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第1章(高校生入学編)

第37話 ランク査定依頼と心のスイッチ

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 車に行こうとエレベーターを降りると、カバンを持った友里愛を愛姉が引っ張っており、階段で1階に向かうとそのまま多目的トイレに入る。

「人に見られたくないから短時間でやりましょう。さあ出して」

 友里愛はカードを出す。
 ゴブリン10枚とウォーリアー3枚だ。

 僕はカードの殆どを置いてきていたが、ウォーリアーは血を垂らしたのが1枚と何もしていないのが2枚カードホルダーにあった。

「僕も使い道の無いカードを出すよ。ウォーリアーは1番強い個体が残ると思うけど、念の為友里愛の2枚を合成してから僕が持ってきたカードを吸収させようか。それと少し検証に付き合って。提供するウォーリアーはその検証用のカードで、検証に付き合ってくれたお礼だから気にしないでね」

「ほら、血よ!」

 家で小瓶に取ってきたようで、袋ごと渡してきた。

 早速洗面台にカードを並べて行くが、ゴブリンとウォーリアーを各々合成する前に、検証からしなければだ。

 先ずは僕と友里愛が登録のみしたウォーリアー、つまり戦った事の無いカードが合成出来るかについて検証する。

 友里愛の血を僕の未登録カードに掛け、僕が登録したのみのカードと合成・・・出来なかった。
 次にこの前友里愛が使っていたウォーリアーと今合成出来なかったウォーリアーで試すと・・・友里愛のカードが残った。
 友里愛は目を輝かせながらその様子を見ている。

 次に合成していない友里愛の登録のみしたウォーリアーと死亡したウォーリアーを試すと2枚分のカードとして生き返った。

 生き返ったのと生き残ったのとどちらを残すか聞くも判断に迷ったようだ。

 僕はカードをシャッフルし、最後に友里愛に上下入れ替えをするか否かを聞いて上下を確定し、2枚同士合成したカードに血を掛けた。
 予測通り生き残りのカードが残った。
 レベルは共に2だったから、友里愛には運が強い方が残ると伝えた。

 最後に残っている僕の登録のみしたカードと重ねると吸収合成された。
 最終的に表記から生き残った友里愛が
 使役していたウォーリアーが全てを吸収する形で5枚分としてウォーリアーの合成が終わった。

 次にゴブリンを合成したが、こちらは特に何もなく終わったな。

 1番の収穫は、1度もラビリンスの中で使っていない他人の登録済カードと自分の登録済みのみカードでは合成出来ない事だ。
 但し、ラビリンスでの戦闘経験が有れば合成元とする事が出来ると判明した事だ。


 名前 キーン
 所有者 渚 友里愛
 種族 ゴブリン
 ジョブ アサシン
 性別 男
 ランク 1 κ
 レベル 1
 能力
 気配遮断


 名前 ショーナン
 所有者 渚 友里愛
 種族 ゴブリン
 ジョブ アマゾネス
 性別 女
 ランク 1 ζ
 レベル 2
 能力
 怪力

 僕はカードの内容をしっかり見ていなかったけど、合成前のを撮っていたから後で詳しく検証しよう。
 今はさくっと何をしたかのメモを取る。

「よし、後はラビリンスで検証しよう。あっ!ショーナン用の服とか有る?多分服が破れて裸になるから。今はバストのサイズとか分からないから防具が買えないんだよね」

「そっちは大丈夫よ。何着か持ってきたけど、男物がないわね」

「予備を買ったからそれを使おう。先ずはレイラを召喚後、ショーナンを召喚して服を着させる。その後、モーモンとゼッチィーニを召喚して装備品を変える。並行して男のカーヴァントを召喚後服を着させる。こんな感じだけど、先ずは合成していないカーヴァントだけで入り口近くをやり過ごさないと、他の人に見られるな」 

「考えがまとまったかしら?」

「オッケー!よし、血を洗い流してここを出よう!」

 綺麗に掃除をして僕がトイレの外に出ると人の気配がしない事を確認し、合図をして2人と合流して車に向かう。

 今日はギルドの車だ。
 一応、風曲の森の調査依頼を出して貰い、ランクの再設定を愛姉がするとしていた。
 正式には愛姉がランク査定をするからその補助なんだ。

 次にパーティー名の問題を解決したい。

「そうそう、何このパーティー名は?僕、聞いていないんだけど?」

「旋律の乙女は嫌だったの?」

 友里愛がうるうるした目で訴えてきた。
「いや、先程支払いをする時に、店のママからパーティーを組んだんだって言われ、パーティー名の由来を聞かれたけど答えられなかったからさ、知っておきたかっただけだよ」

「嫌じゃない?」

「う、うん。勿論素敵な名前だね!」

 友里愛はにっこりとした。 

「そのうち姉も入ると思うし、女の子中心のパーティーになるかなって」

 僕は乾いた笑いをし、由来を伝え忘れた事を謝られて話が終わってしまった。
 本当は別の名前にしたかったけど、それをしたら絶対友里愛に嫌われる!だから出来なかった・・・

 僕は男だよ!そりゃあモブで存在感が薄いのは分かるけど、何故かリーダーとして登録されているんだよ!流石にこれは問い詰めねば!

「なあ、何で僕がリーダーなの?見た目的には友里愛がリーダーの方が良いと思うんだけど」 
 
「うん。斗枡もちゃんとした格好をしたら格好良いと思うわよ。実力もあるし、やっぱりリーダーは男の子の方が舐められないわよね!妹さんがいるのよね?なんでそんな髪型なの?こうやって髪をかきあげ・・・ごめんなさい」

 僕の額には酷い火傷がある。
 幼い頃1度起こったスタンピードに巻き込まれた時に負ったんだ。
 だから髪型は額の傷を隠すようにし、目に掛かる感じなんだ。

「気にしないで」

「って、額当てをすれば良いんじゃないの!なぜしないのよ?」

 僕はあっとなった。

「今日は持ってきていないけど、普段は鉄帽なんだ」

「何よその鉄帽って」

「自衛隊員がかぶっているあれだよ。今日はラビリンスに入ると思っていなかったから持っていないな」

 そんな話を2人でしていると、風曲の森ラビリンスに着いた。

 そこには銃を持った自衛隊の小隊がいた。

「ご苦労様です。ギルドの璃音です」

 自衛隊員の1人がタブレットを操作した。

「一応身分証を・・・はい。間違いなく聞いている璃音様で間違いありません。再開に向けたランク査定と聞いておりますが、一緒に入るのはこの2名で間違いないでしょうか?」

「私とパーティーを組んでいる子達なの。まあ私の弟と妹みたいなものね」

「はっ!規則ですので入場に際し探索者証の提示を。はっ!仮認定は4ですので問題ありません。24時間で戻らなければ捜索隊を派遣する事になりますのでご注意を!」

 僕は敬礼に対し答礼すると服を脱ぎ、バトルスーツになりラビリンスに入るべく心のスイッチを切り替えた。

「ッシャー!行くぞ!」

 そして服や装備品を入れたでかいカバンを担ぎ、ラビリンスの中へと入るが、僕の変化に友里愛は少し驚いていた。
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