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第2章
第109話 探し人
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教会の中に入ると、女神像の前に一人の女性が膝を付き、胸の前で手を組み顔を伏せて祈っていた。
紫のワンサイドヘアで、胸までの長さの特徴的なヘアスタイルだ。
俺が中に入ると、その女性の後ろから斬りつけようと剣を構えるスラナシスカの姿が有った。
理由が有るのだろうが、女性を、しかも祈りを捧げている相手を斬るのはありえない。その女性は粗末なワンピースを着ているが、神々しさを感じる位の後ろ姿美人だ。前が見たいぞ!じゃなくて止めなきゃ。近くにいた教会のシスターさん?が手に持っていた籠を落として震えていた。
「スラナシスカ!止めるんだ!」
俺は叫ぶと全力で駆けた。そしてスラナシスカは剣を振り始めた。
俺はスラナシスカにタックルし、その女性の横に剣の軌道を逸らす事に成功した。
ガキーンと剣が床に弾かれた。
「くっ!邪魔をするでない!」
俺はスラナシスカとその女性の間に割って入る形でスラナシスカに向き合った。
「何をやっているんだ?どんな理由があるか知らないが、祈りを捧げている人をいきなり斬るなんて駄目だろ!」
異様だった。祈りを捧げている女性は背後で物音や俺の叫び声が聞こえても微塵も動かない。耳が聞こえない訳でもないと思う。いや、気の所為だった。よく見ると震えていた。恐らく怖くて立てず、声も出せないのだろう。
「この者の所為であのダンジョンコアが暴走を始めたのですよ!」
「ちょっと待て。ターミスという奴の所為だろ?この女性がそうだというのか?」
「違います。彼女は私と共に下界に来たジュータスクで、彼女は能力を失っています」
「ちょっと待て、この女性からはスラナシスカ同様に聖人のオーラがある。悪事を働いていた者の魂とは違うぞ!」
漸く立てたようで、俺の背中に隠れてそっと腕を掴んできた。俺の肌に彼女が触れた瞬間彼女が何者かが分かった。記憶がおかしいが、彼女が女神だと理解した。魂に対して違和感があったが、漸く理解した。
そしてシスターが声を掛けてきた。
「どのような理由がある分かりませんが教会内で刃傷沙汰はお止めください。その方は昨夜ここで意識をなくされていたのを私共で保護した方です」
スラナシスカが怪訝そうな顔をし、ジュータスクという?女性に声を掛けた。美人タイプで気の強そうな細い目だが、温厚な性格をしていそうだ。スラナシスカより少し小さいがほっそりとしており、女性としては背が高い。胸は・・・モデル体型だ。
「確かにおかしいな。二等女神、動くなよ!」
スラナシスカはジュータスクの頭を掴み、持ち上げた。背伸びをしている状態だ。
「おまえ、私の事を見て何故名が出てこないのだ?」
「お初にお目にかかります。なぜ私や貴女様が下界にいるのか分かりませんが、私は転生し新たに女神となったばかりのジュータスクと申します。また、こちらの殿方は私の前世の夫であり、私の全てである、勇者右近権左右衛門時宗様の生まれ変わりです」
「俺そんな名前だったのか?一応今はトニーだぞ」
そんな事を言っている場合ではないのだが、つい突っ込んだ。ただ、このジュータスクという女性が自分が探していた最後の一人だと理解した。
「二等女神ジュータスクよ、そなたは私の事を知らないのだな?」
「はい。私は転移局に着任したばかりで、上位の方はターミス様しか知らないのです。あの方のお陰で転移局に着任できたのですが、何故私は下界にいるのでしょうか?ただ、右近様ではなく、トニー様と出会えた事は素直に喜んでおります。まさか転生して早々に再会できるとは思いも寄りませんでした」
「ここじゃなんだから、一旦城に行かないか?」
「分かった。もしも妙な事をしたならば私は迷わず斬るからな!」
スラナシスカは不思議そうにしてはいたが、取り急ぎ城に向かう事になり教会を後にしたが、そこにはぽかーんとなり立ち尽くしているシスターの姿があるのであった。
紫のワンサイドヘアで、胸までの長さの特徴的なヘアスタイルだ。
俺が中に入ると、その女性の後ろから斬りつけようと剣を構えるスラナシスカの姿が有った。
理由が有るのだろうが、女性を、しかも祈りを捧げている相手を斬るのはありえない。その女性は粗末なワンピースを着ているが、神々しさを感じる位の後ろ姿美人だ。前が見たいぞ!じゃなくて止めなきゃ。近くにいた教会のシスターさん?が手に持っていた籠を落として震えていた。
「スラナシスカ!止めるんだ!」
俺は叫ぶと全力で駆けた。そしてスラナシスカは剣を振り始めた。
俺はスラナシスカにタックルし、その女性の横に剣の軌道を逸らす事に成功した。
ガキーンと剣が床に弾かれた。
「くっ!邪魔をするでない!」
俺はスラナシスカとその女性の間に割って入る形でスラナシスカに向き合った。
「何をやっているんだ?どんな理由があるか知らないが、祈りを捧げている人をいきなり斬るなんて駄目だろ!」
異様だった。祈りを捧げている女性は背後で物音や俺の叫び声が聞こえても微塵も動かない。耳が聞こえない訳でもないと思う。いや、気の所為だった。よく見ると震えていた。恐らく怖くて立てず、声も出せないのだろう。
「この者の所為であのダンジョンコアが暴走を始めたのですよ!」
「ちょっと待て。ターミスという奴の所為だろ?この女性がそうだというのか?」
「違います。彼女は私と共に下界に来たジュータスクで、彼女は能力を失っています」
「ちょっと待て、この女性からはスラナシスカ同様に聖人のオーラがある。悪事を働いていた者の魂とは違うぞ!」
漸く立てたようで、俺の背中に隠れてそっと腕を掴んできた。俺の肌に彼女が触れた瞬間彼女が何者かが分かった。記憶がおかしいが、彼女が女神だと理解した。魂に対して違和感があったが、漸く理解した。
そしてシスターが声を掛けてきた。
「どのような理由がある分かりませんが教会内で刃傷沙汰はお止めください。その方は昨夜ここで意識をなくされていたのを私共で保護した方です」
スラナシスカが怪訝そうな顔をし、ジュータスクという?女性に声を掛けた。美人タイプで気の強そうな細い目だが、温厚な性格をしていそうだ。スラナシスカより少し小さいがほっそりとしており、女性としては背が高い。胸は・・・モデル体型だ。
「確かにおかしいな。二等女神、動くなよ!」
スラナシスカはジュータスクの頭を掴み、持ち上げた。背伸びをしている状態だ。
「おまえ、私の事を見て何故名が出てこないのだ?」
「お初にお目にかかります。なぜ私や貴女様が下界にいるのか分かりませんが、私は転生し新たに女神となったばかりのジュータスクと申します。また、こちらの殿方は私の前世の夫であり、私の全てである、勇者右近権左右衛門時宗様の生まれ変わりです」
「俺そんな名前だったのか?一応今はトニーだぞ」
そんな事を言っている場合ではないのだが、つい突っ込んだ。ただ、このジュータスクという女性が自分が探していた最後の一人だと理解した。
「二等女神ジュータスクよ、そなたは私の事を知らないのだな?」
「はい。私は転移局に着任したばかりで、上位の方はターミス様しか知らないのです。あの方のお陰で転移局に着任できたのですが、何故私は下界にいるのでしょうか?ただ、右近様ではなく、トニー様と出会えた事は素直に喜んでおります。まさか転生して早々に再会できるとは思いも寄りませんでした」
「ここじゃなんだから、一旦城に行かないか?」
「分かった。もしも妙な事をしたならば私は迷わず斬るからな!」
スラナシスカは不思議そうにしてはいたが、取り急ぎ城に向かう事になり教会を後にしたが、そこにはぽかーんとなり立ち尽くしているシスターの姿があるのであった。
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