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第二章 逃亡編
第31話 アルテミスと吊り橋効果
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トニーを横にさせて寝かせてはいるが、意識ははっきりしており、念の為にそうしているだけだ。消耗しており、少しでも回復をとなったからだが、甲斐甲斐しくミライが口に食べ物を運んでいたり等世話をしていた。奴隷としてではなく好意から、つまり自主的にだ。
馬を木に繋いでルースも休憩をする事にした。ソフィアはミライと何やら話し込んでおり、時々意味ありげな視線をルースに向けていた。
アルテミスがソフィアを気にしながらルースの所に来た。
「その、ル、ルース様?大丈夫なのですか?私達が足手纏になっている所為で無理をさせてしまって申し訳有りません」
「うん。お陰様でもう怪我も回復したよ。リーナも大丈夫だよ」
アルテミスはルースに抱きついた。
「私、心配したんですよ!矢が刺さっていたし、どう見ても無理をなさっているじゃないですか。ルーナから聞きましたが、リーナがルース様が無茶をしていると言っているのですよ!それと何故か今日はルーナと契約が出来ちゃったのですが、不思議なのです」
「ああ、それか!うん、夜中に奴隷紋に触れた時に、ルーナとの契約を許可するってしておいたんだ。ルーナに今は出来ないって言っているのが聞こえたから解除しておいたよ。ついでに二人共解除できる制約は全て解除しておいたよ。但し、僕への敵意ある攻撃を禁止する事は無理なようだけどね。トニーも今頃ミライに同じようにしていると思うよ」
「えっ?何故言ってくださらなかったのですか?知っていれば私達もお役に立てましたのに」
「どういう事?」
「私は初級ですが土属性の魔法が使えますし、確かソフィアは何かの属性の中級以上が使えます。それと私は槍を多少なりとも使えますが、流石に槍は持っていませんよね?」
「あれ?剣が使えるって言うから気にしていなかったけど、槍が得意なんだ?」
「はい。奴隷になる前は姫騎士団の訓練生をしていました。そこでは剣と槍を教わっておりましたが、私は神獣使いになれる可能性が有るからと主に槍を訓練していました」
「ああ、なる程。じゃあこれを使う?」
ルースは槍を出した。先程戦った3人の内の一人が使っていた槍だ。
アルテミスはその槍を手に取り微笑んだ。
「私の筋力では少し大きいですがなんとか使えそうです」
「それじゃあこっちの方が良いかな?」
もう一本持っており、収納から先程のより少し小さい槍を出して渡した。
「丁度良い感じです!頂いても宜しいのですか?」
「僕にはこいつがあるからね。いざとなったら売れるかな?と思って咄嗟に収納に入れたんだ。さっき戦った奴のだよ」
「ありがとうございます。これで私も戦えます。それと隷属紋の事はソフィアにも伝えてあげてください。彼女もこれで攻撃魔法を使える筈ですから」
「えっ?どういう事?」
「はい。ソフィアから聞いていませんか?奴隷商にいる時に奴隷は基本的に魔法使用をを禁じられるから使えないと」
「分かったよ。言ってくれたら良かったのに」
「その、ルース様が聞かれなかったからかと思います。その、私達もルース様が異世界から来た方なのだという事を失念していましたから、知っている物と決めつけていました。そ、それと、その、質問をしても宜しいでしょうか?」
「アルテミスらしくないね。うん、何でも聞いて?」
「ルース様はソフィアの事を好いていますよね?私がルース様の事を好きだと言ったらご迷惑ですか?」
「えっ?からかってる?」
「えっ?じゃないの!ソフィアの次でも良いの。私を女として見て欲しいの。奴隷としてでも良いの。私、変なの。ルース様の事を考えると胸が痛くなるの。さっきミライに言われたの。それは恋だって。す、好きになったの!」
「ありがとう。そんなふうに想ってくれて。僕もアルテミスの事は一人の女性として好きだよ。ちゃんと一人の女性として見るよ。ああ、どうしよう。軽蔑しても良いけど、ソフィアの事もそうだけど、君の事を見ると胸が苦しいんだ。どちらかを選ぶなんて出来ないよ」
「ルース様?何を訳の分からない事を言っているのですか?特に問題ないのですよ!もし私達が奴隷じゃなくなっても二人共娶って頂ければ。ソフィアもルース様の事を好いているようですから」
ルースは上の空で分かったよと言うのが精一杯だった。
今まで散々奴隷として扱わないと格好つけていた。奴隷としてではなく、一人の女性として向き合うなら恋人にというような事をずっと言っていた。
ところがである。
どうやらアルテミスもソフィアも一人の女として自分の事を一人の男として見てくれており、奴隷としてではなく、一人の女として好いてくれているのだと分かる。ルースには今まで彼女がいた事がなく、正直女の扱いが分からない。
今までは格好をつける事で距離を置いていた。同情もあるが、年頃の男の子が身近な、しかも綺麗な女の子の事が気にならない筈はない。
ましてや好みの外観をしているのだ。そんな二人に同時に好きだと、ソフィアは会話にさらっと組み入れたが、アルテミスからは最後にハッキリと言われた。言った手前も有るが、今度は自分が選ばないとなのだ。どうやら吊り橋効果で二人の心を掴み取ったようだと理解した。
ソフィアも食べ始めたのでものは試しにミライに相談しようと思うのであった。
馬を木に繋いでルースも休憩をする事にした。ソフィアはミライと何やら話し込んでおり、時々意味ありげな視線をルースに向けていた。
アルテミスがソフィアを気にしながらルースの所に来た。
「その、ル、ルース様?大丈夫なのですか?私達が足手纏になっている所為で無理をさせてしまって申し訳有りません」
「うん。お陰様でもう怪我も回復したよ。リーナも大丈夫だよ」
アルテミスはルースに抱きついた。
「私、心配したんですよ!矢が刺さっていたし、どう見ても無理をなさっているじゃないですか。ルーナから聞きましたが、リーナがルース様が無茶をしていると言っているのですよ!それと何故か今日はルーナと契約が出来ちゃったのですが、不思議なのです」
「ああ、それか!うん、夜中に奴隷紋に触れた時に、ルーナとの契約を許可するってしておいたんだ。ルーナに今は出来ないって言っているのが聞こえたから解除しておいたよ。ついでに二人共解除できる制約は全て解除しておいたよ。但し、僕への敵意ある攻撃を禁止する事は無理なようだけどね。トニーも今頃ミライに同じようにしていると思うよ」
「えっ?何故言ってくださらなかったのですか?知っていれば私達もお役に立てましたのに」
「どういう事?」
「私は初級ですが土属性の魔法が使えますし、確かソフィアは何かの属性の中級以上が使えます。それと私は槍を多少なりとも使えますが、流石に槍は持っていませんよね?」
「あれ?剣が使えるって言うから気にしていなかったけど、槍が得意なんだ?」
「はい。奴隷になる前は姫騎士団の訓練生をしていました。そこでは剣と槍を教わっておりましたが、私は神獣使いになれる可能性が有るからと主に槍を訓練していました」
「ああ、なる程。じゃあこれを使う?」
ルースは槍を出した。先程戦った3人の内の一人が使っていた槍だ。
アルテミスはその槍を手に取り微笑んだ。
「私の筋力では少し大きいですがなんとか使えそうです」
「それじゃあこっちの方が良いかな?」
もう一本持っており、収納から先程のより少し小さい槍を出して渡した。
「丁度良い感じです!頂いても宜しいのですか?」
「僕にはこいつがあるからね。いざとなったら売れるかな?と思って咄嗟に収納に入れたんだ。さっき戦った奴のだよ」
「ありがとうございます。これで私も戦えます。それと隷属紋の事はソフィアにも伝えてあげてください。彼女もこれで攻撃魔法を使える筈ですから」
「えっ?どういう事?」
「はい。ソフィアから聞いていませんか?奴隷商にいる時に奴隷は基本的に魔法使用をを禁じられるから使えないと」
「分かったよ。言ってくれたら良かったのに」
「その、ルース様が聞かれなかったからかと思います。その、私達もルース様が異世界から来た方なのだという事を失念していましたから、知っている物と決めつけていました。そ、それと、その、質問をしても宜しいでしょうか?」
「アルテミスらしくないね。うん、何でも聞いて?」
「ルース様はソフィアの事を好いていますよね?私がルース様の事を好きだと言ったらご迷惑ですか?」
「えっ?からかってる?」
「えっ?じゃないの!ソフィアの次でも良いの。私を女として見て欲しいの。奴隷としてでも良いの。私、変なの。ルース様の事を考えると胸が痛くなるの。さっきミライに言われたの。それは恋だって。す、好きになったの!」
「ありがとう。そんなふうに想ってくれて。僕もアルテミスの事は一人の女性として好きだよ。ちゃんと一人の女性として見るよ。ああ、どうしよう。軽蔑しても良いけど、ソフィアの事もそうだけど、君の事を見ると胸が苦しいんだ。どちらかを選ぶなんて出来ないよ」
「ルース様?何を訳の分からない事を言っているのですか?特に問題ないのですよ!もし私達が奴隷じゃなくなっても二人共娶って頂ければ。ソフィアもルース様の事を好いているようですから」
ルースは上の空で分かったよと言うのが精一杯だった。
今まで散々奴隷として扱わないと格好つけていた。奴隷としてではなく、一人の女性として向き合うなら恋人にというような事をずっと言っていた。
ところがである。
どうやらアルテミスもソフィアも一人の女として自分の事を一人の男として見てくれており、奴隷としてではなく、一人の女として好いてくれているのだと分かる。ルースには今まで彼女がいた事がなく、正直女の扱いが分からない。
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