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第二章 逃亡編
第24話 ついてきた
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ゆっくりと敵意が無いと思われるように近付いたのもあるが、幸いな事に襲ってこなかった。
近くで見ると白く立派な巨躯だと分かる。
顔の前に行き、ルースはゆっくりと手を伸ばし、その頭や顎を撫でるとグルルと小さい唸り声を発し、不思議そうにしていた。
「悪かったな。彼奴等の仲間と思ったが違うようだね。僕はルースと言うんだ。ちょっと待っててね。今傷を治すから」
そうしてヒールと言ってから額に手を当てた。
するとみるみるうちに傷が無くなり、自分とこの獣にクリーンを掛けた。
ルースは傷が有った所をチェックし、傷が無いかを手で触っていた。
「よし、君の怪我は治ったよ。はははくすぐったい!」
感謝したようでルースを舐め始めたのだ。
するとどこからともなく小さなクゥーンという唸り声がし、そちらを向くと足を引きずってその獣に近付く小型犬位の大きさの獣が一頭いたのだ。
見た目は同じ種族だ狼奈という感じだ。大きい方が傷を舐めていた。
ルースが小さい方に近付くと、大きい方が少し警戒し、小さい方は後ろに隠れた。
「そうか。君の弟か妹か?この子を守っていたんだね。心配しないで。怪我を治すだけだから」
そっと小さい方を撫で、ヒールを使った。怪我が治ったと分かると2頭が、小さく嘶いた。
「よし、僕は仲間の所に戻るよ。痛い思いをさせて悪かったね。そうだこれを食べるかい?」
収納に有ったパンを渡すと2頭は喜んで食べていた。
「じゃあな。元気でな!」
そうして歩きだした。その獣は夢中になり食べていたがルースが離れたのを寂しそうに見ていた。
どこに行くのかを見ていたが、向かっている先が直ぐ近くだと分かり、ルースが馬車の回りで見張りをしているのを見てからゆっくりと馬車に近付いていった。風向きが変わり、今は馬車の方が風上だった。
明るくなってきたので皆起き出して外に出て来た。
ルースは石に座りながら周りを見ていたが、気持ちいいなと左手で何かをモフっていたのだが、何故かそこに何がいるのかについて気が付いていなかった。
ソフィアがルースを見て口をパクパクしていた。
また、アルテミスはルースに近付き驚いた様子で訪ねた。
「ルース様、そ、その、手懐けられたのですか?」
アルテミスはルースのモフっている方の手に指を指していたので、ルースはふと自分の手元を見ると先程の獣がおり、情けない位に驚いていた。
ひぃあぁあ!と叫びながら飛び退り、宙返りをしてアルテミスの背後に周り、腰を掴んでその可愛らしいお尻に顔を隠しながら、ちらちらとその獣を見ていた。
その獣はルースに近づくと頬ずりを始めた。
「懐いていますね」
「どうやって手懐ける事ができたのですか?」
「名前は決められたのですか?」
「立派な子ね!」
二人はキャッキャッキャッキャッとその獣の頭や背中を撫でていて、獣も二人の頬を舐めていて、二人は嬉しそうに黄色い悲鳴を上げていた。
遅れてトニーとミライが馬車から出て来たが、ミライが3人と一頭の様子を見て震えていた。トニーは引きつった笑みを浮かべていた。
「何故?何故懐いているのですか!?」
アルテミスが普段と違い興奮気味に聞いてきた。
「そうそう、ルース様、何でその子と仲良くしているの?どうやったの?」
「餌付けかな?さっきパンをあげたから」
「餌付けされちゃったんですか?」
獣は首を横に振った。
「違うようですよ」
「そっか。何で懐いちゃったんだろう?。さっきぶん投げて気絶させちゃったから、それかな?」
アルテミスがぷるぷると震えていた。
「ちょっ、ちょっと聖獣様に何て事をしたんですか!あっ、ルース様失礼しましたその、ごめんなさい」
「何?こいつ聖獣なの?ってそもそも聖獣って何?」
「何が有ったのですか?」
アルテミスが凄い剣幕で詰め寄った
「えっと、そこで魔物がこいつと戦っていて、僕はそうとは知らずに魔物を退治していたんだけど、敵じゃないと気が付かづに魔物を倒した後にこいつと戦っていたんだ。一時間位戦ったかな?最後にぶん投げて気絶させたんだよね。こいつが目覚めてからヒールを使ったらこんな感じだったぞ。お詫びにパンを上げて別れたんだけど、気がついたらここにいて、こいつをモフっていたんだよ!何でかわからんけど、気がついたら横にいたんだよね。気配に気が付かなかったんだよな」
「この大きさの聖獣様が人に懐くなんて聞いた事が無いですよ。それよりも何故この国にいるのか不思議だわ」
「なあ、聖獣ってそもそも何なの?聖獣様って言っているから実はこんなんだが偉い奴なの?っていたたたた。こら!馬鹿!噛むな!いっ、痛いだろ!」
聖獣は歯を立てずにルースの腕を噛んでいた。その足元には小さい方もいて、真似をして足を甘噛みしていた。
「凄いわ!すっかり懐いているわ!あのね、聖獣様は特にハレム国では神獣とされ信仰の対象にすらなっているのよ。野生の子は滅多に人に懐かないのだけど。それに幼駒でこれ程立派な大きさの子がいるなんて聞いた事が無いわ。ねぇねぇルース様、この小さい方の子も懐いたの?兄弟が姉妹かしら?この子達のお名前は?」
アルテミスは興奮していた。聖獣がルースの方を向いたが、ルースの一言にまた噛み付いた。
「じゃあポチで。ってこら噛むな!冗談だって冗談。真面目に考えるから!痛いって!わっ分かったから噛むなって!なあこいつは雄なのか?雌なのか?どっちだ?」
ルースの肩に前脚を置き、頭を歯を立てずに噛み噛みしており、後ろ足で立つとライより頭一つは大きかった。ソフィアは立っている聖獣の体を確認した。小さい方はアルテミスが抱き上げて確認した。
「あら、女の子ね!」
「こちらも女の子よ」
「じゃあ、リーナでどうだ?嫌なら別のを考えるよ!小さい方はアルテミスが決めろよ」
「それでは姉妹ですからねルーナで」
聖獣はルースを押し倒し、ペロペロと顔全体を舐めていた。
小さい方もアルテミスの頬をペロペロと舐めていた。
「わっ、こらやめろ!くすぐったいじゃないか!リーナとルーナでいいんだよな?」
リーナとルーナはワオーンと短く吠えた。
「この子はリーナって名前を気に入ったようね。宜しくねリーナ。私はアルテミスって言うの。そしてルーナ!可愛いわ!キャハハハ!くすぐったいってば。ちょっと、ルーナそこは駄目!駄目だってば!」
「えっと、リーナさん、ルーナちゃん、私はソフィア。宜しくね。あのう、私達と一緒に来るの?ねぇルース様、この子も一緒に旅を出来ないかしら?」
「ルース様、アルテミスもお願いしたいの。駄目かしら?」
リーナはまじまじとルースを見ており、ルーナはアルテミスから離れようとせず、胸にしがみついていた。ソフィアとアルテミスも懇願するような上目遣いだった。
「ねぇミライさん、君はこういった獣が苦手だったりする?」
「私は大丈夫ですが、驚いたわ。神獣様は頭が良いと聞きますが、この神獣様は人語を理解しているとしか思えないのです。トニー様に聞いて頂いた方が良いと思います」
「ははは。ミライがうんと言えばトニーもうんと言うから大丈夫だろう。あの子がミライで、あっちがトニーだよ。なあリーナ、僕達と一緒に来るか?」
大きく遠吠えをしたかと思うとルースの頭を咥え、頭上に放り投げた。
ぎゃああぁ!と情けない悲鳴を上げたかと思うと、ルースは次の瞬間リーナの背中に乗っていた。
「うお!凄いな!うわあああ、落ちる、落ちるって。ゆっくり頼むよ!」
リーナは嬉しそうにルースを背中に乗せ、暫くの間辺りを駆けていたのであった。
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そっと小さい方を撫で、ヒールを使った。怪我が治ったと分かると2頭が、小さく嘶いた。
「よし、僕は仲間の所に戻るよ。痛い思いをさせて悪かったね。そうだこれを食べるかい?」
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「じゃあな。元気でな!」
そうして歩きだした。その獣は夢中になり食べていたがルースが離れたのを寂しそうに見ていた。
どこに行くのかを見ていたが、向かっている先が直ぐ近くだと分かり、ルースが馬車の回りで見張りをしているのを見てからゆっくりと馬車に近付いていった。風向きが変わり、今は馬車の方が風上だった。
明るくなってきたので皆起き出して外に出て来た。
ルースは石に座りながら周りを見ていたが、気持ちいいなと左手で何かをモフっていたのだが、何故かそこに何がいるのかについて気が付いていなかった。
ソフィアがルースを見て口をパクパクしていた。
また、アルテミスはルースに近付き驚いた様子で訪ねた。
「ルース様、そ、その、手懐けられたのですか?」
アルテミスはルースのモフっている方の手に指を指していたので、ルースはふと自分の手元を見ると先程の獣がおり、情けない位に驚いていた。
ひぃあぁあ!と叫びながら飛び退り、宙返りをしてアルテミスの背後に周り、腰を掴んでその可愛らしいお尻に顔を隠しながら、ちらちらとその獣を見ていた。
その獣はルースに近づくと頬ずりを始めた。
「懐いていますね」
「どうやって手懐ける事ができたのですか?」
「名前は決められたのですか?」
「立派な子ね!」
二人はキャッキャッキャッキャッとその獣の頭や背中を撫でていて、獣も二人の頬を舐めていて、二人は嬉しそうに黄色い悲鳴を上げていた。
遅れてトニーとミライが馬車から出て来たが、ミライが3人と一頭の様子を見て震えていた。トニーは引きつった笑みを浮かべていた。
「何故?何故懐いているのですか!?」
アルテミスが普段と違い興奮気味に聞いてきた。
「そうそう、ルース様、何でその子と仲良くしているの?どうやったの?」
「餌付けかな?さっきパンをあげたから」
「餌付けされちゃったんですか?」
獣は首を横に振った。
「違うようですよ」
「そっか。何で懐いちゃったんだろう?。さっきぶん投げて気絶させちゃったから、それかな?」
アルテミスがぷるぷると震えていた。
「ちょっ、ちょっと聖獣様に何て事をしたんですか!あっ、ルース様失礼しましたその、ごめんなさい」
「何?こいつ聖獣なの?ってそもそも聖獣って何?」
「何が有ったのですか?」
アルテミスが凄い剣幕で詰め寄った
「えっと、そこで魔物がこいつと戦っていて、僕はそうとは知らずに魔物を退治していたんだけど、敵じゃないと気が付かづに魔物を倒した後にこいつと戦っていたんだ。一時間位戦ったかな?最後にぶん投げて気絶させたんだよね。こいつが目覚めてからヒールを使ったらこんな感じだったぞ。お詫びにパンを上げて別れたんだけど、気がついたらここにいて、こいつをモフっていたんだよ!何でかわからんけど、気がついたら横にいたんだよね。気配に気が付かなかったんだよな」
「この大きさの聖獣様が人に懐くなんて聞いた事が無いですよ。それよりも何故この国にいるのか不思議だわ」
「なあ、聖獣ってそもそも何なの?聖獣様って言っているから実はこんなんだが偉い奴なの?っていたたたた。こら!馬鹿!噛むな!いっ、痛いだろ!」
聖獣は歯を立てずにルースの腕を噛んでいた。その足元には小さい方もいて、真似をして足を甘噛みしていた。
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アルテミスは興奮していた。聖獣がルースの方を向いたが、ルースの一言にまた噛み付いた。
「じゃあポチで。ってこら噛むな!冗談だって冗談。真面目に考えるから!痛いって!わっ分かったから噛むなって!なあこいつは雄なのか?雌なのか?どっちだ?」
ルースの肩に前脚を置き、頭を歯を立てずに噛み噛みしており、後ろ足で立つとライより頭一つは大きかった。ソフィアは立っている聖獣の体を確認した。小さい方はアルテミスが抱き上げて確認した。
「あら、女の子ね!」
「こちらも女の子よ」
「じゃあ、リーナでどうだ?嫌なら別のを考えるよ!小さい方はアルテミスが決めろよ」
「それでは姉妹ですからねルーナで」
聖獣はルースを押し倒し、ペロペロと顔全体を舐めていた。
小さい方もアルテミスの頬をペロペロと舐めていた。
「わっ、こらやめろ!くすぐったいじゃないか!リーナとルーナでいいんだよな?」
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「ルース様、アルテミスもお願いしたいの。駄目かしら?」
リーナはまじまじとルースを見ており、ルーナはアルテミスから離れようとせず、胸にしがみついていた。ソフィアとアルテミスも懇願するような上目遣いだった。
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「私は大丈夫ですが、驚いたわ。神獣様は頭が良いと聞きますが、この神獣様は人語を理解しているとしか思えないのです。トニー様に聞いて頂いた方が良いと思います」
「ははは。ミライがうんと言えばトニーもうんと言うから大丈夫だろう。あの子がミライで、あっちがトニーだよ。なあリーナ、僕達と一緒に来るか?」
大きく遠吠えをしたかと思うとルースの頭を咥え、頭上に放り投げた。
ぎゃああぁ!と情けない悲鳴を上げたかと思うと、ルースは次の瞬間リーナの背中に乗っていた。
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