ざまぁから始まるモブの成り上がり!〜現実とゲームは違うのだよ!〜

KeyBow

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第2章

第96話 収束

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 トニーがシスティーナの所に向かおうとしたが気が変わった。もとい、判断を変えた。

「取り敢えず謁見の間をどうにかしよう。ただ、俺はやばくなったらとっとと離脱するから、それまでは戦うよ」

 3人の顔を見るがじっと見つめられた。

「レイラ、怪我はないか?」

「動き足りないわよ!」

「アイハ、行けるか?」

「行けるかじゃなくて、一緒に来いって言えば良いのですよ!」

「キャサリン、大丈夫か?」

「私も問題ない。それよりトニー殿の方こそ心配だぞ!?」

「よし、ガラじゃないけど、一人でも犠牲者は少なくしようぜ。やり直し前と違い呆気なさ過ぎるのが少し気になるんだ」

「時間経過が一日違うのですよね?その違いじゃないですか?」

 そうだと良いなと思いつつ、頷くと謁見の間へと急いだ。

 謁見の間に着くと、笑えないが笑うしかない状況だった。魔物も兵士も魔石を踏んで転倒する者が多く、そのお陰で膠着状態だ。パワーバランス的にジェネラル種が最大戦力のようで、まだ人の側にアドバンテージがあった。俺はあまり魔法を使えない。それは味方が多いからだ。下手に魔法を使うと俺の練度だと味方に当ててしまう為、俺も剣で戦う。突然足場を利用し、頭上から襲ってくる者達が現れたので魔物は不意を衝かれる形になり、一気に形勢逆転だ。

 俺もここぞとばかりに剣術スキルを開放し、3人で斬り結んでいく。アイハは王妃様の元に行き、魔法で守っていく。

 結局ジェネラル2匹をレイラ、キャサリンが仕留めたのが、魔物側で残っている最大戦力だったようで、そこからは一気に押し返した。
 ジェネラルを仕留めると統制がなくなり、精彩を欠いた敵は敗走した。逃げる場所もなく、恐慌状態で城の中を逃げ回っていた。

 途中からは殲滅戦になっていた。
 かなりの兵が死傷しており、レイラを俺の護衛に残し、キャサリンは行動の自由を与えた。俺は回復を使い、助けられる奴を助け回っていた。

 そうして30分程で城の中はクリアになり、システィーナに城の入り口を塞ぐのはもう大丈夫だからと伝えた。

 そこから回復魔法を使える者は、怪我人を治療して回った。

 俺も気絶する直前まで頑張ったが、国王達に半ば強引に引っ張られ、一度休めと言われた。顔色がどう見ても悪かったのだ。それと、正式にシスティーナと結婚してくれとこのような状況下にもかかわらしば国王と王妃様から懇願された。どうやらかなり焦っているようだ。

「俺は政略結婚とかいやですよ」 

「システィーナの事は嫌いなのか?」

「好きですけど、システィーナ様の方が嫌じゃないんですか?」

「システィーナがトニー殿を好いているのなら構わぬよな?」

「まあ、政略結婚じゃなければ」

「あの子の事をお願いしますわ。私の事は王妃様じゃなく、お義母さんと言うのよ」

「儂も陛下とかじゃなく、お義父さんと、な。」

 システィーナの意志が分からないが、取り敢えずシスティーナが好いてくれているならとの条件で結婚を了解した。

 気に入られたのと、現在この国の運命は俺が握ってしまった。収納に入れたコアが外に出てしまうと災害が発生するのだ。だから取り込みに必死なのかな?と。娘を宛てがって国に繋ぎ止めようとしている感じがする。

 そのように思っていたんだ。実際は違うんだけどね。システィーナが頼んでいたらしい。この国の王族貴族は基本的に女性からプロポーズ出来ないから、トニーの方からプロポーズするように説得して欲しいと・・・ヘタレだから俺の方から自主的に出来ないんだよね。見透かされていたんだ。

 俺は城の中の無事な部屋が少ない事も有り、システィーナの部屋に転がり込んでいた。そう聞いていたんだ。

 システィーナとふたりきりだった。
 俺はシスティーナを見ると涙が出てきた。あの時の光景が再び思い出される。生気のない目。無惨に辱められていた。人の尊厳を踏みにじられていた。俺はそのお腹に顔を埋め泣きじゃくるのであった。

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