世界最強の幼馴染に養われている。

結生

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最強VS.最強

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「わあああああ!!!! 私のアリアとメアリーがドラゴンになっちゃった!?!?」
「お前のではないだろ」
「さぁ、どうする? いくらてめぇがセントラル最強と言っても生物との格が違うぞ」
「いや、でも、これはこれでかっくいいな」
「おい、アタシを無視して勝手に撮影会始めるな!」
「大丈夫だよ。アンリエッタもちゃんと撮ってるから」
「盗撮!? てめぇ、この状況分かってんのか?」


 うん、俺もそれは思ってた。


「紫苑、ふざけてる場合じゃないから。それより、あれなんとかして。そうじゃないとこの辺一帯が荒野と化すから」
「も~分かったよ~」


 少し不満げながらも、紫苑はエルフヘイムの方へと向かった。


「ふん、無駄だ。勝てはしない。あいつはここで死ぬ」
「死ぬ? もしかして、あんた、紫苑の能力を知らないのか?」
「それくらい知っている。あいつの能力は重力操作だろ? 確かに強力だが、所詮人間レベルだ。ドラゴンには勝てん」
「やっぱ分かってないな」


 俺はアンリエッタを抱え、柱を背にして座らせて、紫苑たちの方がよく見えるようにした。


「そこで見てろ。うちの世界最強を教えてやる」
「だから、無駄だと……」
「グギャ!!!」


 アンリエッタの言葉を遮るようにエルフヘイムの悲鳴が響く。


「なに!?」


 俺の方を見ていたアンリエッタはその瞬間を見逃していた。


「エルフヘイムがいない……? あいつも……。どこ行った?」


 さっきまで視界の中にいたエルフヘイムも紫苑もそのどちらも視界から消えていた。


「リプレイを見せてやるよ」


 俺はアンリエッタの前にホログラム映像を映し出す。


「なん、だ……これは」


 アンリエッタに見せたのはついさっき、紫苑がエルフヘイムを殴り飛ばした瞬間だった。


「あいつにここまでの腕力があるとは思えない」
「ま、腕力で殴ったわけじゃないからな。あれは殴った、というか触れた瞬間に重力を上へとかけて殴り飛ばしたように見せかけただけだ」


 本来は触れずとも相手の重力方向を変えるのは容易だ。あれはあいつなりの遊び心みたいなもので、よくやっている。ふざけてるようだが、あれは余裕の表れでもある。


「ここからじゃ、もう見えねぇな。上の映像を映すぞ」


 リプレイ動画を流し終えた後、今度はリアルタイムの映像を映し出す。


「上、だと? ……これは、まさか……!」
「ああ、大気圏外だ」


 映像には綺麗な地球が映し出され、それを背景に紫苑とエルフヘイムが対峙していた。


「あいつは人間だろ!? なぜ宇宙空間で生きていられる!」
「クロエさんに魔法をかけてもらったんだよ。宇宙空間でも生きていられるようにな。その名も“ヴァンパイア・スキン”。あらゆる環境下で生存できるようになる魔法だ」


 アリアとメアリーがドラゴンなの知ってたし、紫苑と戦い始めたら東京どことか日本ごとなくなりそうだったから、とりあえず宇宙で戦う打ち合わせをしていたので、予めクロエさんに魔法をかけてもらうように頼んだのだ。


「っち、あの吸血鬼、そんなことまで出来たのか。だが、戦いの場に宇宙を選択したのはミスだな。あそこならエルフヘイムも本気を出せる」
「さぁ、それはどっちの方だかな」
「やれ、エルフヘイム」


 アンリエッタの声は聞こえないはずだが、彼女の声に合わせてエルフヘイムが翼を大きくはためかせた。
 すると、宇宙に漂う無数の岩石が紫苑に向かって放たれる。それはまるで流星群。


「終わりだ。人間がどうこうできる次元を超えている」
「おいおい、あんなんで紫苑をどうにかできるとでも思ってんのかよ」
「何を言って……」


 紫苑が右手を振るとその流星群は文字通り宇宙の彼方へと消え去った。


「なに、今の……」


 動揺を隠せないアンリエッタ。それは画面の向こうのエルフヘイムも同様だった。
 だが、まだエルフヘイムの方が冷静だったのか、次の手を打っていた。


「あー、マジか。流石にこれは想定外」


 先ほどの流星群のようなちっぽけなものではない。
 直径50km前後の超巨大な隕石。
 それはかつて恐竜を滅ぼしたとされる隕石と同等のものだった。


「でも……」


 それでも、まだ、紫苑の優位は揺るがない。
 紫苑はその隕石目掛けて、勢いよく拳を突き出した。もちろん、触れられる距離ではない。
 けど……。


「は?」


 それはアンリエッタから漏れた小さな声。
 そりゃそうさ。だって、今、紫苑はあの超巨大隕石すらも弾き飛ばしたのだから。


「まだ、言ってなかったよな。紫苑が世界最強と呼ばれる所以を」
「あ、ああ……」


 呆然としていてアンリエッタの返事はどこか上の空だった。


「あいつが最強と呼ばれるのは重力を操れることでも、それを感覚だけで使いこなせる才能でもない。あいつが最強である理由、それは……あいつの能力に上限がないことだ」
「上限が、ない?」
「そう、どんな能力にも魔法にも上限がある。例えば炎を出す能力であれば、出力できる火力や射程距離、一度に出せる炎の数などどこかに限界がある。だが、紫苑にはそれがない。あいつがかけられる重力の重さに上限はないし、一度に重力を変化させられる場所に制限がない。さらに、この能力で最も恐れられるのはその能力の範囲だ」
「なに? 地球の裏側にまで影響を及ぼせるとでも言いたいのか?」
「いいや、それ以上だ」
「……………………あ?」
「地球の反対はもちろん、宇宙の果て、さらには時空を超えた異世界だってあいつの領域の中さ」
「バカな! 異世界に干渉できる異能力だと!? そんなものあるはず……」
「いいや、あんたは知っているはずだ。ある世界が一瞬にして消え去った事件を」
「っ!」


 心当たりがあったのか、アンリエッタは押し黙った。


「あれはここセントラルから紫苑が能力を使って異世界を1つ滅ぼしたんだ」


 紫苑の領域内であれば、誰であろうと彼女に勝つことは出来ない。
 故に領域の絶対者。
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