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第2章 兵士時篇
第69話 召喚
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時は少し戻り、フォルクスが召喚された時の事になる。
赤井 雄馬は14歳の中学2年生だ。対面での対人コミュニケーションが少し苦手な現代っ子だ。
身長は155cmではあるが、この1年でなんと10cmも伸びる等只今成長期真っ最中であった。体格は痩せており、顔自体は穏やかで優しい雰囲気がする。
雄馬はお調子者で、周りからチビ助と揶揄されていた。面と向かってのまともな会話が苦手で、おちゃらけて自分の本来の姿を隠していた。弱い自分の本来の姿を悟られたくなく、誤魔化していたのだ。
悪人が許せなかった。殺人や強盗のニュースを見ると、犯人に対して本気で死ねば良い、僕に力があったら裁いてやるのにと思ったり、所謂不良に対しても殺してやりたいと思うのだ。権力者に対してもそうだ。偽善者め!等と思うのだ。自分を普段構ってくれない両親のように。
変人とされ周りから少し距離を置かれていた。親が権力者の為に虐めのターゲットにはされなかったが、雄馬の心はかなり歪になっていた。ただ、お年寄りの荷物を持ってあげたり、子供にも優し買った。何より妹を可愛がっていた。
とにかく力を正しい方向に使っていない者が許せなかった。特に部下や自分を平気で殴る父親には。
ただ、ネットでの文字のやり取りはちゃんとできているのだ。
友人は少ない。雄馬の性質を知っている幼稚園からの付き合いの友達が2人いるだけだった。
そんな感じでいつの間にか帰宅後はネットに逃げ込んでいる日々を過ごしていた。
学校には行くが、受験勉強が有るからとそそくさと帰るような日々を過ごしていた。
帰宅すると少し勉強をし、残りはネットゲーム三昧だった。
そんなある日、以前からチェックをしていた新作VRゲームのβ版テストプレイヤーの募集が発表され、奇跡的にβテストのモニターに当選したのだ。
そして今はそのβ版のキャラクターメイキングの真っ最中だ。送られてきたヘッドギアを装着し、ネットにダイブしようとしていた。
変だなと思わなければならなかった。なにせ申込時や当選した後に住所等を記載していない。なのに性能評価のレポートを条件に、推奨スペックのパソコンが送られてきたのだ。モニター、ヘッドギア、マウスを接続し、パソコンの電源を入れると自動でβ版が起動した。ネットに繋ぐ設定をしていないのにだ。
ゲーム自体はよくある剣と魔法のファンタジー物だ。魔法より剣が主流で、β版の主人公は兵士から始め、騎士や魔法戦士にクラスチェンジする。記憶を失った1兵卒からスタートという設定だ。
スキルは何にするかな?と色々選んでいた。初期ポイントが有り、そのポイントの中からポイントの範囲内で幾つかを選ぶ。鉄板なのは無限収納。モニターの設定では自分は勇者になるらしいが、どれか一つの属性の精霊の加護が受けられる。各々違う特典が有り、いずれ頑張り次第で精霊と会話が可能で、使役も出来る。流れ矢であっさり殺られるのも嫌なので、飛び道具や矢の類が100%当たらなくなる特典から風を選んだ。
更に特典として自動翻訳が有が文字は読めないので学ぶ必要がある。交渉術や魔法の全属性所持を追加した。騎士になる為には回復が必須だろうと思い込み、光属性を選んだ所でポイントを使い切った。中には超イケメンや、魅了魔法があった。魅了した女性を手籠に出来るのだが、ゲームじゃいらないなとスルーした。ルアルだったら女性を取っ替え引っ替えの夢の魔法だ。
キャラクターメイキングが終わると変なメッセージが現れた。
ようこそ。イプシロンVRβへ。貴方が唯一の適合者になります。本物の異世界へ貴方を誘います。注)この世界での死は実際の死を意味します。また、2度と元の世界には戻れません。承知の場合のみ続行を。尚貴方の記憶は召喚の対価として消去されますが、代わりにランダムで特殊スキルを付与します。
細かな約款が書いてあり、ゲームではなく、生身の人間として異世界に行く事、異世界に行く特典として特別なスキルを得られる。勇者として行くが、記憶が無いから今設定したり説明を受けた事が分からない。死ねば現実に死ぬし、日本には帰って来られない。そのような事が書いて有ったが、笑いながら読んでいて、ゲームの世界観の設定程度にしか思わなかった。
中々凝った設定だなと雄馬は感じた。名前はフォルクス、身長175cn、チュートリアルという兵士になるまでの訓練期間が終わった時は15歳にした。兵士になるまでの訓練期間は約1年。見た目は現地の一般人にカスタマイズされ、金髪に碧い目。普段ネットで使っている名前をここでも使う。
まあせいぜい僕を楽しませてよ!とニヤニヤしながら、スタートではなく、転移ボタンをポチるのであった。
ぽちった次の瞬間、急激に景色が変わり落下感を感じた。風がきつく目を開けていられない事から落下していると感じた。
「おいおいおいおい、流石にこれはやばいだろ。これじゃいきなりデススタートか?まじかよ」
段々と川の水面が近付いてきて、飛行魔法で飛べないか?と念じたが、そのように都合良く可能な訳ではなく、無情にも川にダイブしていった。普通なら死ぬ所だが、幸いな事に雄馬は死ななかった。
しかし、衝撃で頭から血を流し気絶して溺れていった。
奇跡的に偶々通り掛かった近くの街の者が川を流されている雄馬を見付け、救助して街に連れて行ったのだ。
数日後、目を覚ました雄馬だが自分の事を何も覚えていなかった。
街の領主の館に預けられ、手厚い看病をされ一週間で歩く事が可能なまでに回復をしていた。周りが驚く驚異的な回復振りだったのだ。雄馬の身長はこの世界の平均的な成人より少し小さかったが、成長したらかなりでかくなると皆感じていた。
典型的な中世のヨーロッパの街の感じだ。名前が思い出せないが、領主から自分の息子であるイプシロンと言われた。雄馬はそうですかと受け入れていたが、実の息子はこの屋敷に居て、現在は屋根裏部屋に隠れ潜んでいた。
雄馬改めイプシロンは文字が読めなかったが、幸い言葉は通じた。怪我の養生として大人しくしていなければならなかったが、少しは体を動かさなければならず、少しずつ歩いたりして、体力を回復している最中であった。
そしてある日の朝、屋敷に兵士達が来ており、領主と話しをしていた。
「彼ですか?」
「ええ、我が息子イプシロンですが、事故で記憶を無くしております。頭を強く打った為のようです。ケガは治っておりので是非ともお国の為にお使い下さい。別れは既に出来ております」
「貴方は領主の鏡だ。金で身代わりの者を確保し、身代わりを徴兵に差し出す領主が多いのに立派な事です。住人から聞きました。必ず我らが立派な兵士に育て上げます」
まだぼーっとしていて、されるに任せる感じで大人しく連行されていた。窓からはそっとイプシロンが連れ去られる姿を見ていた本物のイプシロンが下卑た笑みを浮かべつつそこにいた。
この国には徴兵制度が有り、街の人口に比例して徴兵される人数が決まる。領主の息子も例外なく対象にされ、身代わりを立てたりすると住民からの反発が強くなり、息子を差し出す必要があった。上の子の時に代わりを出したが、その時の影響が大きかったのだ。
そんな時に、丁度良いタイミングで身代わりにピッタリな生贄が来たのだ。屋敷に雄馬が連れてこられた時に領主は小躍りしたものだ。しかも都合の良い事に記憶を失くし、誰も彼の存在を知らなかった。また、息子と背格好や髪の色、目の色が同じで、まるで兄弟のように似ていたのだ。
訓練期間1年で各種教育を受け、兵士になった後実力や活躍次第で数年以内に騎士になる者もいる。兵役の義務期間は教育の1年が終わり兵士になってから3年だ。つまり今から4年間拘束されてしまうという事になる。元の身分は兵役が終わるまで全て剥奪され、その後の兵士としての地位は当人の実力次第だ。例え王族でも例外は無い。兵士になり3年したら去るのも残るのも自由だ。但し近隣諸国との争いが多い為、生き残るのは至難の業だ。
そうやって領主に売られた雄馬は兵士になるべく他の徴兵者と共に馬車に揺られ、城に送られて行くのであった。
赤井 雄馬は14歳の中学2年生だ。対面での対人コミュニケーションが少し苦手な現代っ子だ。
身長は155cmではあるが、この1年でなんと10cmも伸びる等只今成長期真っ最中であった。体格は痩せており、顔自体は穏やかで優しい雰囲気がする。
雄馬はお調子者で、周りからチビ助と揶揄されていた。面と向かってのまともな会話が苦手で、おちゃらけて自分の本来の姿を隠していた。弱い自分の本来の姿を悟られたくなく、誤魔化していたのだ。
悪人が許せなかった。殺人や強盗のニュースを見ると、犯人に対して本気で死ねば良い、僕に力があったら裁いてやるのにと思ったり、所謂不良に対しても殺してやりたいと思うのだ。権力者に対してもそうだ。偽善者め!等と思うのだ。自分を普段構ってくれない両親のように。
変人とされ周りから少し距離を置かれていた。親が権力者の為に虐めのターゲットにはされなかったが、雄馬の心はかなり歪になっていた。ただ、お年寄りの荷物を持ってあげたり、子供にも優し買った。何より妹を可愛がっていた。
とにかく力を正しい方向に使っていない者が許せなかった。特に部下や自分を平気で殴る父親には。
ただ、ネットでの文字のやり取りはちゃんとできているのだ。
友人は少ない。雄馬の性質を知っている幼稚園からの付き合いの友達が2人いるだけだった。
そんな感じでいつの間にか帰宅後はネットに逃げ込んでいる日々を過ごしていた。
学校には行くが、受験勉強が有るからとそそくさと帰るような日々を過ごしていた。
帰宅すると少し勉強をし、残りはネットゲーム三昧だった。
そんなある日、以前からチェックをしていた新作VRゲームのβ版テストプレイヤーの募集が発表され、奇跡的にβテストのモニターに当選したのだ。
そして今はそのβ版のキャラクターメイキングの真っ最中だ。送られてきたヘッドギアを装着し、ネットにダイブしようとしていた。
変だなと思わなければならなかった。なにせ申込時や当選した後に住所等を記載していない。なのに性能評価のレポートを条件に、推奨スペックのパソコンが送られてきたのだ。モニター、ヘッドギア、マウスを接続し、パソコンの電源を入れると自動でβ版が起動した。ネットに繋ぐ設定をしていないのにだ。
ゲーム自体はよくある剣と魔法のファンタジー物だ。魔法より剣が主流で、β版の主人公は兵士から始め、騎士や魔法戦士にクラスチェンジする。記憶を失った1兵卒からスタートという設定だ。
スキルは何にするかな?と色々選んでいた。初期ポイントが有り、そのポイントの中からポイントの範囲内で幾つかを選ぶ。鉄板なのは無限収納。モニターの設定では自分は勇者になるらしいが、どれか一つの属性の精霊の加護が受けられる。各々違う特典が有り、いずれ頑張り次第で精霊と会話が可能で、使役も出来る。流れ矢であっさり殺られるのも嫌なので、飛び道具や矢の類が100%当たらなくなる特典から風を選んだ。
更に特典として自動翻訳が有が文字は読めないので学ぶ必要がある。交渉術や魔法の全属性所持を追加した。騎士になる為には回復が必須だろうと思い込み、光属性を選んだ所でポイントを使い切った。中には超イケメンや、魅了魔法があった。魅了した女性を手籠に出来るのだが、ゲームじゃいらないなとスルーした。ルアルだったら女性を取っ替え引っ替えの夢の魔法だ。
キャラクターメイキングが終わると変なメッセージが現れた。
ようこそ。イプシロンVRβへ。貴方が唯一の適合者になります。本物の異世界へ貴方を誘います。注)この世界での死は実際の死を意味します。また、2度と元の世界には戻れません。承知の場合のみ続行を。尚貴方の記憶は召喚の対価として消去されますが、代わりにランダムで特殊スキルを付与します。
細かな約款が書いてあり、ゲームではなく、生身の人間として異世界に行く事、異世界に行く特典として特別なスキルを得られる。勇者として行くが、記憶が無いから今設定したり説明を受けた事が分からない。死ねば現実に死ぬし、日本には帰って来られない。そのような事が書いて有ったが、笑いながら読んでいて、ゲームの世界観の設定程度にしか思わなかった。
中々凝った設定だなと雄馬は感じた。名前はフォルクス、身長175cn、チュートリアルという兵士になるまでの訓練期間が終わった時は15歳にした。兵士になるまでの訓練期間は約1年。見た目は現地の一般人にカスタマイズされ、金髪に碧い目。普段ネットで使っている名前をここでも使う。
まあせいぜい僕を楽しませてよ!とニヤニヤしながら、スタートではなく、転移ボタンをポチるのであった。
ぽちった次の瞬間、急激に景色が変わり落下感を感じた。風がきつく目を開けていられない事から落下していると感じた。
「おいおいおいおい、流石にこれはやばいだろ。これじゃいきなりデススタートか?まじかよ」
段々と川の水面が近付いてきて、飛行魔法で飛べないか?と念じたが、そのように都合良く可能な訳ではなく、無情にも川にダイブしていった。普通なら死ぬ所だが、幸いな事に雄馬は死ななかった。
しかし、衝撃で頭から血を流し気絶して溺れていった。
奇跡的に偶々通り掛かった近くの街の者が川を流されている雄馬を見付け、救助して街に連れて行ったのだ。
数日後、目を覚ました雄馬だが自分の事を何も覚えていなかった。
街の領主の館に預けられ、手厚い看病をされ一週間で歩く事が可能なまでに回復をしていた。周りが驚く驚異的な回復振りだったのだ。雄馬の身長はこの世界の平均的な成人より少し小さかったが、成長したらかなりでかくなると皆感じていた。
典型的な中世のヨーロッパの街の感じだ。名前が思い出せないが、領主から自分の息子であるイプシロンと言われた。雄馬はそうですかと受け入れていたが、実の息子はこの屋敷に居て、現在は屋根裏部屋に隠れ潜んでいた。
雄馬改めイプシロンは文字が読めなかったが、幸い言葉は通じた。怪我の養生として大人しくしていなければならなかったが、少しは体を動かさなければならず、少しずつ歩いたりして、体力を回復している最中であった。
そしてある日の朝、屋敷に兵士達が来ており、領主と話しをしていた。
「彼ですか?」
「ええ、我が息子イプシロンですが、事故で記憶を無くしております。頭を強く打った為のようです。ケガは治っておりので是非ともお国の為にお使い下さい。別れは既に出来ております」
「貴方は領主の鏡だ。金で身代わりの者を確保し、身代わりを徴兵に差し出す領主が多いのに立派な事です。住人から聞きました。必ず我らが立派な兵士に育て上げます」
まだぼーっとしていて、されるに任せる感じで大人しく連行されていた。窓からはそっとイプシロンが連れ去られる姿を見ていた本物のイプシロンが下卑た笑みを浮かべつつそこにいた。
この国には徴兵制度が有り、街の人口に比例して徴兵される人数が決まる。領主の息子も例外なく対象にされ、身代わりを立てたりすると住民からの反発が強くなり、息子を差し出す必要があった。上の子の時に代わりを出したが、その時の影響が大きかったのだ。
そんな時に、丁度良いタイミングで身代わりにピッタリな生贄が来たのだ。屋敷に雄馬が連れてこられた時に領主は小躍りしたものだ。しかも都合の良い事に記憶を失くし、誰も彼の存在を知らなかった。また、息子と背格好や髪の色、目の色が同じで、まるで兄弟のように似ていたのだ。
訓練期間1年で各種教育を受け、兵士になった後実力や活躍次第で数年以内に騎士になる者もいる。兵役の義務期間は教育の1年が終わり兵士になってから3年だ。つまり今から4年間拘束されてしまうという事になる。元の身分は兵役が終わるまで全て剥奪され、その後の兵士としての地位は当人の実力次第だ。例え王族でも例外は無い。兵士になり3年したら去るのも残るのも自由だ。但し近隣諸国との争いが多い為、生き残るのは至難の業だ。
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