ダンジョンから始まる異世界生活〜異世界転移した勇者なのに誰も拾ってくれませんから、ダンジョン攻略しちゃいます〜へなちょこ勇者の成長記

KeyBow

文字の大きさ
28 / 195
第3章 大輔編

初戦闘

しおりを挟む
 二時間はあっという間だった。最後の一時間は休憩と戦闘衣装への着替えの時間であった。大輔は真っ白な戦闘服を着させられた。理由は血が目立つからだった。

 実剣を選ぶがブロードソードでも重くきつかった。なので、細剣であるレイピアを選んだ。剣を受け止めると折れるぞと言われ、受け流す様にアドバイスを貰う。回りには屈強な奴らが稽古をしたり、武器や装備の手入れをしていた。

 心の準備が出来ていないが、奴隷の首輪がある以上従うしかないと理解はしていた。

 大輔は納得がいかない。日本にいてたのに突然転げて気絶し、気がついたら剣闘士にさせられているのだ。しかも奴隷になっている。名前は何故かダイスと呼ばれた。どうやら負け決定で強者にいたぶられての殺され役になるらしく、死にたくないとオロオロしていた。

「なあ、何で俺をダイスって呼ぶんだ?」

「ああ?お前が握っているダイスだが、後生大事に気絶していても離さなかったからだよ」

「ああ、確かにこれはダイスだ!成る程。じゃあ、俺はダイスだと名乗れば良いんだな!」

「生意気だが物分かりが良いじゃないか。俺の指導が無駄にならんよう頑張れ。戦いの行方を占うのに折角のダイスを振らんのか?」

 大輔は云われるがままにダイスを転がす。言われたのもあるが、何故かダイスを振らないといといけないと思ったのだ。ダイスを転がすと出た数字は5である。

  頭の中にアナウンスが響き、「ラッキー度5、プチラッキーを引きました。次にダイスを回すまでの時間は1分です」

となぜか頭に響き渡った。

  今は闘技場の中に入ろうとしていた。大輔達がいた小汚い部屋とは通路を隔てて入ることになるが、闘技場の全貌が分かるような位置関係にいない為に、どれぐらいの大きさなのかは見当がつかなかった。そうして中に入ろうとしていると何かが上から落ちてきた。拾った所

「ラッキーだな。それは心臓を守る防具だな。しかもかなり高いやつだぜ。ちょっと待ってろ。今着けてやる」

 そうやってガラグは服の下に着けてくれた。皮鎧も俺は禁止らしく、許可されるのは精々落ちてきたような胸当て位だが、普通初戦の奴は持っていない。武器だけは貸し出される。1勝したら鎧は許可されるらしい。

 今は控室?にいる。
 大輔は妙に落ち着いていたが、ドアが開き兵士のような者が現れ

 「小僧出番だついてこい」

 死刑執行人が宣告に来たとしか大輔には思えなかった。
 多分今いるのは異世界だろうと感じていた。それは猫耳?いや犬顔の者がいるが、本当に犬の顔をしていて、作り物や仮面というものではなく、本物と分かる者達がいるのだ。地球にはそういう者はいない。なので大輔はなぜそうなったかはともかく、日本から遥かに離れた所にいるというのは目を覚ましたとたんに理解はしていた。

 どうして自分がこういう事になっているのか?その謎について考える余裕はなかった。

 ただひとつ言えるのは自分が奴隷にされ、命令に従わないと死ぬほど辛い思いをし、最悪の場合息ができなくなり死んでしまうという事である。

 正直闘技場なんかで戦いたくはない。しかし戦えと命令をされている以上、逆らえば死が待っている。戦って死ぬか戦わずして悶え苦しむか。どうせなら自分の手で運命を切り開きたい。そう思って闘技場に挑んで行く。

  案内役の者が言う。

「 ここで扉が開くのを待つんだ。扉が開いたら中央に行きそこで相対する者と向き合え。そして司会の者が始め!といったら戦闘の始まりだ。一応降伏は認められるが、 対戦相手が拒否した場合は戦闘の続行で、どちらかが戦闘不能になるまで続けられる。しかも戦闘不能にならなかった方に生奪与奪権があるから、気絶してしまった後に司会が相手に勝利宣言し命を助けられるか、情けを掛けてくれて勝利宣言をするか、首を切り落とされるかは対戦相手次第だ。以上で説明は終わりだ」

  と言うと無情にも扉が開き闘技場の中が見える。大輔が中々中に入ろうとしないので 案内人が大輔の背中を押して来た。

 大輔は押し出されれ闘技場の中に踏み込まされた。中央には既に対戦相手と思われる派手な服を着たイケメンな奴がいた。そして司会が 宣言を始める。

 大輔は感じる。ここは映画などで見る コロシアムというやつだと。内部の大きさは400mトラックと遜色のない広さだ。丸型ではなく楕円形の闘技場で、観客はおそらく1万人位になるであろうと思う。そしてメインスタジアムような場所に、おそらく貴族や王族などの金持ちなどの為の VIP席があると思われる。

  一瞥しそう感じたのだが司会が

「 レディースアンドジェントルマン。さあ待ちに待った本日のセミファイナルです 。主役は破竹の勢いのイケメン王子こと血まみれのダリルだ。そして今日の相手は 無名の新人ダイス君だ。さあ皆さんもう既に掛けたかな?なんとこの不幸なダイス君が勝ち残り、ダリルが倒れるオッズは100倍だ!そしてダリルが死ぬのは1万倍だ!掛ける奴はいないか?いないか?いるわけないようだな。ダリルの負けに掛けるのはダイスの座長以外はいないようだな。 両者見合って。それでは」

 そういったところで 先のイケメン王子と言われたダリルという者が両手を掲げ観客を煽っていた。司会は無視をし、始めと声をかける。そう、始めと。

 しかし 大輔は一歩を踏み出せずにいる。左手に盾、右手にレイピアという出で立ちだ。

  対するダリルというのはどうやら鎖帷子を着ているようだ。それも派手派手しい布を上からかけている。

 剣の方も装飾のされたブロードソードを装着していた。そして大輔に背を向け、観客の方に向けて相変わらず手を上げて叫けんでいた。

「やあ俺の恋人達! 今日も俺の華麗な闘いを見て、俺の事を褒め称えるんだ!さあこいつが何撃耐えられるかな?おいおい坊主ちびるなよ!俺にてめえの汚ねえションベンかけるんじゃねーぞ。 かけたら楽に死ねると思うなよ」

 ダリルは 余裕ぶって剣を鞘に収めたまま大輔に近づき挑発している。大輔は今踏み込めば確実に死ぬと認識し、踏み込めずにに震えていた。先程までは運があればなんとかなると高を括っていたが、相手の立ち居振る舞いや余裕からくる雰囲気、強さに飲まれて完全に蛇に睨まれた蛙状態であった。そして戦いは無情にも始まるのであった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、ひょんなことで死亡した僕、シアンは異世界にいつの間にか転生していた。 とは言え、赤子からではなくある程度成長した肉体だったので、のんびり過ごすために自給自足の生活をしていたのだが、そんな生活の最中で、あるメイドゴーレムを拾った。 …‥‥でもね、なんだろうこのメイド、チートすぎるというか、スペックがヤヴァイ。 「これもご主人様のためなのデス」「いや、やり過ぎだからね!?」 これは、そんな大変な毎日を送る羽目になってしまった後悔の話でもある‥‥‥いやまぁ、別に良いんだけどね(諦め) 小説家になろう様でも投稿しています。感想・ご指摘も受け付けますので、どうぞお楽しみに。

処理中です...