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CASE1:冴島あずさ
12:本当は
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「俺にも打算はあった。あずさを自分のものにしたいから子どもを望んだし、結婚した。あずさが専業主婦になった時も君の苦しみを知っているのに、内心ではこれで他の男と会う機会がなくなったって喜んでた」
どうだ?最低だろう?聡はそう言って肩をすくめた。
そんなことないよと言えないのに、安心できるのは彼も私と同じだと思えたからだろう。
最低なのは私だけではなかった。そう思えた途端、私の体は明らかに軽くなった。
「でもどうしてだろう。なんだか、聡の話は途中から私の認識とは大きく違っていて変な感じがする」
「それはきっと君の認知が歪んでいるからだよ」
「歪んでる……?」
「ねえ、あずさ。どうか自分を責めないで」
「別に責めてなんか……」
「責めてるよ。あずさはずっと自分を責めてる。気づいていないなかもしれないけど、君は物事がうまくいかない時、全部自分が悪いんだと思う癖があるんだ」
聡は私の手を両手で包み込むようにぎゅっと握り、優しく諭す。
「ちゃんと思い出して、あずさ。物事を正確に認識するよう意識して、過去を思い出してごらん?」
就職した会社がブラック企業だなんて、入る前にはわからない。
上司のパワハラやセクハラに耐えなきゃいけないなんて、そんなのおかしい。
産婦人科の先生は流産の原因はわからないと言っていた。検査をしたが異常はなく、ただ不幸な偶然が重なっただけだと。だから絶対にお母さんのせいじゃないから、どうか自分を責めないで、と。
「ほら。全部、君のせいじゃない」
聡はそう言って微笑んだ。
言葉がスッと心に入ってくる。梅雨が明けたみたいな清々しさだ。
生温い雫が頬を伝った。それが涙であると気づくともうダメで、私は堰を切ったように泣いた。
「やっと、届いたかな?」
聡がポツリと呟く。沈む夕日が彼を照らす。光に反射した一筋の雫はキラリと光った。
そういえば流産する度に自分を責める私に、聡はいつも『君のせいじゃない』と言ってくれた気がする。
それなのに、あの時の私はその言葉をただの慰めとしか受け取らなかった。
でもそうか。あれはただ真実を告げただけで、慰めでもなんでもなかったのか。
ーーー君のせいじゃない。
もしかすると、あの日のカフェで千景が飲み込んだ言葉はこれだったのかもしれない。
私はようやく、呪縛から解放された気がした。
*
「俺、最近の君はよく笑うからもう元気になって来たんだと勘違いしてた。ごめん」
その夜、腫れた目を濡れタオルで冷やす私に聡は言った。
私はソファの背もたれに体を預け、天井を見上げる。
照明カバーの中、汚いな。掃除しないと。
「元気にはなってたよ。薬も減ってきてたし」
「薬は勝手に減らしてただけだろ?」
「.……そうとも言う」
「そうとしか言わないよ。ダメだよ。ちゃんと飲まなきゃ。悪化するだけだ」
「ごめんなさい。でもほら、薬って高いから何か申し訳なくて」
「ねぇ、いつからそんなにお金を使うことに罪悪感を抱くようになったの?」
「……わかんない。気づいたらって感じ」
「もしかして、母さんに何か言われたのか?」
聡の言葉に心臓がびくりと跳ねる。私は動揺を隠すように濡れタオルを目の上に置いた。
聡はそんか私の隣に座り、そっとタオルを外した。
「この前の君がランチ会に行った日、母さんに聞いたんだ。あずさと直接連絡取ってたりしないかって。そしたら1年ほど前からたまに電話する仲だと言われた。最近では週に一度は電話してるって。嬉しそうに言ってたよ」
「そ、そうなの!私とお義母さん、仲良しで……」
「あの人、ナチュラルボーンで無神経だから。悪意はなくとも色々言われてるんじゃない?」
「………」
「あずさ。俺は知りたいんだよ。母さんはあずさとの長電話を喜んでたけど、あずさには負担になってるんじゃないか?」
聡は私の目を覗き込む。多分、今どれだけ笑顔を張り付けても嘘だと気付かれてしまうだろうな。今の彼は私の感情の機微を見逃さないようにしようと必死だ。
私は癖になっている愛想笑いをして、少しだけね、と返した。
「あなたの実家に行かなくてもいいと言ったのも、電話に出なくていいと言ったのも、そういう理由だったのね」
「もう一度聞くけど、母さんに何を言われたんだ?」
「何も言われてないよ。最近の聡の様子とか聞かれたり」
「他には?」
「……そろそろ孫の顔が見たいとか」
「それから?」
「.……専業主婦ならどうせ暇してるだろうから、電話に付き合ってとか」
「あとは?」
「聡は健康体だから子どもができない原因があるとするならばそれは貴女の方。治療するならお金は自分たちが出すから聡に負担をかけないで、とか?」
「…….そっか。ごめん」
「いや、違うんだよ?お義母さんも色々と心配してくれてるんだよ?」
「でもあずさは母さんの言葉に傷ついたんだろう?」
「そりゃあね。でもお義母さんに悪意がないのはわかってるし……。お義母さんさ、1年ほど前に一番仲の良かったお友達を亡くしてるでしょ?だからきっと寂しいんだよ」
「なるほど。1年ほど前から頻繁に連絡が来るようになっていたと」
「うん」
「もう連絡取らなくていいよ。母さんの相手は俺がする。母さんには話してある」
「……うん、ありがとう」
本当はちょっとしんどかった。でも聡の親だし、私が暇なのは事実だから断りきれなかった。
私は聡に寄りかかり、彼の肩に頭を預けた。首筋から香る仕事終わりの彼の匂いが好きとか言ったら、変態っぽいかな。
「気づいてくれてありがと、聡」
「気づいたのは俺じゃないよ。俺の友達。多分、1番の親友」
「友達……?」
あのランチ会の日、聡は私の遺書を見つけた。
動揺する彼が取った行動は、友人に会いに行くことだったらしい。
「その友達はね、奥さんを自死で亡くしてるんだ。もう10年近くも前の話だけど」
「そ、そうなんだ」
「奥さんは不妊だったそうだ。不妊治療の痛みや精神的な苦しみ、周囲からの圧力に心無い言葉の数々。それらを一人で抱えて疲弊していく妻に彼は何もしなかったんだって。何なら、疲弊していることにさえ気づいていなかったくらいだったらしい」
助けを求めてこないから、大丈夫なのだろうと思っていた。
いつも笑顔でいるから、平気なのだろうと思っていた。
「平気なわけないのにな、って奥さんのことを語る彼からは後悔が滲んでた」
「……」
「彼は俺に自分の二の舞にはなって欲しくないと、奥さんが残した遺書を見せてくれた。そこには各方面への恨みがぎっしりと詰まってた」
吐き出せなかった憎悪が詰まった手紙。彼はそれを今も大事に持ち歩いているそうだ。妻の本当の心をを忘れないことがせめてもの償いになると信じて。
「俺も彼も人の感情の機微にとても鈍い。目を凝らさないと気づけない。だからこれからは、わずかなサインも見逃さないように気をつけようと思う。でも、それでもやっぱり鈍いことには変わりないから、だからもしあずさが良いと言うのなら、君の気持ちを教えてほしい」
好きなもの、嫌いなもの。して欲しいこと、して欲しくないこと。
聡は私を抱きしめて、全部包み隠さず見せて欲しいと囁いた。
「全部?」
「うん。全部」
「……じゃあ言うけど、多分嘘だよ」
「何が?」
「愛してないとか……、多分嘘」
私は鍵をかけて心の奥底にしまい込んだ箱を開けた。
愛してないは、嘘だ。確かに打算で結婚した。あの時はそんなに好きじゃなかった。
でも今は……
「好きだよ。本当はすごく好き。多分」
「うん、知ってる」
私の精一杯の告白に、聡はプッと吹き出した。その反応はちょっとひどいと思う。
「なんで知ってるの」
「だって、あずさは俺の幸せばかり願うじゃないか」
愛していないヤツの幸せなんて普通は願わない。
「愛してくれてありがとう、あずさ」
聡はそう言って私の頬にキスをした。彼の表情も声も、私に触れる手の温度さえも、彼の全てが私を好きだと言っている。
私はなんだか恥ずかしくなって、顔を見ることができなくて。彼に抱きつき、その胸元に顔を埋めた。
聡は今度は豪快に笑いながら、私の髪を優しく撫でる。
いつの間にか太陽は沈んでいて、代わりに形の悪い月が昇っていた。
月明かりが照らすリビングで静かに抱き合う二人。
その静寂を裂いたのは、二人分の腹の虫の鳴き声だった。
「…………そろそろご飯にしようか」
「はは。お腹すいたね」
「うん」
「手伝うよ。何すればいい?」
「とりあえずお皿並べてもらおうかな」
「りょーかい」
どうだ?最低だろう?聡はそう言って肩をすくめた。
そんなことないよと言えないのに、安心できるのは彼も私と同じだと思えたからだろう。
最低なのは私だけではなかった。そう思えた途端、私の体は明らかに軽くなった。
「でもどうしてだろう。なんだか、聡の話は途中から私の認識とは大きく違っていて変な感じがする」
「それはきっと君の認知が歪んでいるからだよ」
「歪んでる……?」
「ねえ、あずさ。どうか自分を責めないで」
「別に責めてなんか……」
「責めてるよ。あずさはずっと自分を責めてる。気づいていないなかもしれないけど、君は物事がうまくいかない時、全部自分が悪いんだと思う癖があるんだ」
聡は私の手を両手で包み込むようにぎゅっと握り、優しく諭す。
「ちゃんと思い出して、あずさ。物事を正確に認識するよう意識して、過去を思い出してごらん?」
就職した会社がブラック企業だなんて、入る前にはわからない。
上司のパワハラやセクハラに耐えなきゃいけないなんて、そんなのおかしい。
産婦人科の先生は流産の原因はわからないと言っていた。検査をしたが異常はなく、ただ不幸な偶然が重なっただけだと。だから絶対にお母さんのせいじゃないから、どうか自分を責めないで、と。
「ほら。全部、君のせいじゃない」
聡はそう言って微笑んだ。
言葉がスッと心に入ってくる。梅雨が明けたみたいな清々しさだ。
生温い雫が頬を伝った。それが涙であると気づくともうダメで、私は堰を切ったように泣いた。
「やっと、届いたかな?」
聡がポツリと呟く。沈む夕日が彼を照らす。光に反射した一筋の雫はキラリと光った。
そういえば流産する度に自分を責める私に、聡はいつも『君のせいじゃない』と言ってくれた気がする。
それなのに、あの時の私はその言葉をただの慰めとしか受け取らなかった。
でもそうか。あれはただ真実を告げただけで、慰めでもなんでもなかったのか。
ーーー君のせいじゃない。
もしかすると、あの日のカフェで千景が飲み込んだ言葉はこれだったのかもしれない。
私はようやく、呪縛から解放された気がした。
*
「俺、最近の君はよく笑うからもう元気になって来たんだと勘違いしてた。ごめん」
その夜、腫れた目を濡れタオルで冷やす私に聡は言った。
私はソファの背もたれに体を預け、天井を見上げる。
照明カバーの中、汚いな。掃除しないと。
「元気にはなってたよ。薬も減ってきてたし」
「薬は勝手に減らしてただけだろ?」
「.……そうとも言う」
「そうとしか言わないよ。ダメだよ。ちゃんと飲まなきゃ。悪化するだけだ」
「ごめんなさい。でもほら、薬って高いから何か申し訳なくて」
「ねぇ、いつからそんなにお金を使うことに罪悪感を抱くようになったの?」
「……わかんない。気づいたらって感じ」
「もしかして、母さんに何か言われたのか?」
聡の言葉に心臓がびくりと跳ねる。私は動揺を隠すように濡れタオルを目の上に置いた。
聡はそんか私の隣に座り、そっとタオルを外した。
「この前の君がランチ会に行った日、母さんに聞いたんだ。あずさと直接連絡取ってたりしないかって。そしたら1年ほど前からたまに電話する仲だと言われた。最近では週に一度は電話してるって。嬉しそうに言ってたよ」
「そ、そうなの!私とお義母さん、仲良しで……」
「あの人、ナチュラルボーンで無神経だから。悪意はなくとも色々言われてるんじゃない?」
「………」
「あずさ。俺は知りたいんだよ。母さんはあずさとの長電話を喜んでたけど、あずさには負担になってるんじゃないか?」
聡は私の目を覗き込む。多分、今どれだけ笑顔を張り付けても嘘だと気付かれてしまうだろうな。今の彼は私の感情の機微を見逃さないようにしようと必死だ。
私は癖になっている愛想笑いをして、少しだけね、と返した。
「あなたの実家に行かなくてもいいと言ったのも、電話に出なくていいと言ったのも、そういう理由だったのね」
「もう一度聞くけど、母さんに何を言われたんだ?」
「何も言われてないよ。最近の聡の様子とか聞かれたり」
「他には?」
「……そろそろ孫の顔が見たいとか」
「それから?」
「.……専業主婦ならどうせ暇してるだろうから、電話に付き合ってとか」
「あとは?」
「聡は健康体だから子どもができない原因があるとするならばそれは貴女の方。治療するならお金は自分たちが出すから聡に負担をかけないで、とか?」
「…….そっか。ごめん」
「いや、違うんだよ?お義母さんも色々と心配してくれてるんだよ?」
「でもあずさは母さんの言葉に傷ついたんだろう?」
「そりゃあね。でもお義母さんに悪意がないのはわかってるし……。お義母さんさ、1年ほど前に一番仲の良かったお友達を亡くしてるでしょ?だからきっと寂しいんだよ」
「なるほど。1年ほど前から頻繁に連絡が来るようになっていたと」
「うん」
「もう連絡取らなくていいよ。母さんの相手は俺がする。母さんには話してある」
「……うん、ありがとう」
本当はちょっとしんどかった。でも聡の親だし、私が暇なのは事実だから断りきれなかった。
私は聡に寄りかかり、彼の肩に頭を預けた。首筋から香る仕事終わりの彼の匂いが好きとか言ったら、変態っぽいかな。
「気づいてくれてありがと、聡」
「気づいたのは俺じゃないよ。俺の友達。多分、1番の親友」
「友達……?」
あのランチ会の日、聡は私の遺書を見つけた。
動揺する彼が取った行動は、友人に会いに行くことだったらしい。
「その友達はね、奥さんを自死で亡くしてるんだ。もう10年近くも前の話だけど」
「そ、そうなんだ」
「奥さんは不妊だったそうだ。不妊治療の痛みや精神的な苦しみ、周囲からの圧力に心無い言葉の数々。それらを一人で抱えて疲弊していく妻に彼は何もしなかったんだって。何なら、疲弊していることにさえ気づいていなかったくらいだったらしい」
助けを求めてこないから、大丈夫なのだろうと思っていた。
いつも笑顔でいるから、平気なのだろうと思っていた。
「平気なわけないのにな、って奥さんのことを語る彼からは後悔が滲んでた」
「……」
「彼は俺に自分の二の舞にはなって欲しくないと、奥さんが残した遺書を見せてくれた。そこには各方面への恨みがぎっしりと詰まってた」
吐き出せなかった憎悪が詰まった手紙。彼はそれを今も大事に持ち歩いているそうだ。妻の本当の心をを忘れないことがせめてもの償いになると信じて。
「俺も彼も人の感情の機微にとても鈍い。目を凝らさないと気づけない。だからこれからは、わずかなサインも見逃さないように気をつけようと思う。でも、それでもやっぱり鈍いことには変わりないから、だからもしあずさが良いと言うのなら、君の気持ちを教えてほしい」
好きなもの、嫌いなもの。して欲しいこと、して欲しくないこと。
聡は私を抱きしめて、全部包み隠さず見せて欲しいと囁いた。
「全部?」
「うん。全部」
「……じゃあ言うけど、多分嘘だよ」
「何が?」
「愛してないとか……、多分嘘」
私は鍵をかけて心の奥底にしまい込んだ箱を開けた。
愛してないは、嘘だ。確かに打算で結婚した。あの時はそんなに好きじゃなかった。
でも今は……
「好きだよ。本当はすごく好き。多分」
「うん、知ってる」
私の精一杯の告白に、聡はプッと吹き出した。その反応はちょっとひどいと思う。
「なんで知ってるの」
「だって、あずさは俺の幸せばかり願うじゃないか」
愛していないヤツの幸せなんて普通は願わない。
「愛してくれてありがとう、あずさ」
聡はそう言って私の頬にキスをした。彼の表情も声も、私に触れる手の温度さえも、彼の全てが私を好きだと言っている。
私はなんだか恥ずかしくなって、顔を見ることができなくて。彼に抱きつき、その胸元に顔を埋めた。
聡は今度は豪快に笑いながら、私の髪を優しく撫でる。
いつの間にか太陽は沈んでいて、代わりに形の悪い月が昇っていた。
月明かりが照らすリビングで静かに抱き合う二人。
その静寂を裂いたのは、二人分の腹の虫の鳴き声だった。
「…………そろそろご飯にしようか」
「はは。お腹すいたね」
「うん」
「手伝うよ。何すればいい?」
「とりあえずお皿並べてもらおうかな」
「りょーかい」
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