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十七話 倒錯的な日常
しおりを挟む「じゃあ、始めるよ」
という雨下の声とともに、ふくらはぎにオイルが注がれた。ヒヤリとした感触とともに、オイルが肌を滑る感触がした。
俺の姿は先日と同様に、素肌にバスローブを羽織っただけの格好だ。今日は着替えを持ってきていたが、前回を思えばパンツを履いていても汚す可能性は高く、結局は前回と同じ選択をしてしまった。
促されるままにベッドにうつ伏せで寝そべり、雨下に好きなようにされている。
「僕が着けたキスマーク、消えちゃったね」
そう言いながら、雨下の唇が太腿に吸い付く。
「んっ、ちょ……」
「ふふ。動くと見えそうだよ、縁くん」
「っ……!」
雨下の言葉に、バスローブの裾を引っ張る。下に履いていないせいで、スースーする。落ち着かない。
「良いなあ。縁くんの脚……」
ちゅ、ちゅとキスをしながら、脚を撫で回す雨下に、だんだん身体が熱くなってくる。
「っ、ん……、くすぐった……」
雨下の唇が、くるぶしから膝へと上がってくる。そのまま、手で皮膚を撫でながら、太腿の内側、柔らかい部分を、キツく吸い上げられた。
「いっ……ん」
雨下の前髪が、際どい部分に触れる。尻が見えているのではないかと、落ち着かなくて、モゾモゾと動く。だが、雨下は俺が逃げるとでも思ったのか、足首を掴んでベッドに縫い止めた。
「縁くん、体毛薄いよね。脱毛―――するわけないか」
「しない、ですよ……っん。高いんでしょ、ああいうの……」
「そうらしいね。良い職場だとは思うけど」
「ああ、そういうね……」
どこまでも脚フェチらしい回答に、呆れて溜息を吐く。
背後で、雨下が何かをする気配がした。衣擦れの音でそれを察して、唇を結ぶ。
この男の性的な興奮を、自分の脚が呼び起こしているという現実に、羞恥心とともに言い様のない背徳感を覚える。
膝の裏に欲望の気配を感じて、僅かに腰を揺らす。固く、熱い塊が、皮膚を擦っていく。
雨下の息づかいが、背中越しに聴こえる。男の声にも興奮するものなのだと、愕然とする。
「っ……」
布団と自分の身体の間で、俺自身も膨らみ始めていた。他人の肌は、不思議と安心するものだ。まして、雨下に嫌悪感などなく、その手管もまた、巧妙で興奮を誘う。
「……縁くんも、一緒にしよう?」
俺の気配を察して、雨下がそう囁く。耳が熱い。
俺は身体を硬直させ、指先を1ミリだって動かせなかった。それをしてしまったら、先日のようにタガが外れて、醜態を晒すことになる。
雨下がクスリと笑う声に、背筋が粟立つ。雨下の指先が、ツツ、と腿を撫でる。
「んんっ……!」
「強情なんだから」
「ん、はぁっ……、誰、がっ……」
雨下の性器が迸る粘液のせいで、脚がヌルヌルした。雨下は腰を揺らしながら、俺の脚にひたすら欲望を擦り付けている。
ヌチ、ヌチ、という粘度のある音が、やたらとイヤらしい。
「縁くん……っ、縁くん……」
名前を呼ばれながら、脚に吸い付かれる。チュっと音を立てて吸われ、舌で舐められる。
(っ……、雨下っ……)
吐息を堪えながら、俺はぎゅっと目を閉じて、雨下がイくのをじっと待っていた。
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