聖騎士殺しの異世界珍道記〜奴隷を買ったらお姫様だった件〜

KeyBow

文字の大きさ
29 / 43

第29話 商隊襲撃さる

しおりを挟む
 ブラッドは槍を出すと、おもむろに敵に向かって投げた。

 馬車の扉を無理矢理開けようとしていた奴に投げると、100mはあった筈だが見事な放物線を描き、頭を貫通して扉に刺さった。

 馬車の中に槍の穂先が少し飛び出し、中にいた3人の少女がひぃと短く悲鳴を上げた。いきなり槍の穂先が飛び出し、血が滲んできたからだ。

「こんな芸当が出来るのはブラッド位ね!もう少しでこっちに来るよ!これで助かるね!」

「貴女ねぇ、散々文句を言っておいて、信頼しているのじゃないのよ」

 ブラッドは魔法攻撃を受けた。正確には見えない?刃で斬りつけられ、空気の玉?を顔の周りに纏わせようとしていたようだ。

 しかし魔法反射で放った奴に返っていく。そいつの首が半ば切れ、纏わりついた空気の玉で息ができなくなったようで、やがて死んだ。死ぬ所は見ていなかったが、ブラッドは次のターゲットに向かっていったのだ。

 何故死んだのかが分かるのかというと、6つ目のスキルが入ってきたのが分かった。先程見たウインドカッターとエアーボールが使えると何故か理解できたからだ。一瞬頭がくらっとなり、訳の分からぬ文字か何かが頭の中を駆け巡るのだ。
 実際は瞬きする位の時間だから隙にはならない。

 商隊の方は一進一退だった。

 驚いた事にグレイズもモーニングスターをぶん回して戦っており、中々強かった。

 だが、背後から斬り掛かられそうになり、あわやと言うところでブラッドがウインドカッターを放ち、そいつの手首を斬り落とした。

 距離が有ったが、近付きつつウインドカッターやエアーボールを投げて転倒させていった。

 均衡はそうやって崩れていき、賊は残り10人までに減っていた。

 そして隊長がブラッドに一騎打ちを申し込んできた。

「くう、貴様ぁ!許さんぞ!騎士イングヴェイの名のもとに貴様に一騎打ちを申し込む!」

「ったく面倒だな。犠牲者を出したくはないからな。まあ受けてやるよ!聖騎士殺しブラッド参る!」

 ブラッドはレイガルトと共に駆け、相対する位置で降り立ち、ブロードソードを出した。

 戦闘は続いているが、この2人には誰も近付かない。

「貴様を倒し、姫様を助け出す!」

「やれるもんならやってみろ!ところでお前はスキル持ちか?俺は持っているぞ!」

「聞いて驚け!スティールだ!」

「しょうもないのだな。貰ってやるよ!」

「意味が分からんな!お前もスティールの餌食になれや!」

 イングヴェイが斬り掛かってきた。ブラッドはスキルの中身が分からないので取り敢えず様子見で受けていた。

 しかしお世辞にも剣筋にキレがあるとは言えない。

 わざとか?と思いつつこちらから斬り掛かった。

 イングヴェイは防戦一方だ。
 ハッタリだなと思い、これで終わりだ!という胴を薙ぐ一撃を放ち、受け止めようとした剣を叩き折り、剣もろとも真っ2つにするつもりだったが、その一撃は空を斬り、バランスを崩した。そしてぞくっとしたので咄嗟に右に飛んだが、左の脇腹に剣の一撃をくらった。

 左の脇腹には己の剣が刺さっていた。

 グハっ!と唸り、片膝をつく。

 己の手には握られている筈の剣がなかった。

「トドメだ!」

 ブラッドの首を狙ってきた。

 ブラッドは痛みに苦悶の声を上げつつ、収納から槍を出して目の前の敵に向けた。

 するとぐさりと肉を突き刺す感覚があり、槍を押し返した。

 イングヴェイは信じられないと唸った。己の腹に槍が刺さっていたからだ。

 ブラッドは剣が刺さったままひとっ飛びし、イングヴェイの首をバスタードソードの一閃で刎ねて決着した。
  
 すると何かが入ってくるのと、又もや頭の中に不思議な文字が駆け巡った。そしてスキル"スティール"を奪った。

 残りはイングヴェイが打討たれたのを見て散り散りに逃げ始めたが、アイスアローを投げて逃げる奴をブラッドは見逃さなかった。剣が刺さったままレイガルトに跨るとそいつのみを追い始めた。

 痛みで意識が飛びそうだったが、魔法使いのスキル持ちは自分には驚異にはならないが、仲間にとっては大いなる驚異だ。なのでそいつだけは倒す事にした。

 軍馬に跨り、全力で駆けて来る鬼の形相のブラッドが追ってくるのでちらちらと後ろを見ている。

「く、くるなぁ!」

 ありったけの魔力を込めてアイスアローを大量に放つも、そのアイスアローにて命を落とした。すると何かが入って来て、やはり不思議な文字が頭の中を駆け巡った。そして水魔法のスキルをゲットした。

 そして、一番近い奴に槍を投げて、何とか逃げる奴をもう一人倒した。

 他はもう追い付けそうにないので追跡を諦め、商隊に戻り始めた。

 先ずは己の馬車の中を見て、3人の無事を確認した。

「3人共無事だな?」

「見ての通りよ」

「分かった。無事なら良いんだ。商隊の奴らを見てくる。助けられるのなら助けたい」  

 背中を向けてレイガルトに乗ろうとしたが、ニスティーが慌てて止めた。

「ちょっと待ちなさい!あんた怪我をしているじゃないの。今抜いてあげるから待ちなさい」

 ブラッドは屈んでニスティーに触りやすくした。

 いきなり背中に鋭い痛みが走った。

 声を掛けずに矢を掴み、間髪入れずに引き抜いたからだ。

 ぐうぅ!と少し唸ったが、2本目は中々抜けなかった。

「ぐはっ!」

 ニスティーは焦った。矢が抜けないからだ。

「お嬢様、私がやります。これは引いても抜けませんよ」  

 マリーナはブラッドの肩当てを外し、我慢しなさいと言ってから矢を押し出した。

 肩から突き出し、鏃を切断してから引き抜いた。
 ブラッドはやはりぐうぅと唸るも、叫ばなかった。

「もう抜いたから、治療しなさい」

「すまない。助かったよ」

「なんで言わないのさ!痛いでしょ?」

 タミアは狼狽えていた。

「ああ、痛みには慣れている。多少の呻き位は勘弁して欲しいが、まあ、叫ぶ程ではないさ。さて、救える命を助けるぞ。お前達も手伝ってくれ」

 そうして治療や事後処理に奔走するのであった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!! 2巻2月9日電子版解禁です!! 紙は9日に配送開始、12日発売! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!

よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。 10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。 ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。 同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。 皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。 こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。 そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。 しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。 その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。 そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした! 更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。 これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。 ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。

処理中です...