異世界召喚された俺は余分な子でした

KeyBow

文字の大きさ
457 / 572
第1章

第456話 別れの時と日蝕

しおりを挟む
 最後の夜という事もあり、俺とリギアはカイルを挟んで川の字で寝る事になった。

 いい年をした親子が一緒の布団で寝るというのも考えものではあるが、今まで親子として暮らしておらず、泣いても笑っても一夜限りの事なのでとリギアの願いだった。

 40半ばで親に添い寝をされると言うのでカイルも相当恥ずかしがったが、リギアのたっての希望であり、カイルが折れてくれたのだ。

 翌朝になり、朝食の前に日課としてカイルが息子達と朝稽古をするというので、俺も付き合った。
 そしてカイルの息子達に持ってこさせた愛用の武器に、この世界で倒した魔物の魔石を使って可能な限りの強化を施した。

 孫達に特別に何かしてやれるわけでもないので、せめてこれくらいはと言ったのだが、皆からある意味呆れられた。
 強化した武器の全てが国宝級、伝説級の武器に仕上がったからだ。勿論カイルの愛用の武器にも施していく。

 そして朝食の後、一部の重鎮達と軽く話を行って欲しいとカイルからお願いされた。

 朝食はカイルの奥さんが自ら腕を振るった料理を食べさせて貰った。
 料理が趣味だというので、調理人が作る普段の食事とはまた違った家庭の味を披露してくれた。

 朝食が終わるといつのまに手配していたのか、向こうの世界に行く前に是非とお土産を渡された。
 有り難い話だ。

 また、俺達の使っていた屋敷について管理をカイルに託した。
 自由にしてくれと。

 町から少し離れたところにあるのだが、馬車だと日帰りで行けなくはない距離だ。

 もうそろそろ屋敷に行かなければならない時間になり、最後の別れを外で行なっていた。
 そう、まさに玄関先でだ。一応カイルも魔法陣の発動に立ち会うと言ってはいたが、来るのは一部の者と、護衛や御者のみだ。
 そうしていると気の所為か辺りが少し薄暗くなってきた。
 快晴なのだが。

 そして誰かが叫び出した。
 「太陽がぁ!太陽が消えていく!」

 俺達がこの世界に来てから初めての皆既日食だった。
 誰かが不吉だとか、この世の終わりだとか言い出したので、俺は一喝して黙らせた。

 俺は純粋な惑星や衛星、つまり月等の天体の動きによって起こる天体の現象であると。
 不吉な事ではなく、むしろ神秘的で、めでたい事だと説明した。

 重鎮達を交え、天体について手短に話をした。
 皆既日食の説明と、簡単に天動説と地動説の話をしたが、この世界は地動説が主流だったので、天体の動きや大きさの概要を事実として説明をした。

 これは頭の良い者がきちんと星の動きなどを調べ、計測すればすぐ分かる事だと。
 そして日食の話も、過去の日付だとか、発生場所をきちんと調べれば、次はいつ発生するのかというのが計算で出てくるものだと。
 そのために星を見なさいと告げた。
 更に天体の観測を常日頃からするようにと伝えた。

 そして国全体に黒い薄い膜状のフィルターを作った。
 日食グラスがないので、こういう時のためにとスキルや魔法の使い方を研究していたのだ。
 そうするとかなりの広範囲にわたり日蝕グラスの代わりになるような膜を生成できるという事が分かっていた。

 そして国を覆うのに魔力の大半を使ってしまうが、それでもこの日蝕を1人でも多くの者に失明したり怪我をする事なく安全に見て貰おうと魔法を展開したのだ。

 これで太陽を直接見ても良いぞと話し、皆で日蝕を観覧と言うか、堪能していた。
 勿論念話で不安がっている妻達に日蝕の事を伝えた。

 そして日蝕が終わり明るさが戻った頃に念話が入り、今直ぐに来てくれとトリシアに言われたのだ。

 そうして屋敷に来る者や馬車を引き連れ、ゲートで魔法陣の元に行った。

 この日蝕が最後の引き金だったらしく、魔法陣がもう発動していた。
 いまにでも魔法が発動するような状態になっており、妻達はもう身構えていた。
 俺は待たせたなと言い、最後にリギアと2人してカイルと抱き合い、さらばと告げて魔法陣の元に行った。
 そして魔法陣が展開しだしたのだが、この世界とさよならをするまさにその瞬間、俺はふと思い出し2本目にゲットしたアンタレスを引き出した。

「カイル!この剣をお前に託す。これは俺の愛剣アンタレスだ。この世界のどの剣よりも強く、壊す事のできない剣だ」

 そしてアンタレスをカイルの足下に投げた瞬間、俺達はこの世界から消え失せたのであった。
しおりを挟む
感想 64

あなたにおすすめの小説

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

処理中です...