異世界ロマンはスカイダイビングから!

KeyBow

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第2章

ダンジョンについての依頼

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 昨夜は色々有ったが、今朝は普通に起き、ダイニングに行くとシャクラが朝食を作っていた。

 昨日の朝食とは大違いだ。
 当夜にはもうひとつ秘密がある。
 ドール2を起動していると味を感じないのだ。止めると味覚が復活する感じだ。

    昨日の事はそんな味覚の無い状態の為の出来事で、当夜には砂糖と塩の区別がつかなかったのだ。この世界の塩と砂糖を知らないから、外観で分からなかった。といっても、食塩は元素記号naclの結晶だから概ね分かるものなのだが、当夜には分からなかったのだ。

 シャクラは当夜の体の異常を疑っていて、今朝の食事前に試した。

 シャクラはコーヒーをどうぞと当夜にグラスを渡した。但し、注いだのはコーヒーではなく、辛子のエキスの水割りだ。普通なら口に一口含めると噎せてのたうち回る位強烈なのを用意していたのだ。

 シャクラほ当夜が飲み物を飲んだのを確認し

シャクラ「ねえ当夜、特製コーヒーのお味は如何?」

当夜「うん、ありがとう。美味しいコーヒーだね」

 この一言にシャクラはグラスをひったくり、無理矢理アモネスに飲ませた。

 アモネスは女の子が発しちゃいかん悪態をつきながら噎せてのたうち回った。完全にとばっちりを受けた形で、ひどい仕打ちである。

シャクラ「当夜、これコーヒーどころか、アモネスのようになるのが普通よ。当夜は味を感じないのでしょ?」

 当夜は頷いた。
 正気に戻ったアモネスとレグナスも驚いて唸った。

シャクラ「どうして教えてくれないの?大事な事だよ!私は貴方と心をもっと通わせたいの!」

 シャクラは必死に訴えて泣いている。当夜は項垂れて

当夜「すまない。気を使わせたくなかったんだ。ドール2を発動していると味を感じないんだ。解除すれば再び味を感じるんだが、そうすると体を動かす事が出来なくなるんだ」

 当夜はいつの間にか三人に抱きつかれ、涙を拭かれていた。不甲斐なかった。出来れば知られたくなかった。みっともないと感じたからだ。

シャクラ「じゃあ家での食事の時は解除しなさいよ」

当夜「無茶言うな!食べられないじゃないか!」

シャクラ「そ、そんなの、私達が食べさせてあげるに決まってるでしょ!ちゃんと私の愛の籠もった料理を味わいなさいよ!あんたの為に腕を振るっているんだからね!」

 渋々ドール2を解除するも途端に椅子から落ちかけ、ルナが慌てて押さえていた。そしてシャクラがパンをちぎり、口に運ぶが中々うまく出来ない。痺れを切らせ、口移しで当夜の口にパンを入れていた。
 シャクラはハッとなり、もじもじして真っ赤である。

当夜「あ、あのな、食べさせて貰うのは慣れているし、美少女の口移しは嬉しんだけど、ちょっと恥ずかしいかな。出来れば普通にお願いしたい」

 その後はパンもちゃんと食べさせられるようになって来て、あーんな食事も終わった。当夜の気持ちは複雑だった。ドール2のお陰で味が無くなるとはいえ、自由意志で、自らの手で食事をする事が出来ていたのだ。それをまた人の手で食べさせられるというのは、惨めな寝たきり生活を思い出すので少し辛かった。

 しかし、当夜の性格からは、あーんをやめて欲しいとは、シャクラ達の気持ちを考えると言えなかった。普通の男なら美少女達からのあーんはある意味夢である。

 当夜は彼女達が好きなのだ。人を初めて好きになり、愛してしまった。ひとまず何か問題が発生しない間は受け入れようと覚悟を決めたのだ。彼女達の無償の愛が心地良かった。歪んだ人格の持ち主の当夜の心が矯正され、今では紳士になりつつある。

 ただ、飲み物がどうにもならなかった。結構口から溢れるのだ。シャクラが短気で、今日は口移しだった。食後にストローについて話をしたが、どうもこの世界ではストローが無い。又はこの子達が知らないだけかもなのだ。地球では元々ストローは稲や麦等の植物の茎を使っていた。プラスチックのストローが普及したのは高々100年にも満たない。植物の茎を使ったストローは、地球では紀元前から使われているのだ。
 一度道具屋で聞いてみる事にした。当夜は強く思った。流石に口移しでは恥ずかしいとかの問題ではなく、飲みたい量をコントロール出来ないので辛い。勿論キスは好きだ。でも、これはキスじゃないと。

 食事を終え、ドール2を再展開した。再び動く事ができてるようになり、食器等の洗い物をしようとしたら断られた。キッチンは女の場所と凄まれてしまった。

 因みにこの世界に男女平等というのは無い。男尊女卑の世界だ。なので、プロの料理人以外は既婚女性=家事をする人と、戦前の日本のような価値観だ。当夜には理解できなかった。男女平等が当たり前だと、そういう世界で育ったのだから。

 当夜は仕方がないので、風呂掃除を自分の担当にした。実は洗濯も断られたのだ。女性の下着を恥ずかしいとは思わないのだが、アモネス達が恥ずかしいと言い、洗濯はアモネスの当番になった。家の掃除はレグナスが担当し、家事分担が何とか決まった。ルナは庭の草むしりと馬の世話だった。ルナは調理ができないし、味にも関心がない。食事はエネルギーと栄養補給と体の維持の為としか感じていない。体に良ければ何でも良かったのだ。

 一通り家の事も終わり、ダンジョンについての話をする為、ギルドに向かう事にした。多分攻略を行う事になるのだろうと半ば当夜は確信していた。

 家の事も一通り終わったので全員で一路ギルドへ向かった。時間指定でギルドマスターの所に行く事となっている為、指定時間の少し前にギルドに着いた。
    驚いた事に受付の所でギルドマスターが待っていて、ギルドマスターの執務室に連れていかれた。部屋に入るとそこには既に一人の男がいた。歳は40代半ば、中肉中背で身なりが良く貴族っぽい服を着ている。

 ギルドマスターが紹介してくれたが、この国の摂政というのだ。
 まだかなり早い時間で、普段はまだ執務開始前という。
 ダンジョン発見の報で、国が揺れ動いている事や、お互いの自己紹介の後摂政が話し始めた。

摂政「君達があのダンジョンの第一発見者なんだね。良いダンジョンならダンジョンを中心に街も発展するし、王都街からも隣町なので比較的近い。ただ、近年発見されたのは良くないダンジョンばかりだ。君達に指名依頼を出したい。可能ならダンジョンを攻略して欲しい。無理なら可能な限りどんなダンジョンか調査をお願いしたい。報酬は・・・」

 摂政直々のお願いだ。流石に断れる訳もなく、今日これから向かう事となったが、当夜は一つだけお願いをした。街までの馬車の手配と、馬の世話だった。中々素直で良い馬で、当夜にも懐いていて今では家族の一員だった。名前をジョナサンにしている。当夜達のお願いは至極当たり前の話で、ダンジョンに数日は籠もるからだ。馬はギルドで預かる事となると言うか、当夜達の馬車をギルド職員が御者をしてくれて、ダンジョンへ送った後ギルドへ乗って帰り、そのままギルドにて預かるという事となった。

 当夜達は依頼を受託する事となり、ルナとレグナスが馬車を取りに、アモネスが手続きを行い、当夜とシャクラは急いで食料の調達を行う事になった。1時間後に出発となった為に、テキパキと準備を進めるのだった。

     そして一時間後にギルドに集合し、ギルド職員が手綱を握り出発していったのだった。
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