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第2章

第113話 トニーの変化

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 城を出てから3日経過すると、トニーは何とか一人で排泄を出来るようになった。
 それまでは一人でトイレに行けなかったのだ。

 トニーは旅の間に少しずつ体を動かしており、自身に起こった変化に体が段々慣れてきたのだ。

 この間は順調だった。尤も国内を移動していたからだ。

 変に絡まれる事も無く、実にあっさりと進んでいた。
 そして4日目には完全復活し、2人の女神を従えていた。

 システィーナ達はトニーの変化に戸惑いつつも、その変化を受け入れていた。

 スラナシスカとジュータスクはその変化に驚き、魂が己の主と認めていた。そしてジュータスクは元々そうだが、スラナシスカも心から愛していった。肌を重ねたのもあるが、魂がそうさせていた。

 そしてトニーはキャサリンとレイラと剣の訓練をしていたが、可笑しかった。
 レイラとキャサリンが本気で掛かっても、かすりもしないのだ。

「俺が病み上がりだからって手加減すんなよ!」

 そう言われ、スキルまで使うが片手であしらわれていた。

「トニー、やっぱり貴方変よ。私達は本気でやっているのよ。下手をしたら貴方を殺してしまうかもと思いつつ渾身の力を込めているのよ」

 アイハも加わり魔法ありありでも駄目だった。

 スラナシスカとジュータスクは何が起こっているのか少しは分かっているが、やはりそうね位しか口にできなかった。ただ、お互いに分かっているという事だけは分かっていた。

 覇王のジョブの影響だった。
 本来あり得ないのだ。天界ならいざ知らず、下界で女神と肌を重ねてパスを繋ぐ人間など有り得ないのだ。

 並の人間ならば2人目の女神とひとつになってパスが繋がると、あまりにも膨大な魔力や生命力が女神に吸われ干からびるのだ。

 しかし、トニーは無限の魔力を供給するにまで成長したコアを収納に持っていた。なので死なずに済んでいた。そこから力を引き出していたのだ。

 スラナシスカもジュータスクも、トニーの事を恐ろしくさえ思えた。
 覇王とは本来特級神、そのなかでも最上級の神のみが持つジョブだ。

 トニーがレイラ達を圧倒したのは、下界にあるありとあらゆるスキルを取得し、カンストしているからだ。

 特級神は1級や2級女神に命じ、人にスキルを与える事が出来る。それを統括するのが覇王だった。つまり神の中の王だ。

 しかし、トニーはそのような事を知らない。

 トニーの不調は、スキルが大量に入ってきて、それらを受け入れられる体に変化していた為だった。

 本来持てない、種族固有スキルまで持っており、特級と2級女神を配下に置いた事で、人に対してスキルを付与したりすら可能となっていた。

 ただ、それにはまだ気が付いておらず、トニー自体はまだ己に起こった変化に気が付いていないのであった。

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