上 下
82 / 119
第1章 王都編

第82話 勧誘

しおりを挟む
 館にクラシスさんとベッカードが来た。
 俺は子供達に頭の剥げた怖そうなお兄さんは見た目と反し、子供大好きな優しい者だから、遊んでもらいなさいと言っておいた。

 必ずおじちゃーん!と言うようにと。

 クックックッ!先輩の驚く顔が見られそうだ!

 そして先輩達が館に来てから約30分後、フラフラになった先輩がクラシスさんに引きずられて居間に来た。

「くうぅ!図ったな!」

「何が図ったよ!あんなに楽しそうに遊んでいたくせに」

「それを言うなって!」

 そんな2人を見たマリニアがストレートに聞いた。

「お2人は結婚してからどれ位になるんですか?」

「なんで私がこんなハゲを旦那にしなきゃならないのよ!」

「ハゲハゲ言うな!これは剃っているだけだといつも言っているだろう!」

「おしどり夫婦って羨ましいな」

「ボクの部屋2人で使ってください!ボクはスニシスの所で寝るので」

「あのう、私達って仲の良い夫婦に見えるの?」

「えっ?もしかして違うの?だってこの人貴女の事を愛しているでしょ?そうとしか見えないよ?」

 ベッカードは頭をボリボリとかいていた。

「そういう事ですから、いい大人がいつまでも子供のようにしないでください。夫婦の漫才はこれくらいで自己紹介位しましょうよ」

 俺はこの2人をいぢりまわし、漸く本題に入った。

「先輩はこれからも2人でやっていくんですか?それとも誰かとパーティーを組みたいのですか?」

「知っているだろ?組みたくても嫌がられるんだ。大体いいつもこいつ勘違いされ・・・」

「先輩、それを嫉妬というのと、クラシス姉はそんなふうに守ってくれる先輩に依存しているんですよ」

「相変わらず回りくどいな。何がしたい?」

「俺の所は追放されたルーキのマリニア、解放奴隷であり見習いのスニシス、高級奴隷として販売前だった解放奴隷のソシアと4人です」

「また濃いメンバーだな」

「先輩達もそうですが、こちらもそうなんですよ。ですから俺のパーティーに入らないかとの誘いですよ」

「坊主の所か・・・」

「いいの?この人、どこに行っても長続きしないのよね」

「一緒に育った仲じゃないですか。それに普通は先輩の歳でB級というのは凄いですよ」

「おいおい。もうじきSに上がる後輩に言われたくないぞ」

「俺の場合は周りが凄かったから、お零れですけどね」

「いや、お前さんの今日の稼ぎ、確かにA級パーティーの稼ぎだが、ソロでなんだろ?」

「あの階層は相性が良いんですよ」

「ダンジョンを攻略する気なのか?」

「俺も根に持つタイプでしてね。追放したサンタナに目にモノ見せたいんですよ。出来れば穏便に」

「で、攻略途中のダンジョンを攻略ってか?それは良いがそれ相応の実力がいるだろう?」

「そっちは問題ないです。俺は結界魔法が得意属性だったんで、サクッと行けますよ。でも俺の所はやはり4人だと危ない場面があり、6人にしたかったんですよ。それも信頼出来る人じゃなきゃで、条件に合うのが先輩達なんですよ!」

 俺は散々頼みまくったが、最後はクラシス姉がお願いねと言い、決着した!

 ありがとうクラシス姉!
しおりを挟む

処理中です...