勇者だけど幼女使いと言われていますが何か?

KeyBow

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第1章  入試篇

第60話  ハイランド邸

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 ハイランド商会からハイランドの自宅まで歩いて10分程というので、歩いて行こうとしたのだが、サリーの治療時のフォルクスの疲弊具合から馬車を出した方が良いと判断され、馬車で向かった。

 ハイランド邸は上級貴族の邸宅が立ち並ぶエリアにあり、屋敷はフォルクスの屋敷と同じ位に大きかった。いやそれ以上だと感じた。

 屋敷を見た途端にフォルクスの顔が強張っていた。そう、屋敷を見て色々やらかしたかなと焦ったのだ。

「あ、あのう、ひょっとしてハイランドさんって偉い貴族だったりするんですか?」

「フォフォフォ。一応侯爵になりますが、まあお気になさらず。フォルクス殿が女性陣達に格好付ける為、私めに虚勢を張っておられるのは分かっておりますから。それに・・・まあいずれ分かりますが、さあ、着きましたから中にお入りください」

「くくく。フォルクス殿は虚勢を張っていたのだな。くすくすくす。」

「あ、あう!」

 フォルクスは虚勢を張っているというのがバレバレで、格好良い出来る男を装っていたそのメッキが剥がれて行く。ラティス達に格好をつけているだけの単なるヘタレだと思われたよな?嫌われたかな?とオロオロしている感じであった。

 アプローチを通り、屋敷の建物の入口の前に馬車を乗り付けた。入り口に着いた為、馬車から降りるのだが、降りたと同時に執事が出て来て玄関の扉を恭しく開けていた。

 そしてハイランドの奥さんと思われる方が玄関ホールでメイドを引き連れて出迎えていた。メイド達が後ろにズラリと控えて、指示を待っていたり、客人のお迎えに集まっていた。

 その女性は貴婦人のお手本のような身なりであり、この国では貴族の既婚女性は髪型をアップにする傾向がある。金髪の見事な髪で、髪型や娘の年齢から中年ではある筈だが、年齢不詳の顔立ちだ。20前後と言われたら納得してしまう感じだ。そして落ち着いた大人の女性で優しそうな感じだった。

 フォルクスとラティスは目を丸くした。内装や調度品も上品でセンスが良いのだが、この奥方がかなりの美人だったからだ。あのおっさんはどうやってこの人のハートを射止めたのか?と。

「ようこそハイランド家へ。初めまして。貴方がフォルクス様ですのね。主人から常々聞いております。近いうちに来られるかもと聞いておりましたの。お会いするのを楽しみにしておりましたのよ。こちらの獣人さんはラティスさんかしら?」

 いち早く立ち直ったフォルクスが挨拶を返した。獣人と言ったのを聞き漏らしていたが。

「こ、これはご丁寧に。どう聞いているか分かりませんが、ハイランドさんにはいつも良くして貰っています。俺じゃなくて私がフォルクスで、こっちがおっしゃる通りのラティスです。宜しくお願いします」

「それではまずはお茶をお入れしますのでどうぞこちらへ」

 フォルクス達は言われるがままに進み、居間に通された。
 フォルクスはついキョロキョロしてしまった。

「フォル殿、失礼に当たるのでキョロキョロするのをやめたほうが良いと思うぞ」

「ラティスさん。異世界から来た方にはここにある物は珍しいのでしょう。私も主人も気にしておりませんからどうぞご自宅にいるおつもりで寛いで頂ければと思いますわ。」

 フォルクスは出されたお茶を飲まなければと一気に飲み干したのだが、皆驚いていた。ハイランドは頷いているだけだ。

「はぁ、フォル殿、こういった時のお茶はまずホストの方が一口グラスに口を付けてから飲むものなのだ。マナーが・・」

 ラティスがフォルクスに指摘をしていたが、奥様が手で制した。

「大丈夫ですわよ。ラティス様はマナーにお詳しいのですね。フォルクス様は異世界の方ですから、あちらの世界とのマナーやルールが異なっているのだと思いますわ。こういった常識のズレを認識して頂く必要はあると思いはしますが、私共は細かい事は気にしないですので大丈夫ですわ」

「あの、何故僕の事を異世界から来たと?」

「主人から聞いておりますのよ」

「やっぱりハイランドさんは知っていたのですね」

「フォフォフォフォ。ひと目見た時から分かっておりましたぞ」

「ひょっとして今までの事は、僕が異世界人だから支援をしてくれているのですね?女神様からの指示ですか?」

「はて?女神様ですか?知りませぬな。フォルクス様にただならぬ力を感じ、この先の成長が楽しみなので少なからず手助けはしておりますが、支援と言う訳ではございませんよ。どちらかというと、私共の方がフォルクス様に助けて頂いております。これからもよしなに。」

 フォルクスは納得したようなしないような感じで、はぐらかされたな?とは思うが、どうやら触れられたくない方向に話が行き掛けている気配がする。その為、話題を変える事にしたのであった。

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