エラーから始まる異世界生活

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外伝

外伝2:アルフレッド編11

 スタンピードが終結してから一週間が過ぎた。
 水の都ボレロは、兄貴…ランスロット様の絶大な力と、セバスチャン殿の優れた差配、そして市民たちの懸命な努力によって、驚異的な速さで復興を遂げていた。
 破壊された城門は兄貴の土魔法によって以前よりも頑強に再建され、街には活気が戻りつつあった。

 そして今日、その復興の象徴として、俺とリリアのささやかな結婚式が、街の小さな教会で執り行われることになった。
 俺は、コームとアレイに手伝ってもらいながら、慣れない礼服に袖を通す。奴隷だった俺が、こんな立派な服を着る日が来るなんて、夢にも思わなかった。

「アルフレッド、ガチガチじゃないか。少しは笑えよ」
「うるさい。…似合っているか?」
「ああ。最高に格好いいぜ!着られてる感がイカスな」

 コームとアレイが、自分のことのように笑ってくれる。こいつらがいなければ、俺はとっくに死んでいた。こいつらも、俺の家族だ。
 教会の扉の前で待っていると、先に中に入っていた兄貴が出てきて、俺の肩を叩いた。

「アルフレッド。緊張しているか?」
「…はい。戦場の方が、よほど気楽です」
「はは、そうだろうな。だが、覚えておけ。男が人生で最も命を懸けて守るべき戦場は、家庭だ。…リリアさんを、必ず幸せにしてやれ」
「はい!」

 兄貴の力強い言葉に、俺は背筋を伸ばした。
 やがて、教会の扉がゆっくりと開かれる。
 その先に、純白のドレスをまとったリリアが、ナンシー様に手を引かれて立っていた。陽の光を浴びて輝く彼女は、この世のどんな宝石よりも美しかった。
 俺は、ゆっくりと彼女の元へ歩み寄る。

「リリア…」
「アルフレッド様…」

 彼女の瞳には、うっすらと涙が浮かんでいる。俺は、その手を取り、二人で祭壇へと向かった。
 神父の誓いの言葉は、正直、ほとんど頭に入ってこなかった。ただ、目の前にいるリリアの姿だけが、俺の世界の全てだった。
 誓いの口付けを交わし、振り返ると、仲間たちが温かい拍手で俺たちを祝福してくれた。シェリー様やクレア様、セリカ様も、涙を浮かべて喜んでくれている。

 その日の夜、屋敷の自室で、俺はリリアと二人きりになった。

「…夢のようです」

 リリアが、幸せそうに呟いた。

「俺もだ。…なあ、リリア。俺は、お前に何もしてやれないかもしれない。金もないし、洒落た言葉も知らない。奴隷だった過去が、これからも俺を苦しめるかもしれない」

 俺がそう言うと、リリアは静かに首を振って、俺の手に自分の手を重ねた。

「いいえ。あなたは、私に全てをくれました。新しい命も、生きる希望も…そして、愛も。もう何もいりません。ただ、あなたのそばにいさせてください。そして出来ましたら、同じ墓でねむらせてください。しわくちゃなおばあちゃんになっても、愛してくださるかしら?」

 俺は、彼女をそっと抱きしめた。

「当たり前だ。今世でも来世でも愛し合おう」

 この温もりを、この命を、俺は一生をかけて守り抜く。
 兄貴が帰ってくる場所を守るために戦った。だが、今は違う。
 俺自身の、守るべき「帰る場所」が、今、この腕の中にあった。
 俺たちの本当の人生は、今日、ここから始まるのだ。



後書き失礼します。

いつも応援ありがとうございます!

『エラーから始まる異世界生活』を読んでいただき、誠にありがとうございます。
皆様に支えられながら執筆を続けておりますが、この度、大きな励みとなるご報告がございます。

まず、カクヨムの方ではありますが、カドカワBOOKS様の「10周年記念長編コンテスト」にて、本作の別タイトル版である『異世界召喚された俺は余分な子でした』(カクヨム様掲載)が、中間選考を通過いたしました!

さらに、もう一つの作品『ギフト【鑑定】だけの俺が、実は最強だったなんて聞いてない!』も、同時に中間選考に残ることができました。

そして、いつもお世話になっているアルファポリス様の「第18回ファンタジー小説大賞(ファンタジーカップ)」におきましても、『ラストアタック』が奨励賞を受賞いたしました。

(応募総数約3200作品の中からの選出とのことで、望外の喜びです)

これもひとえに、日々応援してくださる読者の皆様のおかげです。
皆様の応援を力に変えて、これからも精一杯、物語を紡いでまいります。
引き続き、『エラーから始まる異世界生活』をどうぞよろしくお願いいたします!


2025/11/2
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