ざまぁから始まるモブの成り上がり!〜現実とゲームは違うのだよ!〜

KeyBow

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第1章

第13話 町へ戻る

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 俺達3人は馬車の中で今回の事を少し話していた。

 どうやら今回の事の発端はあのダンジョンから出てきた魔物の仕業だとなった。誰も話さないが、新たに死亡者が出た事に対して話がなかった事が不思議だった。但し、馬車の中は空気が重かった。 

 だが、2人はそうではなかったようだが、俺は多くの者が死んだ事にショックを受けていた。 

 俺自身が死体を運び馬車に積み込んだのだから。その時に見た死に顔が頭から離れない。 

 ゲームのようにレベルのある世界ではあるが、実際に人の死を目のあたりにしたのだ。それについては血や死体を見て吐いたり気分が悪くなる事は無かったが、それでも少し前まで生きていて、直接話をしていた者達が今は骸を晒している。 

 その為、俺は押し黙ってしまった。 

 ところがだ。馬車に乗せてある死体をギルドマスターとレイラも確認したが、頷くだけで特に何も言う事は無かった。そして馬車の中で場違いな話をし始めた。 

「回収しきれていないかもですが、 一応魔石とドロップアイテムを回収してきました」

 剣が3本出たらしいのだが、そのうちの一本は魔鋼鉄の剣だ。分配をどうするかとなったのだ。 ゲームの序盤では魔鋼鉄の剣はその金額から中々手が出ない。

 俺も気を紛らわす為にその話に加わるが、完全に現実逃避だ。

「そうだな。レイラは剣で戦うのを主としているんだろう?じゃあ一番いい剣を持って行けよ。今朝のお詫びもあるし」

 レイラが驚いているが、俺は続ける。

「俺は今持ってるのと同じか同等であればそれでいい。 後はギルマスが一本持っていればいいと思う。さすがにもう帰り道は何も無いと思うけと、ギルマスが武器を持っていないのも少し不安に思うんだ」

 魔石の分配については、ギルドマスターが決めた。 

「魔石についてトニー君は希望はあるかい?」

 俺は首を横に振る。すると分配する魔石を渡してきたが、ナイトの分が俺の取り分になった。 

 メイジ、アーチャー*2、ナイト、ホブゴブリン、他はゴブリンだ。

 俺はレイラと俺の取り分は同じだと言うが、受け入れてくれなかった。

 結局レイラの主張を受け入れる事にした。メイジとナイトをレイラ、俺はアーチャー*2になった。 

 そして残りの魔物に対してと言っても、全部ゴブリンなのだが、それは均等での配分となった。 

 しかし、俺はナイトについてもう一度話しをたが、やはりレイラは是としない。

「確かに直接倒したのは私ね。トニーの魔法による攻撃の後に、確かに止めは私だったわ。でもね、トニーの魔法でほぼ無力化した後よ。これは獲物の横取りよ」

「それは近接戦闘の者が魔法使いの護衛をしてくれるから可能なんだから、ナイトを無力化出来たのはあくまでも、レイラが俺を守ってくれる前提条件だから俺が攻撃出来たんだ」 

「じゃあねぇ、初めての共同作業で倒したものだから、半々位にするのが丁度良いんじゃないかな?どうかな?」 

 だがしかし、俺もレイラもナイトだけは別口だ!となった。レイラからは恥ずかしくて受け取れないとまで言われたのだ。結局レイラの方が上手だった。もしもナイトの魔石を受け取るなら魔鋼鉄の剣は受け取れないと。普通は取り分が少ないと揉めるのだが、逆なのでギルドマスターはニヤニヤしていた。

 結局俺が折れてナイトの魔石を貰ったが、驚いた事にレイラとギルマスが談笑を始めた。

 俺は死んだ奴らの事を思い出して塞ぎ込んでいたが、俺が元気がないのでレイラが尋ねてきた。

「トニー?どうかしたの?元気がないわよ?」  

「ああ。魔力の使い過ぎと、本当は宿で休む所だったから疲労が激しいんだ。元々魔力切れだったんだよ」

「ごめんよ。それは悪い事をしたね。ギルドに着いたら今日は帰ってから休んでね。明日またギルドに来てくれたら報酬を払うよ」

「ああ。頼みます。それと、回収した元々の方の荷物はどうすれば?取り敢えずギルドに置いていますが」

「うん。中身によるけど、一旦預かるよ。他には?」

「彼らの荷物の中のマナポーションを使ったのと、ギルマスに渡して折れたのが彼らの剣なんだ」  

「問題ないよ。じゃあトニー君から貰ったこの剣を代りにしておくね。こっちの方が高いからね」
  
 言っている言葉は理解できるが、意味が分からなかった。その後特に問題なく町に入り、程なくしてギルドに着いた。

トニーとレイラは馬車から降りて今日は解散となった。ギルドマスターは一度ギルドに入り、職員を数名引き連れて再び馬車に乗り、何処かに死体を運んでいった。墓所かな?

 レイラとトニーは各々別の受付に行き、また明日来るからと先程の魔石を換金する為に預けた。

 トニーは今朝方倒した分のお金として、銀貨10枚を貰った。

 そしてお勧めの宿を教えて貰い、ふらふらな状態でギルドを引き上げた。

 レイラが一段落した時にはもうトニーの姿はなかった。

「お礼とお詫びを言いそびれちゃったわね。今度会う時にはちゃんと言わなきゃね。しかし彼は何者なのだろう?ぱっと見しょぼいけど、能力が違うわね。彼がいなければ今頃私はゴブリンに犯され苗床にされていたか、死んでいたのだろうな…」
 
 レイラも今日は疲れたなと宿に向かっていく。

 トニーは宿に着くと2泊分の宿泊費として金貨一枚を渡し、先ずは湯浴みをして宿で用意された部屋着に着替えた。
 そして今まで着ていた服を湯浴み場で洗い、部屋で干す事にした。

 取り敢えず部屋の扉に鍵を掛け、剣を扉に立て掛けるとそのままベッドに横になり、直ぐに眠りに落ちたのであった。
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