異世界ロマンはスカイダイビングから！

第２章

国王に嵌められた

　馬車に乗る前の当夜はちょっと気になる事が有ったのだが、色々あり馬車に乗った頃には忘れてしまっていた。帰りはルナが御者をしているが、当夜は困っていた。右にシャクラ、左にケイトが抱きつきっぱなしなのだ。何を言うでもなく、無言で当夜を取り合ってのいがみ合いだ。顔を合わす度に「フン！」と顔を背ける。片方が当夜を引っ張ると負けじと引っ張ったり、これみよがしに腕を絡ませ胸を押し付けてくる。これが二人共機嫌が良ければ胸の感触にウハウハなのだが。

　鈍感な当夜にも分かる。ケイトに惚れられていると。綺麗な娘で、上品な佇まい、それでいて行動的であり、お淑やかで良い娘だなとは思う。シャクラとの意地の張り合い、これが無ければ女神にすら思える雰囲気が有ったのだが、これの為既に弄られキャラ２号認定である。

　しかし強制禁欲者の当夜には女性として見る事に関してはどうにもならない。異性として性的な対象に見れず、父親が娘を、年長者が保護対象と思う位にしか思っていない。

　シャクラとキャラが被るので二人は折り合いが悪いのだろう。
　二人共顔つきは幼いが綺麗な顔つき、闊達な性格、きつい物言い、大きな胸とキャラが被るのだ。勿論姉妹のように顔が似ているわけじゃないが、二人共可愛らしいのだ。そう、ライバルと認識してしまったのだ。
　シャクラは自分のポジションが脅かされると、ケイトは当夜に見初められるのにはシャクラが一番の障害だと認識したようだった。ケイトは既にアモネスとは仲良く出来ている。

　当夜は本当に悩んでいた。人となりも、見た目もケイトは文句なしのレディーだ。結婚の申込みも相当多い筈だ。どこかでダンジョン姫の事は聞いたし、国民にも人気のある女性だ。理由が分からないのだ。接点が無い。国王との会食以外でダンジョン姫と合った記憶がない。陶冶は自分の顔はせいぜい二枚目程度で超イケ面で、顔で落としたとかの訳じゃないはずなのだ。思い出せなくて悶々としていた。

　夕方前に城門に着くが、ケイトのお陰でサクッと入れた。
　そして城に着くと、当夜達はそのままどこかの部屋に通された。
　そこでは驚いた事に王が居た。

　ケイトが手紙を渡すとその場で手紙を確認していきなり当夜に近づきハグしてきた。
　ケイトを含め皆驚いた。

　ダンジョンのお陰で国が潤う事必須なのだ。面談中の貴族との話を中断してまで来たという。

　そして王に問題が少しあるが実行可能故、逆らえない頼みをされた。

国王「ケイトを君達のパーティーに加えて、一緒に暮らしてやって欲しい。必要なら娶って欲しい」

　当夜は驚いて

当夜「私は構いませんが、ケイト嬢の意思を無視したくは有りません。それにいくら国王様の頼みでも、私をこの国に縛り付ける為の人身御供的な政略結婚はお受けかねます」

国王「ああ、大丈夫じゃ。彼女からの頼みだからな。今構わんと言ったのう！確かに聞いたぞ！妻を複数娶る事も、この４人がそうであり、今のままだと子を成せないのも承知しておる。儂もお主の事を気に入っておるし、本人の意思で嫁ぐと言うとるのだから問題なかろう。ケイトを頼んだぞ」

　ケイトを見ると頷いている。シャクラは項垂れている。そう、当夜は嵌められたのだ。ケイトを娶る了承を本人と国王の前で堂々と話に乗せられて言ってしまったのだ。そう当夜はやらかしました！。

　当夜は心ここにあらずの状態で六人で家に帰るのであった。