異世界でぺったんこさん！〜無限収納５段階活用で無双する〜

第１章

第75話 購入

　俺は玄関を入った所でついつい固まった。
　仕事柄多くのお金持ちの家、世間一般的に豪邸と言われる所を多く見てきたつもりだったが、そんなレベルではない。

　大富豪の豪邸を想定していたが、各学年5クラス程度ある小学校の校舎並、いや、それ以上の大きさだった。冷や汗がでる。

　風呂場やキッチンなどの水回りは１階に集中しており、使用人室以外居室はない。２階には大広間と居室や客室がある。居室は小部屋ばかりだ。

　３階に居間と主人の寝室や、大き目の居室等があり、布団や家具もそのままなので、ジャック氏が言っていた通り即住めそうだった。

　これだとホテルを買って、そこの最上階にオーナーとして住まう感じになってしまう。

「ざっくり見たが、まずまずだな。どうするんだ？」

「ニーナの判断に任せるよ。俺の出身地を忘れてやしないか？」

「アイリーンは？どうなんだい？」

「私もレオンと同じよ」

「じゃあ購入するって事で良いな？アタイだけで判断するなら買うんだぜ！」
　
「よし、よく分からんが、ニーナの判断を信じるよ。因みに金額は幾らだ？」

「お気に召されたようで何よりでございます。金貨９８００枚にございます」

「お釣りは貰えるのか？」

　俺は鞄から財布を出す振りをして収納から財布を出し、そこから白金貨を出した。シングルＣＤ程の大きさだ。

　ニーナはアチャ～といった顔をした。

「レオン、値引き交渉とかするべきだろ？」

「今後の事を考えると、不要だぞ。それにな、俺の・・・いや、その、俺の知る限り、女の前で値切るのは恥なんだよ」

「ま、待てレオン、金額を考えろ！即決する額じゃないだろ！」

「あのう、そんなに高いのですか？」　　

「アイリーン、金貨１枚の価値を知らないのかい？普通の家庭が１年生活するのに必要な額なんだよ！」

「つまり？」

「そうだな。約２５００世帯の年収だ。もっとわかり易く言えば金貨１枚は２００万円から５００万円相当で、この屋敷は２００億円から５００億円位の価値が有るんだ」

　アイリーンは貨幣価値が分かっていなかった。考えていなかったのだ。成績は学校でもトップクラスだったが、気にしていなかった。正確にはそこを考える余裕がなかったのだ。

「嘘！そんな、この貨幣ってそんなだったんですか？あそこで投げて遊んでいましたよね！？」

　アイリーンは頭を押さえ、青くなっていた。これだけのお金を持っていれば最早遊んで暮らす事が出来るのだ。だけどレオンからはそのような気配はしない。

「いかが致しますか？」

「急がないからお釣りを宜しく。支払いはこれで大丈夫なのか？」

「はい。勿論大丈夫でございます。ただ、これはクマーシャルの貨幣ではなく、アーリバンのですな？」

「問題が？そもそも俺が連れてきた奴隸はアーリバンのなんだ」

「問題ないのですが、何せ金額が金額なだけにお釣りを用意するのには１か月は掛かりますが宜しいか？」

「金には困っていないから大丈夫だけど、手続き等はどうする？」

「はい。商人ギルドにて行えばスムーズでございます」

　結局、俺とニーナとで商人ギルドに行って支払いと手続きをする。但しアイリーンには奴隸達の面倒をお願いした。

　奴隸達を一旦屋敷の中に入れ、２階にある広間で休ませる事にした。また、馬車を車庫に入れたり、馬を馬房に入れさせたりするのだが、それらを誰かが見守る必要があり、アイリーンにお願いした。

　そうして手続き等をして、取り敢えず屋敷を手に入れたのだった。、