ダンジョン配信スタッフやります!〜ぼっちだった俺だけど、二次覚醒したのでカリスマ配信者を陰ながら支える黒子的な存在になろうと思います〜

KeyBow

文字の大きさ
8 / 55

第8話 孤軍奮闘

しおりを挟む
 ギギギギギと重く冷たい音を立てて、ボス部屋の扉が閉じた。その様子を裏配信の視聴者は、この不幸な男が迎えるであろう最後の姿を思い描きほくそ笑む。
 外部との繋がりを完全に断たれたドボルザックは、闇に包まれた巨大な空間の中央で、眼前の敵を睨みつける。

 ミノタウロス――身の丈3メートルを超える巨躯の魔物は、鋭い眼光でドボルザックを見下ろしながら、威圧するかのように巨大な斬馬刀を左右に振りかざした。その刀身には無数の傷が刻まれているものの、なおも禍々しい光を放っている。

「ここはボス部屋・・・逃げられるわけがない・・・しかも俺1人で武器もナイフだけ・・・詰んだな・・・くそっ、こんなところで死にたくない・・・」

 ドボルは半ば叫ぶように現状を口に出すと、荒い息を整えながらコンバットナイフを構える。帯剣は機材を運ぶ関係で懐に大振りの所謂コンバットナイフを持つのが精一杯だった。機材に傷がつくし、スタッフが守るから剣は持つなと椰子から指示を受け、代わりにコンバットナイフを懐に忍ばせていた。
 もっともそうな指示に黙って従うほど信用していないとは言え、それを考えても甘すぎた。ただ、確かに剣は撮影の邪魔で他のカメラマンも持っていなかったから、従わざるを得なかった。後の祭りだが、ろくな武器を持たぬ己の現状を呪うしかなかった。

 ミノタウロスがドボルに向け斬馬刀を振り上げた。次の瞬間、床が揺れるほどの衝撃音と共に、刀身がドボル目がけて振り下ろされる。

「くっ・・・!」

 ギリギリのところで横へ転がり、かろうじて一撃をかわす。しかし、斬馬刀が床を砕き飛び散った破片が、彼の頬を切り裂いた。頬から流れた血が滴り落ち、床に赤い染みを作る。

「速え・・・いや、力もヤバすぎるだろ・・・!」

 再び斬馬刀が振り下ろされる。ドボルは転がった先に落ちていた剣を拾い、その剣を振りかざし、その刃を受け止めた。だが、圧倒的な力に押されて、剣がギシギシと不気味な音を立てる。

 何度も攻撃をかわすもかわしきれず、徐々に服もボロボロになる。対してこちらの攻撃は薄皮1枚を切れるかどうかで、血すら出ない。
 何とか力任せに振られた渾身の一撃をかわし、攻撃に転じる。
 しかし、足元は既にふらつき始めていた。これまでの戦闘で受けたダメージと失血が、確実に彼の体力を蝕んでいる。

「――折れるっ!」

 その瞬間、剣が悲鳴を上げるように真っ二つに砕けた。同時に、折れた剣の破片が宙を舞い、ドボルの右腕を裂いて飛び去った。

「ぐっ・・・!」

 痛みに耐えながらも、彼は破片となった剣の柄を左手で握りしめた。

「こんなことで・・・負けられるかよ・・・!」

 ミノタウロスは容赦なく追撃を仕掛ける。巨大な斬馬刀が上から、横から容赦なく迫り、ドボルはひたすらかわし続ける。だが、体力の限界が近づいていることを感じていた。そして、致命的な一撃が襲いかかりつい傷ついた右腕で頭を庇うが、肩の少し先から右腕が宙を舞う。

 その時だった。
 失くなったところに現れた何かが右腕の形を作り出し、黄金に輝き始めた。

「黄金の腕、いや、ゴールデンアームか・・・!」

 痛みの中で不意に覚醒した力により、ドボルの動きが再び活性化する。黄金に輝く幻の腕が折れた剣を補い、斬馬刀をその腕で弾き飛ばし、ミノタウロスの腹ががら空きになる。

「くらえ!」
 
ゴールデンアームを振り抜くと、ミノタウロスの巨体の腹に渾身の一撃を叩き込まれた!

「おりゃあああああああ!」

 その一撃によるダメージは大きくミノタウロスが苦痛に顔を歪め、手を前に出して怯む。そこに再びパンチを繰り出すと、ミノタウロスはくの字になり吹き飛ぶも、辛うじて踏みとどまり倒れない。ゴールデンアームの力を得たとはいえ、体力の消耗と失血で彼の動きは鈍り始めている。

「クソッ、まだ足りねえのか・・・!」

「グオオオオオオ!」

 大ダメージを負ったミノタウロスだが、最後の力を振り絞り斬馬刀を振り下ろした。ドボルはそれをゴールデンアームで受け止めるが、衝撃で吹き飛ばされ床に叩きつけられる。

 立ち上がる彼の姿は、最早パンツとブーツだけという惨状だった。傷だらけの身体が血に染まり、まさに満身創痍。

 それでも彼は、最後の力を振り絞って突撃した。黄金に輝く腕を最大限に活かし、ミノタウロスの胸元に深く剣を突き刺す。

「――消えろ・・・!」

 渾身の一撃に、ミノタウロスは大きく仰け反った。斬馬刀が手から滑り落ち、轟音と共に床に倒れ込む。巨体が次第に霧散し、ボス部屋に静寂が訪れた。

 そして、床には数個のドロップアイテムが残された。

「勝った・・・」

 だが、力尽きたドボルはその場に崩れ落ちるように背中から倒れる。最後の砦だったパンツが破れるのを感じる間もなく、背中が床に接する。

 パキン!

 彼の背中の下で、何かが砕ける音が響いた。ドロップアイテムのひとつが粉々に砕け、ボス部屋には奇妙な静寂が漂った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

強制ハーレムな世界で元囚人の彼は今日もマイペースです。

きゅりおす
SF
ハーレム主人公は元囚人?!ハーレム風SFアクション開幕! 突如として男性の殆どが消滅する事件が発生。 そんな人口ピラミッド崩壊な世界で女子生徒が待ち望んでいる中、現れる男子生徒、ハーレムの予感(?) 異色すぎる主人公が周りを巻き込みこの世界を駆ける!

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話

紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界―― 田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。 暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。 仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン> 「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。 最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。 しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。 ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと―― ――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。 しかもその姿は、 血まみれ。 右手には討伐したモンスターの首。 左手にはモンスターのドロップアイテム。 そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。 「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」 ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。 タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。 ――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

趣味で人助けをしていたギルマス、気付いたら愛の重い最強メンバーに囲まれていた

歩く魚
ファンタジー
働きたくない元社畜、異世界で見つけた最適解は――「助成金で生きる」ことだった。 剣と魔法の世界に転生したシンは、冒険者として下積みを積み、ついに夢を叶える。 それは、国家公認の助成金付き制度――ギルド経営によって、働かずに暮らすこと。 そして、その傍で自らの歪んだ性癖を満たすため、誰に頼まれたわけでもない人助けを続けていたがーー 「ご命令と解釈しました、シン様」 「……あなたの命、私に預けてくれるんでしょ?」 次第にギルドには、主人公に執着するメンバーたちが集まり始め、気がつけばギルドは、愛の重い最強集団になっていた。

処理中です...