奴隷勇者の転生物語

KeyBow

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第二章 大地の絆始動編

第35話 報告

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 人を一人背負っているから足取りは遅かった。1時間少し程よたよたと歩いていると、ユーリクスが荷馬車を借りて戻ってきた。気の所為か?アーリアが舌打ちをしていた気がした。

「遅くなったっす!カレンさんにお願いして借りてきたっす!兄貴はギルドに行ったらそのままギルドマスターに報告をと言われたっす!オレっちと来いって言われたっす!」

「思ったよりも早かったね!助かるよ」

 皆馬車に乗り、ギャレッジは御者席に座り、珍しくユーリクスと会話をしていた。良からぬ話をしているっぽい。まあ、息抜きも必要だろう。どうやらこの世界での合コンの話のようだ。合コン?って何だ?

 つまり講習の時にいた女の子を誘って食事をするらしい。漏れ聞こえる話だと元々の知り合いだったらしく、その縁らしい。流石に僕は誘ってこなかったけど。

 荷台に毛布を敷いて、アーリアを寝かせようとなったが、気が付いたらアーリアは僕の膝を枕にして横になっていた。ローシェルにちょっとここに座ってとか、アーリア、あんた立つ事位は出来るでしょ?と座る場所を調整し、貸一つよとアーリアに言っていた。

 確かに誰かが膝枕をしてあげた方が良いとは思ったけど、何故僕なの?と本気で思うジークだ。

 町の門では既にユーリクスが報告をしており、軽く馬車の中を見てそのまま通された。門番のおっちゃんはジークを見知っており、ジークの正体を知っているからだ。

 先ずは宿に行き、有無を言わせずお姫様抱っこで女子部屋に行き、アーリアを寝かせた。お姫様抱っこした時にアーリアはあっ!と短く呻いていたが、恥ずかしそうに僕の首にしがみついていた。

 普段のアーリアと違ってなんか可愛いなと思ったんだ。いかんいかんと首を振った。僕って浮気症なのかなあと。

「ギルドに報告が有るからアーリアを頼むよ。それとステータスカードを貸して」

 3人は言われるがままにカードを渡してきた。もしも一時間以内に返さなかったら霧散して本人の所に戻っていくので、一時間以内に手続きをする必要がある。
 
 そしてギルドに行き受付カウンターに向かうと、カレンは丁度講習で一緒だった者達の対応を終わったところだった。ジークはユーリクス達と一緒にカレンのところに訪れると、カレンは心配そうに話し掛けて来た。

「ジーク君、本当に大丈夫だったの?心配したのよ」

「僕は大丈夫だったけども、アーリアが死に掛けたんだ」

「ジーク君達が大丈夫ならいいの。それよりもギルドマスターが呼んでいるから、すぐに行って欲しいの。その、今日また夜お食事をご一緒してもいいかしら?」

「うん!食堂で待っているよ!それとギャレッジをここに置いて行くので、依頼達成の手続きをお願いします」

 そうしてジークは全員のギルドカードを渡し、ユーリクスと2階に上がっていった。


 そして急ぎギルドマスターの執務室のドアをノックし、入れと言われ部屋に入ったところだ。
 
「ギルドマスターさんの所に来るように言われたので出頭しました」

「そうかしこまらないでもいいよ。カレン君から聞いたが、君達が襲われて仲間の一人が死にそうになったんだってね。誰に襲われたんだ?やはりガランか?」

「ガランでは無かったです。あいつだけは印象深かったのでよく覚えています。それに相対した3人はガラン程大きくなかったです。それで一人を殺し、もう一人の腕を切り落としたのですが、誰だか分かりますか?何となく見た事が有ったような気がするのですが、思い出せなくて」

 怪訝そうにギルドマスターが見ていたが、おもむろに死体をストレージから出した。ギルドマスターは一瞬うおっ!?と驚いていた。

 本来ストレージには人ひとりが入るだけのキャパがないからだ。

 ただふと思い出したのだ。目の前にいる彼は生活魔法を使えるのだと。そういえば生活魔法を使える者のストレージに容量制限はなかったのだと思い出したのだ。

「白狼の牙の奴だな」

 死体を見て頷き、切り落とした右腕と、そいつが持っていた剣を見て、間違いなく白狼の牙のうちの二人だと言っていた。もうひとりの顔は見たのかと言われたが、見ていないと告げた。フードを深くかぶっていたので背丈位しか判らなかったと。

「もう一度聞くが、ガランはいなかったんだね?」

「確かに白狼の牙のあの3人だったかも分かりませんが、明らかにガランとは背丈が違いました。見覚えが有ったのは、先日ロビーで襲われたからなのでしょうか」

「逃げた白狼の牙の残り二人は国中に手配書を出そう。ただガランについては申し訳ないが君が見ていないのであれば手配書は出せない。十分に気を付けてくれ」

「はい、分かりました。話はそれだけでしょうか?」

「大変な時に悪かったな。それだけだが、君は分かっているのか?白狼の牙の面々は3人とも B ランクの冒険者で、それ相応の実力があったんだぞ。聞くところによると、二人を相手にしていたが、そこの彼が刺されたのでそれを助けに行き、あっさりと倒したそうだな。だが、あの3人の中ではお前が殺したこいつが一番腕が立つんだぞ。それも一刀両断にしたそうじゃないか。確かにこの傷を見るとそうだと言うのが分かる。やはり君の実力は A ランク以上のものなのだな。それとな、ガランは素行が悪くなければ S ランクになっていてもおかしくないんだ」

 わざとらしく咳払いをした。

「ガランに対しては王都への出入り禁止を罰として既に出していて、追加の処罰を今の所出せない。今から他の町に行ったり、町の外に出る時は十分に注意してくれ。白狼の牙の一人を殺ったとなると、逆恨みしてくるのは必須だと思う。だがこれはあの3人の独断で仕掛けたものなのか、ガランが絡んでいるのかは判断付かないからな」

「はい。次に彼奴等を見たら殺してやる!」

「そうそう、君が元いた町のギルドマスターから興味深い話が来たぞ。孤高の剣は S ランク昇格後の初依頼を失敗し、全員重傷を負ったそうだ。ただ命に別状はないという事だ。どうやら君が果たしていた役割というのは大きかったようだな」

「そうですか。まあ今の僕には関係ありませんから。死亡者がいれば心が痛みますが、死亡者がいなくて良かったですね。話がそれだけなら僕はアーリアが心配なのでソロソロ失礼します」

「引き留めて悪かったな」

 ジークは心ここにあらずといった感じで執務室から出ていった。

 アイシアとマリーシスに対して何もしてやれない。強引にパーティーを一緒に抜けてあげるんだったなと後悔したが、あの時はどうにもならなかった。取り敢えず生きている事に安堵はしたが、二人共極端にダニーの事を恐れていた。孤高の剣の事は確かに気になるが、今はそれどころではないので、取り急ぎカレンの元に向かうのであった。

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