557 / 575
外伝
外伝2:アルフレッド編11
スタンピードが終結してから一週間が過ぎた。
水の都ボレロは、兄貴…ランスロット様の絶大な力と、セバスチャン殿の優れた差配、そして市民たちの懸命な努力によって、驚異的な速さで復興を遂げていた。
破壊された城門は兄貴の土魔法によって以前よりも頑強に再建され、街には活気が戻りつつあった。
そして今日、その復興の象徴として、俺とリリアのささやかな結婚式が、街の小さな教会で執り行われることになった。
俺は、コームとアレイに手伝ってもらいながら、慣れない礼服に袖を通す。奴隷だった俺が、こんな立派な服を着る日が来るなんて、夢にも思わなかった。
「アルフレッド、ガチガチじゃないか。少しは笑えよ」
「うるさい。…似合っているか?」
「ああ。最高に格好いいぜ!着られてる感がイカスな」
コームとアレイが、自分のことのように笑ってくれる。こいつらがいなければ、俺はとっくに死んでいた。こいつらも、俺の家族だ。
教会の扉の前で待っていると、先に中に入っていた兄貴が出てきて、俺の肩を叩いた。
「アルフレッド。緊張しているか?」
「…はい。戦場の方が、よほど気楽です」
「はは、そうだろうな。だが、覚えておけ。男が人生で最も命を懸けて守るべき戦場は、家庭だ。…リリアさんを、必ず幸せにしてやれ」
「はい!」
兄貴の力強い言葉に、俺は背筋を伸ばした。
やがて、教会の扉がゆっくりと開かれる。
その先に、純白のドレスをまとったリリアが、ナンシー様に手を引かれて立っていた。陽の光を浴びて輝く彼女は、この世のどんな宝石よりも美しかった。
俺は、ゆっくりと彼女の元へ歩み寄る。
「リリア…」
「アルフレッド様…」
彼女の瞳には、うっすらと涙が浮かんでいる。俺は、その手を取り、二人で祭壇へと向かった。
神父の誓いの言葉は、正直、ほとんど頭に入ってこなかった。ただ、目の前にいるリリアの姿だけが、俺の世界の全てだった。
誓いの口付けを交わし、振り返ると、仲間たちが温かい拍手で俺たちを祝福してくれた。シェリー様やクレア様、セリカ様も、涙を浮かべて喜んでくれている。
その日の夜、屋敷の自室で、俺はリリアと二人きりになった。
「…夢のようです」
リリアが、幸せそうに呟いた。
「俺もだ。…なあ、リリア。俺は、お前に何もしてやれないかもしれない。金もないし、洒落た言葉も知らない。奴隷だった過去が、これからも俺を苦しめるかもしれない」
俺がそう言うと、リリアは静かに首を振って、俺の手に自分の手を重ねた。
「いいえ。あなたは、私に全てをくれました。新しい命も、生きる希望も…そして、愛も。もう何もいりません。ただ、あなたのそばにいさせてください。そして出来ましたら、同じ墓でねむらせてください。しわくちゃなおばあちゃんになっても、愛してくださるかしら?」
俺は、彼女をそっと抱きしめた。
「当たり前だ。今世でも来世でも愛し合おう」
この温もりを、この命を、俺は一生をかけて守り抜く。
兄貴が帰ってくる場所を守るために戦った。だが、今は違う。
俺自身の、守るべき「帰る場所」が、今、この腕の中にあった。
俺たちの本当の人生は、今日、ここから始まるのだ。
後書き失礼します。
いつも応援ありがとうございます!
『エラーから始まる異世界生活』を読んでいただき、誠にありがとうございます。
皆様に支えられながら執筆を続けておりますが、この度、大きな励みとなるご報告がございます。
まず、カクヨムの方ではありますが、カドカワBOOKS様の「10周年記念長編コンテスト」にて、本作の別タイトル版である『異世界召喚された俺は余分な子でした』(カクヨム様掲載)が、中間選考を通過いたしました!
さらに、もう一つの作品『ギフト【鑑定】だけの俺が、実は最強だったなんて聞いてない!』も、同時に中間選考に残ることができました。
そして、いつもお世話になっているアルファポリス様の「第18回ファンタジー小説大賞(ファンタジーカップ)」におきましても、『ラストアタック』が奨励賞を受賞いたしました。
(応募総数約3200作品の中からの選出とのことで、望外の喜びです)
これもひとえに、日々応援してくださる読者の皆様のおかげです。
皆様の応援を力に変えて、これからも精一杯、物語を紡いでまいります。
引き続き、『エラーから始まる異世界生活』をどうぞよろしくお願いいたします!
2025/11/2
水の都ボレロは、兄貴…ランスロット様の絶大な力と、セバスチャン殿の優れた差配、そして市民たちの懸命な努力によって、驚異的な速さで復興を遂げていた。
破壊された城門は兄貴の土魔法によって以前よりも頑強に再建され、街には活気が戻りつつあった。
そして今日、その復興の象徴として、俺とリリアのささやかな結婚式が、街の小さな教会で執り行われることになった。
俺は、コームとアレイに手伝ってもらいながら、慣れない礼服に袖を通す。奴隷だった俺が、こんな立派な服を着る日が来るなんて、夢にも思わなかった。
「アルフレッド、ガチガチじゃないか。少しは笑えよ」
「うるさい。…似合っているか?」
「ああ。最高に格好いいぜ!着られてる感がイカスな」
コームとアレイが、自分のことのように笑ってくれる。こいつらがいなければ、俺はとっくに死んでいた。こいつらも、俺の家族だ。
教会の扉の前で待っていると、先に中に入っていた兄貴が出てきて、俺の肩を叩いた。
「アルフレッド。緊張しているか?」
「…はい。戦場の方が、よほど気楽です」
「はは、そうだろうな。だが、覚えておけ。男が人生で最も命を懸けて守るべき戦場は、家庭だ。…リリアさんを、必ず幸せにしてやれ」
「はい!」
兄貴の力強い言葉に、俺は背筋を伸ばした。
やがて、教会の扉がゆっくりと開かれる。
その先に、純白のドレスをまとったリリアが、ナンシー様に手を引かれて立っていた。陽の光を浴びて輝く彼女は、この世のどんな宝石よりも美しかった。
俺は、ゆっくりと彼女の元へ歩み寄る。
「リリア…」
「アルフレッド様…」
彼女の瞳には、うっすらと涙が浮かんでいる。俺は、その手を取り、二人で祭壇へと向かった。
神父の誓いの言葉は、正直、ほとんど頭に入ってこなかった。ただ、目の前にいるリリアの姿だけが、俺の世界の全てだった。
誓いの口付けを交わし、振り返ると、仲間たちが温かい拍手で俺たちを祝福してくれた。シェリー様やクレア様、セリカ様も、涙を浮かべて喜んでくれている。
その日の夜、屋敷の自室で、俺はリリアと二人きりになった。
「…夢のようです」
リリアが、幸せそうに呟いた。
「俺もだ。…なあ、リリア。俺は、お前に何もしてやれないかもしれない。金もないし、洒落た言葉も知らない。奴隷だった過去が、これからも俺を苦しめるかもしれない」
俺がそう言うと、リリアは静かに首を振って、俺の手に自分の手を重ねた。
「いいえ。あなたは、私に全てをくれました。新しい命も、生きる希望も…そして、愛も。もう何もいりません。ただ、あなたのそばにいさせてください。そして出来ましたら、同じ墓でねむらせてください。しわくちゃなおばあちゃんになっても、愛してくださるかしら?」
俺は、彼女をそっと抱きしめた。
「当たり前だ。今世でも来世でも愛し合おう」
この温もりを、この命を、俺は一生をかけて守り抜く。
兄貴が帰ってくる場所を守るために戦った。だが、今は違う。
俺自身の、守るべき「帰る場所」が、今、この腕の中にあった。
俺たちの本当の人生は、今日、ここから始まるのだ。
後書き失礼します。
いつも応援ありがとうございます!
『エラーから始まる異世界生活』を読んでいただき、誠にありがとうございます。
皆様に支えられながら執筆を続けておりますが、この度、大きな励みとなるご報告がございます。
まず、カクヨムの方ではありますが、カドカワBOOKS様の「10周年記念長編コンテスト」にて、本作の別タイトル版である『異世界召喚された俺は余分な子でした』(カクヨム様掲載)が、中間選考を通過いたしました!
さらに、もう一つの作品『ギフト【鑑定】だけの俺が、実は最強だったなんて聞いてない!』も、同時に中間選考に残ることができました。
そして、いつもお世話になっているアルファポリス様の「第18回ファンタジー小説大賞(ファンタジーカップ)」におきましても、『ラストアタック』が奨励賞を受賞いたしました。
(応募総数約3200作品の中からの選出とのことで、望外の喜びです)
これもひとえに、日々応援してくださる読者の皆様のおかげです。
皆様の応援を力に変えて、これからも精一杯、物語を紡いでまいります。
引き続き、『エラーから始まる異世界生活』をどうぞよろしくお願いいたします!
2025/11/2
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!!
2巻2月9日電子版解禁です!!
紙は9日に配送開始、12日発売!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)
前世は最強の宝の持ち腐れ!?二度目の人生は創造神が書き換えた神級スキルで気ままに冒険者します!!
yoshikazu
ファンタジー
主人公クレイは幼い頃に両親を盗賊に殺され物心付いた時には孤児院にいた。このライリー孤児院は子供達に客の依頼仕事をさせ手間賃を稼ぐ商売を生業にしていた。しかしクレイは仕事も遅く何をやっても上手く出来なかった。そしてある日の夜、無実の罪で雪が積もる極寒の夜へと放り出されてしまう。そしてクレイは極寒の中一人寂しく路地裏で生涯を閉じた。
だがクレイの中には創造神アルフェリアが創造した神の称号とスキルが眠っていた。しかし創造神アルフェリアの手違いで神のスキルが使いたくても使えなかったのだ。
創造神アルフェリアはクレイの魂を呼び寄せお詫びに神の称号とスキルを書き換える。それは経験したスキルを自分のものに出来るものであった。
そしてクレイは元居た世界に転生しゼノアとして二度目の人生を始める。ここから前世での惨めな人生を振り払うように神級スキルを引っ提げて冒険者として突き進む少年ゼノアの物語が始まる。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
収奪の探索者(エクスプローラー)~魔物から奪ったスキルは優秀でした~
エルリア
ファンタジー
HOTランキング1位ありがとうございます!
2000年代初頭。
突如として出現したダンジョンと魔物によって人類は未曾有の危機へと陥った。
しかし、新たに獲得したスキルによって人類はその危機を乗り越え、なんならダンジョンや魔物を新たな素材、エネルギー資源として使うようになる。
人類とダンジョンが共存して数十年。
元ブラック企業勤務の主人公が一発逆転を賭け夢のタワマン生活を目指して挑んだ探索者研修。
なんとか手に入れたものの最初は外れスキルだと思われていた収奪スキルが実はものすごく優秀だと気付いたその瞬間から、彼の華々しくも生々しい日常が始まった。
これは魔物のスキルを駆使して夢と欲望を満たしつつ、そのついでに前人未到のダンジョンを攻略するある男の物語である。
木を叩いただけでレベルアップ⁉︎生まれついての豪運さんの豪快無敵な冒険譚!
神崎あら
ファンタジー
運動も勉強も特に秀でていないがめっちゃ運が良い、ただそれだけのオルクスは15歳になり冒険者としてクエストに挑む。
そこで彼は予想だにしない出来事に遭遇する。
これは初期ステータスを運だけに全振りしたオルクスの豪運冒険譚である。
※71話を少し修正しました。3/16
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】