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第二章 逃亡編
第23話 魔物の群れ
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交代の時間までまだ少しあったが、ルースが二人のところに行くと、二人は背中を合わせ、周りをきちんと見張っていた。
「お疲れ様。何か変わった事はあるかい?」
ソフィアがきょとんとしながら逆に聞いた。
「特に何もありませんでしたが、もう交代の時間でしたか?」
「その、あ、あの二人がさ、もぞもぞやっててさ、いずらくて出てきたんだ」
「もうミライったら!あれほど言っておいたのに!」
「そうやって名前で呼び合うんだ。ミライさんと君達は仲良くしているの?」
「はい。私達だけの時はお互いを呼び捨てで呼んでいます」
「そうなんだ。それでもまだ僕の事は様付けなんだよね?」
「は、はい。申し訳ありません」
「いいんだ。まあ、いずれ君達に呼び捨てで呼んで貰える位の信頼を得られたらとは思うよ。うう、今夜は寒いね。二人共おいで。こうすると暖かいよ」
そう言って二人をその胸に抱き寄せ、毛布を一枚掛けて包まった。ただ、ルースの背中は寒くなってしまうが、彼女達の背中はルースの胸に当たっている形だ。彼女達を優先したのだ。
「ああ!ちょっと恥ずかしいですが、その、暖かいです!」
彼女達はそうは言うが真っ赤だ。ルースの手が腰と言うか、お腹に回されているからだ。
どれ位そうしていただろうか、2人がウトウトし始めた。
そうしていると、魔物か何かの気配がした。と言っても、気配のする方向とはまだ100m以上離れているので、すぐにどうこうという事はないが、ルースは二人をそっと起こした。
「そろそろ交代の時間だから、馬車の中で寝るといいよ」
「も、申し訳ありません」
「ん?しっかり寝ておかないとこれからの旅がきつくなるからね。おやすみ」
彼女達を馬車に送り届けてから3分待った。
「さあ行きますか!?」
と呟いてから獣の気配のする方に、ヌンチャクを片手に歩いて行った。抜き足差し足で気配や物音を立てないように慎重に進んでいた。
風上に魔物がいたので臭いでその存在について分かったのだ。
その為先制攻撃が出来た。というか、既に何かと戦っていた。一頭の何かを追い詰めていたようで、夜中だが狩りか?と思った。
総勢20頭以上がおり、こちらの存在にはまるで気が付いておらず、半分程度までは正にワンサイドゲームだった。
面白いようにヌンチャクが当たっていた。背後から潰している感じで、つい、ほあー!とかアチョーとか唸っていた。
今は馬車から80mほど離れていて、馬車の中にいればまずもってして安全だった。
ただ、半分程倒した辺りで反撃に合い、何カ所か噛まれてしまっており、血塗れになっていた。
ソフィアとアルテミスに対する煩悩を払うが如く、夢中になりヌンチャクを振るった。
伸び縮みが自由自在でどんどん魔物を倒しており、魔石を大量生産していた。
段々とだが、背後からの攻撃もなんとなく気配で分かり、爪で引っ掻き傷を負うも、紙一重で躱す事ができている率が上がっていた。ルースはこの上ないくらいに昂奮していた。
一つ間違えれば命に関わる、そのような命のやり取りをする緊張感が堪らなかった。そうやって戦闘センスを上げていた。ほあ~!、あちゅうあ!とかくうぇあ!とか変な声を出し、ビンビンに興奮していたのだ。
生きている!と実感した。爪が頬を掠めると、お返しとばかりにその獣にヌンチャクの一振りを浴びせ、情け容赦なく倒していった。
額を砕いたり、横から薙ぎ払ったり、時には蹴りを入れたりしていた。その中には一撃では死ななかった奴もいたようで、手負いの状態でも向かってくる奴がいた。
最後の一頭がそうで、群れのボス?と一瞬思った。一回り大きく立派だったからだ。
ルースも額に怪我を負い、血が目に入ってしまった為か左目が見難くなり、実質片目の為距離感が狂っていた。
中々攻撃が当たらなかった。向こうも同じで、お互いに息が上がっている状態だった。
かれこれ一時間位だろうか、躱し躱されるのを繰り返したりと、膠着状態が続いていた。息を整えるとどちらからともなく突撃し、また離れていた。
お互いに強敵だ!強いな!と慎重に対峙していた。
そうこうしていると夜が明け始め、辺りが明るくなってきたが、違和感があった。奴には魔物特有の角がないのだ。狼を大きくした感じで、体高は大人の熊程ある。四足でいるとルースより頭一つ小さいだけの巨躯だ。しかし邪悪な感じが一切しなかったのだ。
その体を見ると、ヌンチャクが当たったのも有るが、殆どは魔物による傷だった。
急激に冷静になり、ふと思い出した。そういえば魔物が何かと戦っていたな?と思い出したのだ。そうか!こいつかと。
だが、そんなルースを見て隙有りとみたのか、突進してきたが、丁度ルースの背後から日が昇り、獣から見ると逆光になった。
その為狙いが狂ったようだが、ルースはそこを見逃さず、その前脚を掴み投げた。一本背負いに近く、ルース自身もそのままその腹にダイブした。
頭を打ったようで、その獣は気絶した。
ルースはようやく自分自身にヒールを掛けられるようになり、傷を治していった。
10分程で獣が意識を取り戻したようで、己が負けたのだと理解したようで、体を起こしてもルースが再度襲って来ない事から様子を見ていた。
「言葉が分かるといいけど、お前強いな。奴らと戦っていたのか?お前は彼奴等の敵か?僕も仲間を守るのに戦ったけど、どうも君は敵じゃないな」
不思議そうにしていたが、ルースが近づこうとしたので警戒したようで、立ち上がった。
その様子を見てルースは武器をしまい、片手を上げて敵意のない事を何とか示そうとした。
武器をしまったので攻撃されないと感じだようで、警戒をしつつもルースの接近を許していたのであった。
「お疲れ様。何か変わった事はあるかい?」
ソフィアがきょとんとしながら逆に聞いた。
「特に何もありませんでしたが、もう交代の時間でしたか?」
「その、あ、あの二人がさ、もぞもぞやっててさ、いずらくて出てきたんだ」
「もうミライったら!あれほど言っておいたのに!」
「そうやって名前で呼び合うんだ。ミライさんと君達は仲良くしているの?」
「はい。私達だけの時はお互いを呼び捨てで呼んでいます」
「そうなんだ。それでもまだ僕の事は様付けなんだよね?」
「は、はい。申し訳ありません」
「いいんだ。まあ、いずれ君達に呼び捨てで呼んで貰える位の信頼を得られたらとは思うよ。うう、今夜は寒いね。二人共おいで。こうすると暖かいよ」
そう言って二人をその胸に抱き寄せ、毛布を一枚掛けて包まった。ただ、ルースの背中は寒くなってしまうが、彼女達の背中はルースの胸に当たっている形だ。彼女達を優先したのだ。
「ああ!ちょっと恥ずかしいですが、その、暖かいです!」
彼女達はそうは言うが真っ赤だ。ルースの手が腰と言うか、お腹に回されているからだ。
どれ位そうしていただろうか、2人がウトウトし始めた。
そうしていると、魔物か何かの気配がした。と言っても、気配のする方向とはまだ100m以上離れているので、すぐにどうこうという事はないが、ルースは二人をそっと起こした。
「そろそろ交代の時間だから、馬車の中で寝るといいよ」
「も、申し訳ありません」
「ん?しっかり寝ておかないとこれからの旅がきつくなるからね。おやすみ」
彼女達を馬車に送り届けてから3分待った。
「さあ行きますか!?」
と呟いてから獣の気配のする方に、ヌンチャクを片手に歩いて行った。抜き足差し足で気配や物音を立てないように慎重に進んでいた。
風上に魔物がいたので臭いでその存在について分かったのだ。
その為先制攻撃が出来た。というか、既に何かと戦っていた。一頭の何かを追い詰めていたようで、夜中だが狩りか?と思った。
総勢20頭以上がおり、こちらの存在にはまるで気が付いておらず、半分程度までは正にワンサイドゲームだった。
面白いようにヌンチャクが当たっていた。背後から潰している感じで、つい、ほあー!とかアチョーとか唸っていた。
今は馬車から80mほど離れていて、馬車の中にいればまずもってして安全だった。
ただ、半分程倒した辺りで反撃に合い、何カ所か噛まれてしまっており、血塗れになっていた。
ソフィアとアルテミスに対する煩悩を払うが如く、夢中になりヌンチャクを振るった。
伸び縮みが自由自在でどんどん魔物を倒しており、魔石を大量生産していた。
段々とだが、背後からの攻撃もなんとなく気配で分かり、爪で引っ掻き傷を負うも、紙一重で躱す事ができている率が上がっていた。ルースはこの上ないくらいに昂奮していた。
一つ間違えれば命に関わる、そのような命のやり取りをする緊張感が堪らなかった。そうやって戦闘センスを上げていた。ほあ~!、あちゅうあ!とかくうぇあ!とか変な声を出し、ビンビンに興奮していたのだ。
生きている!と実感した。爪が頬を掠めると、お返しとばかりにその獣にヌンチャクの一振りを浴びせ、情け容赦なく倒していった。
額を砕いたり、横から薙ぎ払ったり、時には蹴りを入れたりしていた。その中には一撃では死ななかった奴もいたようで、手負いの状態でも向かってくる奴がいた。
最後の一頭がそうで、群れのボス?と一瞬思った。一回り大きく立派だったからだ。
ルースも額に怪我を負い、血が目に入ってしまった為か左目が見難くなり、実質片目の為距離感が狂っていた。
中々攻撃が当たらなかった。向こうも同じで、お互いに息が上がっている状態だった。
かれこれ一時間位だろうか、躱し躱されるのを繰り返したりと、膠着状態が続いていた。息を整えるとどちらからともなく突撃し、また離れていた。
お互いに強敵だ!強いな!と慎重に対峙していた。
そうこうしていると夜が明け始め、辺りが明るくなってきたが、違和感があった。奴には魔物特有の角がないのだ。狼を大きくした感じで、体高は大人の熊程ある。四足でいるとルースより頭一つ小さいだけの巨躯だ。しかし邪悪な感じが一切しなかったのだ。
その体を見ると、ヌンチャクが当たったのも有るが、殆どは魔物による傷だった。
急激に冷静になり、ふと思い出した。そういえば魔物が何かと戦っていたな?と思い出したのだ。そうか!こいつかと。
だが、そんなルースを見て隙有りとみたのか、突進してきたが、丁度ルースの背後から日が昇り、獣から見ると逆光になった。
その為狙いが狂ったようだが、ルースはそこを見逃さず、その前脚を掴み投げた。一本背負いに近く、ルース自身もそのままその腹にダイブした。
頭を打ったようで、その獣は気絶した。
ルースはようやく自分自身にヒールを掛けられるようになり、傷を治していった。
10分程で獣が意識を取り戻したようで、己が負けたのだと理解したようで、体を起こしてもルースが再度襲って来ない事から様子を見ていた。
「言葉が分かるといいけど、お前強いな。奴らと戦っていたのか?お前は彼奴等の敵か?僕も仲間を守るのに戦ったけど、どうも君は敵じゃないな」
不思議そうにしていたが、ルースが近づこうとしたので警戒したようで、立ち上がった。
その様子を見てルースは武器をしまい、片手を上げて敵意のない事を何とか示そうとした。
武器をしまったので攻撃されないと感じだようで、警戒をしつつもルースの接近を許していたのであった。
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