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ルクスリア家

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「汚らわしい、なんであなたみたいなのがいるのかしら?」
「おい、なんだお前のその魔法は。ルクスリア家は代々強力な光魔法を得意とする一族だ。なのに、お前と来たら……。二度と私の前で魔法を使うな」
「はぁ~、やはりお前には魔法の才はないようだ。だが、お前のようなものでも我が一族の端くれ、騎士団に落ちたなどと世間に知られるわけにはいかない。無理を通してお前の騎士団に入団させた。活躍は期待していない。せいぜい大人しく過ごすことだ」

「一族の恥さらしが」





「……っ!」


 そこで目が覚めた。


「夢……」


 実家にいた時の嫌な夢を見たせいで少しばかり気分が悪い。


「って、あれ? ここって……」


 目を覚まして飛び込んできたのは見慣れない部屋。


「そうだった。昨日から私の家は第七師団アジトだった」


 第七師団アジトの三階。その一番奥。それが私にあてがわれた部屋だった。
 第七師団のメンバーは全員このアジト内に住んでいる。
 だから、昨日一緒に入団したゼルとヘイヴィアも同じようにアジトに引っ越してきた。


「ちょっと目覚めが悪い……」


 あの夢を見たのは昨日、アルス兄様に会ったからだろう。
 それともう一つ。


「…………」


 私の視線の先、机の上には一通の手紙が置いてあった。
 送り主はお父様。内容は縁談。そして、騎士団を辞めろといったものだった。
 ルクスリア家に生まれたからには政略結婚があるというのはある程度覚悟していた。
 でも、こんなに早く来るなんて思わなかった。
 縁談の話があるのなら、最初から私を騎士団に入れなければよかったのに。なんでまだ入団してから二日しか経ってないこのタイミングで来たのだろうか。
 どうしようかなぁ~。
 正直なところ、騎士団を辞めたいと思っている自分がいる。
 昨日はなんとか生き残れたけど、あんなのが続いてたらいくら命があっても足らない。
 痛いのとか嫌だし。
 結婚して、幸せな家庭を築いた方が私には合ってるのかな~?
 って言っても結婚した後のことなんか想像してもよく分からないんだよね。


「あ~! もう考えるのはやめやめ」


 どうせ急ぎの縁談ならお父様が無理やり連れていくだろうし、そうじゃないってことは相手方がまだ決めかねてるってことかもしれないしね。
 私だけ結婚する気になってて、縁談が白紙になったらその方が嫌だし。
 お父様からの手紙は一旦忘れ、私は寝間着から着替えて姿見を見ながら長い銀色の髪をアップに纏める。


「うん」


 準備バッチリ。
 今日は平和な一日になりますように。
 そう願いながら、私は部屋を出た。


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