ゴブリンでも勇者になれますか?

結生

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会敵

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「た、探偵?」


 あらら。予想外の答えが返って来ちゃった。


「謎を解くのが好きなんだ。古代ミケラ文字も面白そうな謎だったから、解いただけさ」


 いや、そんな暇つぶしみたいな感覚で解けるようなものじゃないですって。


「さてと……この遺跡が古代ミケラ文明のものだとしたら、俺の予想通り、ここに大罪魔法の手がかりがあるかもしれないな」
「え、なんでそんなこと分かるんですか?」
「大罪魔法は本に魔法を封じ込められていると言われているだろ?」
「はい、グリモワールのことですよね」
「そのグリモワールは何も大罪魔法だけじゃない。他の古代魔法もグリモワールとして現存している」
「嘘! グリモワールは都市伝説じゃなかったんですか?」
「実在している。大罪魔法ほどではないが、かなり強力な魔法が多い。だから、これは機密情報で一般人には公開されていない」
「じゃあ、それ私たちに言っちゃダメなんじゃ……」
「問題ない。グリモワールの回収と管理も騎士団の仕事だ。俺が言わなくてもそのうち教えられたはずだ」
「それなら、確かに……」
「でだ、話を戻すが、このグリモワールの技術は古代ミケラ文明が作ったとされている」
「それじゃあ……」
「大罪魔法のグリモワールがここにある可能性は十分にある」
「おお! マジか! テンション上がってきた! 俺が先に見つけてやる!」


 ベルヴェットさんから大罪魔法の存在が示唆されたことによってゼルは興奮し、また一人で遺跡の奥へと突っ走っていく。


「! 待て、ゼル!」


 ベルヴェットさんが制止したがゼルは聞く耳持たずそのまま行ってしまった。


「マズいな……」
「どうしたんですか?」
「古代ミケラ文明は独自の魔法技術を持っていた。だから、それを他の民族たちに奪われないように数多くの罠が仕掛けられている。恐らくこの遺跡も例外じゃない」
「ヤバいじゃないですか!? すぐにゼルを止めないと」


 私たちはゼルが罠にかかる前に急いでその後を追う。


「待って ゼル!」
「ははは! 遅いぞ、マナ! 俺が一番乗りだ!」
「話を聞いて! ここには罠が……!」
「なんだー? 罠が、なんだって?」
「だから! 罠があるんだって!」
「へ?」


 その時だった、一瞬ゼルの足場が少し下がったように見えた。


「あ……」


 その直後、ゼルの足場が抜け、落とし穴となった。
 恐らく罠が作動したのだろう。


「マズい!」


 罠の作動を確認したベルヴェットさんが獣人特有の俊敏性を発揮して、ゼルの元に高速で走っていく。
 そして、そのまま穴に落ちたゼルを助けようとベルヴェットさんも穴に飛び込む。


「っく! 間に合わないっ!」


 ゼルをキャッチしたベルヴェットさんはその後、落とし穴のふちを掴もうとしたがギリギリで届かなかった。


「ゼル! ベルヴェットさん!」


 その後、追撃をするかのように天井から岩が落下してきて、穴を塞いでしまった。


「大変! 二人とも落ちちゃった! どうしよう、ヘイヴィア」


 二人が落ちた穴のすぐ傍に駆け付けるが、穴が塞がれてしまっては助けようにも助けに行けない。


「ヘイヴィア? 聞いてるの? ヘイヴィア!?」


 名前を呼んでも返事がなく気になって後ろを振り返る。
 すると、ヘイヴィアは落とし穴を挟んで反対側の通路の先を見たまま固まっていた。


「一体何が……?」


 ヘイヴィアが何に気を取られているのか、それを確認する為に私はヘイヴィアが向いている方向を見た。
 そこにいたのはスーツ服でビシッと決めた三人組。
 一人は長身で茶髪の青年。恐らく二メートルはあるだろう。
 もう一人は長い金髪の少年。尖った耳から察するにエルフ族だと思う。
 そして、その二人を従えるように中央に立つのは綺麗な蒼色の髪を持つ少女。その額には丸くて赤い石のようなものが埋め込まれていた。


「ヘイヴィア? 知り合い?」


 私はヘイヴィアに問うが、聞こえていないのか無反応だった。


「そのローブを見るに帝国騎士の方々かしら?」


 蒼髪の少女が私たちの格好を見て、そう聞いてきた。


「そう、だけど……。あなたたちは? ここにいるってことは一般人じゃないと思うけど?」


 ヘイヴィアは見た通り使い物にならないので私が代わりに答えた。


「そう。なら、敵ね」
「っ!」


 そう言うなり、彼女は通路を覆うほどの莫大な水を生成し、私たちを襲った。


「私の水に溺れなさい」
「まずい! 早く逃げなきゃ!」


 私は彼女らに背を向け一時撤退しようとするが、ヘイヴィアはその場から動こうとしなかった。


「何やってるの! ヘイヴィア! ……もう!」


 呼んでも返事がないので仕方なく腕を引っ張って大波から逃げる。


「リゼ! 俺だ! ヘイヴィアだ!」


 やっと声を上げたと思ったら、私ではなく、相手の蒼色の髪の少女に向かって叫んでいた。


「ヘイヴィア? 知らない名ね」


 けれど、彼女は知らないと一蹴した。


「なんで……なんで……やっぱり、まだ……」


 忘れられていたことが相当ショックだったのか、ヘイヴィアは分かりやすくうなだれた。


「もう! ヘイヴィア自分で走って! このままじゃ追いつかれちゃう!」
「……リ、ゼ………」


 だめだ。全く聞いてない。
 このままじゃ、飲まれるっ!


「あっ!」
「ぐぶっ!」


 そして、そのまま私たちは膨大な波に飲まれてしまった。
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