神獣使いは魔法の使えない魔法使い!〜異世界召喚された魔法使いはヌンチャクの使い手だった!奴隷少女と格闘派魔法使いの異世界成り上がり物語!〜

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第三章 新天地編

第62話 デコピン

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 三郎の元にソフィアが心配そうにしながら来てくれた。

「ばか!心配したじゃないの」

「ああ、どうやら紗代子が死者蘇生まで出来るから大丈夫と思ったからさ。でも、悪かった。えっと、ソフィア、アルテミス、改めて奴隷開放おめでとう!これで二人は自由だよ」

「うん。ありがとう」

 食堂に向かう中、言っていなかった事を言う為に、皆が進むのと反対の通路に二人を引き込んだのた。

「改めてどうするか聞いてもよいか?」

「どうするって?なんの事?」

「婚約だよ。あれは二人が奴隷の時に交わした約束だから、無効にしても良いんだ。他の国に行きたいなら止める権利はないし、自由だよ。それに紗代子と、何故かリセさんとも婚約したようだけど、複数の妻を持とうとしているなんて嫌じゃないのかな?」

「私達はもう決めているのよ。ルースはどうして欲しいの?ちゃんと言ってよ!」

「ソフィア、アルテミス、二人の事を愛している。俺の妻になって欲しい!それが本音だ!」

「そういえば良いのよ。俺について来いって言って欲しかったの」

 3人がついてこないので、紗代子が探しに来た。

「ちょっと三郎君、お昼なくなっちゃうよ?」

「悪い悪い。二人に奴隷開放された事を祝っていたんだ!」

「そっか。えっと、二人共おめでとう!ほら、二人共行くわよ」

 そうして来賓用の食堂で昼を食べた。

 考える事が多く、上の空だった。面白がって4人が口に食べ物を運んでいた。何を聞いてもうんとしか言わなかったし、口に運ばれるともぐもぐと食べていたからだ。

 紗代子は三郎から渡された荷物からスマホを出して、二人の試合を録画していた。紗代子はソーラー充電器もカバンに入れており、バッテリーの心配は当面なくなっていたから録画をしていたのだ。

 3人は不思議そうに見ていたが、その録画を見たリセは愕然となっていた。

「やっぱり私の負けね」

「どうして?二人共倒れた相打ちじゃないの?」 

「ううん。あの場の試合だから当たったの。と言うか、三郎さんは避けられたのに避けられなかったの。戦場なら避けられていたわ」

「どういう事?」

「アレを躱したら、周りで見ていた人を巻き込んでしまうから負けるのを覚悟で受け止めたのよ。フェアじゃなかったの」

 いつの間にか誰もいなくなっていた。

 紗代子が三郎の頬を軽く叩くと、三郎は現実に引き戻された。

「三郎君、リセが話があるって」

「な、なんだよ?」

「ごめんなさい」

「えっ?」

「だからごめんなさいって言ったの」

「ちょっと待て!お前に謝られる事に心当たりがないぞ!」

「さっきの試合よ。負けよ!完敗よ」

「うん?いい勝負だったよな。最後のは驚いたよ。魔法って凄いよな。対見惚れて避けるのが遅れて食らっちゃったよ」

「違うでしょ。避けられたのに周りに被害が出るから受け止めたのでしょ!紗代子の持っているこの意世界の文明の利器に一部始終映っていたの」

 三郎はぼりぼりとお尻をかいた。あちゃーといった時の癖だ。

「三郎君が認めたわよ」

「えっ!?」  

「三郎君の癖を知らないと思ってるの?」

「お見通しか。はぁ。黙っておくつもりだったが、言うか。おいリセ!めっ!」  

 選考烈火の如く見事なデコピンを食らわせた。

 一瞬ヒャンと唸ったが、何をされたのかが分かりほえーとなったのであった。
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