ダンジョンから始まる異世界生活〜異世界転移した勇者なのに誰も拾ってくれませんから、ダンジョン攻略しちゃいます〜へなちょこ勇者の成長記

KeyBow

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第4章

お姫様抱っこ

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 エニーは幸せだった。好きな人、愛する人に命懸けで護られていたのだ。大いに役に立ち、今はおんぶされてさえいる。晃の背中は広いなあ!とくんすかくんすかとなっている。その温もりを感じていた。一方晃はエニーの胸の感触とお尻の柔らかさにに悶々としていた。それとは別に感謝していた。エニーは紙装甲で、防御力は殆どない。しかし自分を信じ、極大魔法に専念して他人に命を預け、決定的な魔法を放ったのだ。

 まさに最初に見たあのエニーだ。しかも今は魔力を使い果たし動けない。しかし、おんぶしているが、次第にずり落ちてきた。しがみつけない状態にまでなっており、疲れ果てているのが分かる。

 晃は一度降ろして汗を拭いお姫様抱っこに切り替えた。キャッ!っという短い悲鳴と周りからのきゃーという羨望の声が上がる。

「ごめんねエニー。おんぶじゃなくて始めからこうすれば良かったね。僕は君が好きだ。初めて助けられたあの時に既に僕の心は君に囚われているんだ。愛している。」

 しおらしいエニーについつい言ってしまった。

「は、は、恥ずかしいです。みんなが見ているんですよ。私も愛してます。今日確信しました。晃様に愛されているんだなと、私にはこの人が必要なんだなって。帰らないで。ずっとこっちにいて欲しいの!我儘だって分かっているの。でも晃様がいないと私ね、おかしくなってしまいそうなの。」

 晃は何も言えなかった。
 葛藤していたのだ。この少女が好きだ。愛してさえいる。でも日本に未練がある。愛する女性達を取り、両親と今生の別れをするか、愛する女性達を諦めるかで悩んだのだ。

 ただ、選択肢が自分にあるのか無いのか分からなかった。
 もう少し見極めてから、帰れるか帰れないか判断したかった。しかし、エニーは敏感だったのだ。

 それはともかく、晃はエニーの温もりを、女性の体の柔らかさを感じ取り、ついつい意識してしまう。

 屋敷に着いたのだが、まずはエニーと自分にクリーンを掛けた。エニーをベッドに寝かせたが息が荒い。唇を求めてしまい、気がついたらキスをしていた。はっとなり、魔力を送り込む。魔力チャージだ。単なるごまかし行動に過ぎない。暫くして口を離す。エニーの呼吸が落ち着いてきた。エニーの傍らに座り服のボタンを外して楽にしてあげた。胸の感触がたまらないが、我慢だ。布団を掛け頭を撫でる。

 寝ていると思い手を握り話し始める。

「僕はエニーを抱きたい。でも今は駄目なんだ。向こうに帰る事になるのか、留まれるか分からないんだ。100階層にその答えがある気がするんだ。だから君の想いに応えるのはもう少し先かな。この世界を去るならば君達を綺麗な体のままにしてあげたいんだ。そしてちゃんと誰かを好きになり結婚して子供を産んでほしいんだ。実際僕にはエニーがいない生活はもう考えられないんだ。実はもう、両親には悪いけど、二度と会えない選択をするつもりなんだ。僕に選択肢があればね。君達を好きな気持ちを抑えられない。帰りたくないんだ。今はエニーを愛していると気がついたんだ。ごめん父さん、母さん。多分もう会えない。エニー助けて。強制送還が怖いんだ。って愚痴っちゃたね。僕の魔力を分けたから少しは楽になった筈だよ。おやすみなさい。愛するエニー」

 晃は部屋を出ていった。
 エニーは泣いた。晃の覚悟を意図せずに知ったからだ。更に、キュンとなり、全身で晃らを感じていた。
 自分の魔力より晃の魔力が今は多い。しかもチャージされたのはマックスの倍だ。少しすると激しく痙攣し意識を手放す。晃の膨大な魔力と己の魔力が反応し、ステータスに良い意味での異変が始まったのからであった。
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