【完結】アッシュフォード男爵夫人-愛されなかった令嬢は妹の代わりに辺境へ嫁ぐ-

七瀬菜々

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第二章 マリーナフカの棺とハルの妖精

26:テオドール(5)

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「僕がわかるのは魔王軍の幹部の顔と名前、城の内部の構造と……、あとは彼らの単純な思考くらいです」

 アイシャが何を期待していたのかは知らないが、魔族としての自分はもういない。敵将軍の首を取る時、テオドールは死んだことになっているからだ。
 申し訳なさそうに眉尻を彼は下げた。少し小馬鹿にされているような気分になる。
 アイシャは眉根を寄せ、目を閉じて大きく深呼吸した。

「テオ、マリーナフカが混血なのは間違いない?」
「はい。間違いないかと」
「じゃあ、その親は誰なの?」
「僕と同じ村出身の混血でしょう。それ以外に人間の血が混ざる要素がないので」
「本当に?あなたがこちら側に来る前、混血は何人生き残ってた?」
「3人です。男が1人。女が2人」
「こちらに来たマリーナフカは司祭様が言うには14人。2人で14人も産んだの?」
「…………無理がありますね」
「テオは混血の仲間に子どもを産ませたくないから人間の女の方がいいと進言した。魔王はその進言通りに人間の女を求めて南下した。それが5年前のこと。そしてマリーナフカがこちらに現れたのは2年前が最初。でも報告書によればマリーナフカの推定年齢は6歳から10歳。魔王軍が撤退した後に生まれた子どもだとしたら年齢が合わないし、戦時中に生まれた子だとしても、やっぱり年齢が合わない子がいる」

 それはつまり、あちら側にまだ人間の女性がいるという事。 
 アイシャの言葉にイアンは驚きを隠せなかった。

「戦時中に連れ去られた女性でないのなら、テオの故郷のような罪人の村が他にもあったのかもしれません。あなたは知ってる?」
「すみません。そこまでは知りません。罪人の村は元々、粛清された幹部の近親者が都を追放された際、生き延びるために自ら開拓した村ですから」
「……そう。まあ、隠れて暮らしているのなら知らないのも無理はないわね」
「………って、まさか交渉でもするつもりでしたか?」
「その通りよ。魔族との交渉を考えていたわ」
「え、本当に?」 

 聡明な彼女らしからぬ大胆かつ無謀な発言にイアンは顔を顰めた。
 話が通じる相手ならだしも、相手は停戦合意も簡単に破る奴らだ。野蛮で、血の気が多くて、とにかく乱暴な奴ら。まともな話し合いができるとは思えない。
 だがアイシャはそれも承知の上で言っていると返した。

「戦争を終わらせるために、どうにか交渉の場を設けたいのです」
「どうやって?」
「もし本当に司祭様がマリーナフカを招いているのなら、司祭様と取引をした魔族がいるはずです」
「まさかその者と対話しようと?無茶だよ」

 子どもを兵器にするような非情な奴に話が通じるわけがない。  
 きっと近づいただけで殺されるだろう。
 しかし、アイシャの見立ては違った。
 
「私は、取引をした魔族は話ができると思います」

 アイシャはそう言うと机の上に広げられた報告書の記載を指でなぞる。
 遺体から推測される身長、体重、年齢や健康状態。この報告書には何が彼らを知る手がかりになるかわからないからと、見てとれる情報を全て細かく記録されている。

「報告書、全部読んだのですか?」
「はい。しっかりと、全てに目を通しました。知っておかねばならないものだと思いましたので」
「アイシャ……」

 死の惨状を事細かに記したものを読んだのかと、イアンは不安げにアイシャの顔を覗き込んだが、予想に反して彼女は至って冷静な目をしていた。
 彼女がこの記録を見て冷静でいられるようになるまで、どれほど葛藤したのかは想像に容易い。
 部屋に引きこもり、一人で目を伏せたくなるような現実に向き合っていたのかと思うと、イアンは自分の不甲斐なさに怒りが込み上げた。

「……確証のない、憶測の話になりますがいいですか?」
「……ああ、話してくれ」
「マリーナフカたちは推定身長に対し、しっかりと体重があるようです。それは十分な食事を与えられていたということ。しかし、魔族は食糧を求めて南下してくるほど食糧難です。そんな中で人の子、それもしっかりとした環境で育てられた子と変わらない体型をしていたということは、彼らは大事にされていたのではないでしょうか」
「それはおそらく、彼らが混血だからでしょう。魔王は混血を欲しがっていましたし」
「ならば何故こんなふうに自爆目的でこちら側に送るのでしょう?なぜ使い捨ての駒として使うのでしょう?まだ子どもです。仮に知性を感じられなくとも、これからの成長に期待してもよい年だと思います」
「た、たしかに……」

 大事にしたい存在をこちらに送る理由。はじめは人間に似た容姿の子どもでこちらを油断させ、人間を殺すためだと思っていた。
 魔族は皆、残酷な奴らだから、子どもを犠牲にすることに何の抵抗もないのだと。
 そして少し知恵をつけた彼らが一度成功したこの残酷な作戦を永遠に繰り返しているのだと、そう思っていた。
 けれど、そうでないのだとしたら……。

「私は、マリーナフカを保護して欲しくてこちらに送り込んだのではないかと……、考えてます……」

 誰が送り込んだのかはわからない。ただもしも、近くに罪人の村があり、なんならかの事情でそこに住む魔族が、子どもたちが王に捉えられておもちゃにされる未来を回避したいと考えたのなら。
 幸いにも子どもたちの容姿は人間に近い。生きるために奪うことしかしてこなかった残虐な王の国より、豊かな土地を持ち、守るために戦っていた人間の国の方が幸せに生きられるのではないか。そう考えても不思議ではない。
 アイシャの推察を聞いて、イアンは口元を押さえ顔を歪めた。
 
「そんな……」
「最悪だな……」

 もしそれが真実だとするのならば大問題だ。保護を要請された魔族の子どもを、こちら側が自作自演をして殺したことになる。これはさらなる戦争のきっかけになりかねない事態だ。
 イアンは痛む頭を抑え、大きなため息をこぼした。

「マリーナフカが魔王の送り込んだ刺客ではなく、保護を求められた罪人の村の子どもなら、司祭様の取引相手は現王に反感を持っていると思います」  
「確かに、王が混血を求めているのに、それを献上しないということは少なからず反感は持っているでしょうね」
「……まさか協力者を得て、自ら王の首を取りに行くつもりか?」
「いいえ。王の首を取るのは私たちではありません。彼ら魔族です」

 アイシャは腕を前に出し、指を二つ立てた。

「この戦争を終わらせる方法は魔族の国が崩壊するか、帝国側が盟約違反を理由に進軍してあちらの国を制圧するかの2択。しかし、今のアッシュフォードの資源を考えると後者を選ぶのはリスキーです」

 冬が終わり、北部の貴族をまとめて攻め入ることもできるが今のイアンにはそれをするだけの権力がない。それに中央の許可なく魔王討伐軍を組織すれば、ヘタをすると謀反の疑いをかけられてしまう。

「後者を選ぶならどのみち中央との交渉が必須。でも中央はアテにできない。何故なら首都のある帝国南部は信じられないくらいに平和で、陛下は戦争は終わったと明言しているから。アッシュフォードの現状を受け入れることは陛下が帝国民に嘘をついていたことを認めるということ。陛下の性格を考えても、今の安定を崩してまでそれをしないわ」

 そういう人だもの。アイシャは吐き捨てるようにそう言った。

「だから私は前者に期待したいのです」

 今年は軍人ですらない兵が多い。それはつまりあちらも人手が足りていないということ。
 守るという使命があるから団結していられるアッシュフォードとは違い、大した大義名分もないあちらの国の兵は士気も低い。
 アイシャは崩壊を狙うなら今だと話す。

「圧政を強いた王は民に背中を刺されるのが常でしょう?」
「しかしアイシャ。我々はマリーナフカを保護していない。殺してしまっている。交渉は容易ではないぞ」
「魔族は単純なのでしょう?よく言えば素直、こちらの都合がいいように言い換えれば扱いやすいということです。思考が読める相手との交渉はさほど難しくありません」
「交渉に来るのが人間の母親の可能性もあるだろう」
「その時は交渉の仕方を少し変えますよ。いずれにせよ、相手が誰なのか、確証が持てないと動けません」
「…………わかった。テオ、動けるか?」
「団長をお借りして良いのなら」
「構わん。連れていけ」
「では急ぎ、司祭殿を調べます」

 テオドールは数日中に結果を報告すると、急いで部屋を出た。
 二人残されたアイシャとイアン。アイシャは広げた書類を片しながら、気持ちを落ち着けるように大きく息を吐いた。
 イアンはそんな彼女の手に自分の手を重ねた。そしてギュッと指を絡めて握る。

「疲れたか?」
「大丈夫です。ただ何も知らない余所者の私の、何の確証もない話を聞いてもらえるか不安だったので、緊張が解けたといいますか……。話を聞いてくださってありがとうございました」
「そんなの、こちらこそだ。どうして今まで気が付かなかったんだろう」
「基本的に魔族は悪で魔族は敵ですから。彼らを疑うことはあっても身内を疑うことはしないのが普通でしょう。ましてこの地は戦争により、強い絆が結ばれた地ですし……」

 まさか裏切り者がいるなんて誰も思わない。アイシャは仕方がないと笑った。
 外から来たからこそ、イアンにはない視点を持っている。やはりアイシャは自分に必要な女ひとだと彼は思った。
 

 *

 
 一通り片付けたアイシャは、部屋を出ようと扉の前に立った。
 そしてドアノブに手をかけたまま、小さく呟いた。
 
「……綺麗事なのはわかっているんですが、聞いてくれますか?」
「うん、聞くよ。何?」
「私はいつか魔族と交流が持てればいいなと思っているんです」
「……交流?」
「はい……」

 痩せた土地では育つ作物は限られる。
 鉱山もなく、これといって目立つ産業もない。
 当然移住する者もおらず、逆に出ていく者は増える一方。たとえ戦争が終わっても、アッシュフォードに明るい未来はない。

 慎ましやかに暮らし、緩やかに、しかし確実に衰退していく未来しかない。

 だが、魔族領にはそこにしかない鉱物がある。
 それは先の戦争の賠償金として皇帝が受け取ったもので、南部の貴族はそれを欲しがっていた。
 あの橙褐色の羽織も質が良く、高い技術力を感じた。貴族が好みそうなものだった。

「魔族領と接している。それは他のどの領地も持たないアッシュフォードだけの資産です。だから、魔族との交易の中継地として発展させることはできないでしょうか」

 振り返ったアイシャは困ったように笑った。
 自分でも難しいことを言っている自覚はあるのだろう。

「……そんなに簡単には行かないと思うな」

 イアンは正直に答えた。
 彼女の話はとても合理的で、確かに商業の中継地としてならこの地の発展は期待できるかもしれない。
 しかし、そう簡単にいかないのか人の心だ。奪ったやつらが、この地に踏み込むことを誰もよしとはしない。
 イアンは慰めるようにアイシャの頭を撫でた。

 理屈ではない。きっとアイシャの夢は夢で終わるだろう。
 アイシャは今度は何かを誤魔化すように笑って、何も言わずに厨房で芋の皮剥きをするリズベットの元へ向かった。


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