、思わず背筋を伸ばした。

「蓮……ありがとう」
「いえ。天花さん、華月様を離れの客間にご案内して下さい」
「はい」

 腕の中から抜け出した天花は蓮に頭を下げた。それに倣い、華月も頭を下げる。

「あ!! まだ米も炊いてなかったぁ!! 僕と風花が夕飯を作りますね!」
「え、今日は六花だけだろ」
「人数多いんだから!! 風花も手伝ってよぉ」

 わがままを言うような声を出しながら、六花は風花を引きずるように部屋から連れ出して言ってしまった。
 二人を見送ってから、天花が立ち上がる。

「では、私は華月様をご案内します」

 何と言えばいいのか言葉が出ず、華月も立ち上がりただ頭を深々と下げて部屋を後にした。




 部屋に残された恭吾と蓮、そして蓮に抱かれた赤子はまだグズグズと泣いている。

「……蓮、認めるのか?」

 その言葉に蓮は驚いたように目を開き、そして柔らかく微笑んだ。

「それは天花さん次第ですよ。それに……そもそも天狗の里で修行したいと強く希望したのは天花さんです。きっと考えがあってのことでしょう」
「でも……天花達は蓮の特別だろ? 檻に閉じ込めたり、変な薬焚いたり、許せないことはあるだろ? 天花があいつを好きだろうと、天狗の里で幸せになれると思うか?」
「うぅーん、確かにそうですね。でもそれは華月様がした訳では無いし、その点はきちんと悠月様にご説明頂きましょう」

 再びニコリと笑っているが、先程の微笑みとは違い裏ではちゃんと怒っているのだと恭吾は察した。

「そうだな。その時は、一緒に行こう。この山から出ても良いなら、観光でもしながら」
「そうですね。この子と共に世の中を色々と見るのも楽しいですよね」

 立ち上がった恭吾は蓮の抱く赤子の頬に触れる。父親の顔を確認した赤子は泣きやみ、満面の笑みで小さく暖かい手を伸ばした。
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