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序章 私刑人誕生編

第37話 小金持ち?に

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 王都へ行く準備は順調だった。
 前日にギルドにて赤文字の討伐の金が入ってきたが、殺した貴族の分以外は金貨500枚となった。
 一部の者に懸賞金が掛かっていたからだ。

 また、この後王都に向かうと話すと、この貴族は王都に別邸があるらしく、最終判断は国王に委ねられるそうだ。
 理由は貴族のしでかした事、侯爵以上の処罰は国王が決める決まりだそうだ。
 それより下の貴族は臣下の者が決める。
 なので後日ギルドにて精算となるから、王都に着いたらギルドにて問い合わせるように言われ、手紙を渡された。
 手紙はギルドマスターに直接渡すようにと。

 先の貴族の件はギルドと領主経由で王都に伝えられるそうだ。
 慣例からお家は取り潰しになるのではと言われた。

 小金持ちになった。
 宿はベッドが3台の部屋で、くっつけて寝ている。
 俺は真ん中で、おこちゃま2人は俺から離れようとしない。
 今はリリアーナの事をオネエちゃん、スニシスの事をすーねぇと呼ぶ。
 マリニアに至ってはまーちゃんだ。

 可愛いから許す!なのだが、困ったのはスニシスだ。
 スニシスによると俺に全てを捧げているらしい。
 よくわからん。
 まだ子供だ。
 体は年不相応に成長しているが、顔付きはやはり少女だ。

 とてもではないが性交渉の対象外だ。俺はロルコンではない。
 ただ、5年後は分からない。
 まあ、一緒にいたら惚れているかもだが、まあ、その頃には愛想をつかして離れていると思う。

 だが、昨夜ベッドでやたらとくっつい来ていた。
 不安なのかなと思うと腕にしがみついてくるのを引き離せないが、胸の感触はしっかりあるんだよ。

 夜中に服が冷たくて目が覚めたが、勿論おこちゃま達の寝小便だ。
 フッフッフッ!パパは出来る人なんだ!
 そんな粗相も何のその、さくっとクリーンで解決さ!
 そんな俺は今度は蹴られたりスニシスの胸で窒息しそうになったりと、何度目が覚めた事か。
 スニシス、寝相が悪いのか、寝ぼけた振りをしているのかどちらだ?

 取り敢えずスリープを掛けてリリアーナの横にそっと寝かせ皆の布団を直していく。

 そして翌日に出発とこの町で過ごす最後の日に情報屋に行ったが、闇市の参加予定者はもうこの町にいないという事だ。

 奴隷商の名前や裏の活動拠点等を聞いた。
 引き上げる時に俺は思い出したかのように告げた。

「明日王都に向かうよ。あの子達を王都に返してやらないとだからな。この町にまた来るか分からんが、後あの商人を必ず私刑してやる」

「そうでやすか。そうそう、A級にランクアップしたそうで、おめでとうございやす。これでもうゲロビーは卒業でやすかね?」

「まあ、別の町に移るからな」

 そのような話をして情報屋を引き上げ、宿に戻り皆と他愛もない話をしていた。

 そうそう、宿に戻るとスニシスとリリアーナは新たに買ったおしゃれ着を着ており、物凄く可愛かった。
 スニシスは髪型をアップにしており、年齢を知らなければ何処かの令嬢?に思え、大人とまでは行かないが、18歳位に見えた。

 そして部屋の中には知らない女性がいた。
 何処かで見た事があるように思えるが、物凄い美少女がそこにいた。
 黄色の清楚なワンピースで、腰はベルト?でキュッと絞られており、スラッとした脚が見える。
 胸は小ぶりだが、胸元を意識してしまうようなデザインだ。

「えっと、ただいま。なあスニシス、その女性は誰さんだ?」

 皆へっ?と言った感じで見ている。何故だ?
 俺はつい咄嗟にその女性の前に片膝をつき、その華奢な手を取る。
 そして流れるようにその手の甲にキスをした。

「初めまして。私は冒険者のランスタッドと申します。美しいお嬢さん、宜しければお名前を教えて頂ければと思います。貴女のような女性にこの町で出会う事が出きるとは思いもよりませんでした」

 その女性は手をうっとりと見て、顔を赤らめていて色っぽく、危うく抱きしめる所だった。
 そしてその女性の返答に俺はその場にへたりこむ事になるのであった。
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