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第二章 マリーナフカの棺とハルの妖精
30:奥様(1)
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その日のうちにイアンの前まで連れてこられたマリンは、抵抗する事なく自身の知る範囲のことを全てを話した。
司祭が禁止薬物を仕入れている事。お金を着服している事。魔族の子どもを引き入れている事。その子どもを自爆させ、意図的に負傷者を出している事。
イアンの前に跪くマリンは冷静に淡々と話す。彼女の声にも瞳にも怯えた様子はなく、怒りや憎しみなども感じない。ただ、所々言葉に詰まる様子やたまに瞳を潤ませている姿から、彼女が自分の罪を後悔しているようには見えた。
アイシャはそんな彼女に優しく寄り添い、イアンは逆に彼女を冷たく見下ろす。
そばに控えるテオドールや集められた騎士団の面々も皆、主君同様、冷静に彼女を冷めた目で見下ろしていた。
だがしかし、リズベットだけは冷静でいられるわけもなく、ワナワナと肩を震わせていた。
「どうして、どうしてよ!マリン!」
今にも掴みかかりそうになるリズベットを同僚たちは慌て止める。けれど彼女の怒りは収まらない。
……いや、これは怒りではない。悲しみだ。
シスターと騎士と言う立場だが、ずっと共にこの地のために戦ってきた戦友だと思っていた。
それなのに、こんな裏切りはない。
あの日、一番仲の良かった女性騎士がマリーナフカの自爆に巻き込まれ、大怪我を負った日。必死になって治療していた司祭やマリンの姿は嘘だったのだろうか。彼女が騎士を辞めざるを得なくなるばかりか、子どもまで望めない体となったことを一緒に嘆いて泣いてくれたシスター・マリンという人は幻だったのだろうか。
違うというのなら一体どんなつもりで寄り添っていたというのか。
リズベットは内側から出てくる言葉を躊躇うことなくそのまま投げつけた。
マリンはその言葉たちをただただ静かに受け止めた。
騒然とする執務室。
イアンはひとつため息をこぼすと、リズベットに落ち着くよう言い、退室させた。
「我が騎士が失礼した、シスター・マリン」
「い、いえ。私が全て悪いので」
「そうだな。悪いのは君だ。彼女は裏切りにひどく心を痛めたらしい」
「はい……。すみません……」
「それで?司祭殿と魔族の取引とはどのようなものなのかわかるか?」
「はい……。その、まず前提として司祭様は魔族の言葉を知りません。そしておそらく、魔族もこちらの言葉を知りません。ですから奥様がおっしゃるように明確に『保護して欲しい』と依頼された訳ではないと思います」
「なるほどな」
「ただ、言葉を交わさずともジェスチャーで意思の疎通は可能かと思います」
「何となく、お互いの言いたいことを察しているということか」
「……司祭様は大体いつも、雨の降る夜に砦付近まで散歩に向かいます。そして夜の見張り番の兵士たちに軽く挨拶をして、『いつもの墓参りだ』と砦の壁沿いに湖の近くまで歩きます」
「墓参り?」
「はい。昔湖で溺れて亡くなった子どもがいるらしく、その墓がそこにあるのだと司祭様は良く話していらっしゃいました。その話が真実かは分かりませんが、墓は確かにあります。そしてその墓で隠れているのですが、砦の壁が一部くずれている箇所があるのです」
「……なるほど、そこからマリーナフカが出入りしていると」
イアンは砦の管理を任せている騎士団の副団長をギロリと睨んだ。
そんな報告は上がっていない。おそらく墓を動かしてはならんと遠慮していたのだろうか、壁の破損を放置するなど命取りだ。
副団長は申し訳なさそうに頭を下げ、事が終わり次第早急に修復すると約束した。
「雨が降る日に毎回、というわけではないのですが、たまに墓の後ろから綺麗な布が見えるのです。それが合図となっていまして、司祭様は墓石を横にずらすのです。そうすると、壁の向こう側には子どもがいて、子どもだけがその穴からこちら側に入ります。穴の奥を覗くと、魔族の女が遠くから何度も深く頭を下げている様子が見えます。時折、跪いて両手を組み、天に祈るようにしてその手を空高く掲げる姿も目にしました」
「どう見てもこちらに危害を与えようとしているようには見えないと?」
「はい。敵意は感じません」
「いつもこちら側に来たマリーナフカたちはその後どうしているんだ?」
「一時的に司祭様のお部屋に匿ったあと、時期を見て例の禁止薬物を飲ませます。……えっと、その、少しでも楽に、死ねるようにと……」
「ハッ……、そうか」
自分から殺そうとしておいてその気配りをするのかと、イアンは思わず失笑してしまった。
しかし、きっとマリンも同じことを思っていたのだろう。彼女は申し訳なさそうに顔を伏せた。
「わかった、ありがとう。ではしばらく、雨の降りそうな夜を警戒しておくとするよ」
「はい……」
「シスター・マリン。君は司祭殿に感づかれぬよう注意しつつ、彼の書斎から証拠となりそうなものを持ち出し、保管しておいてくれ。彼に変な動きがあればすぐに報告してほしい」
「かしこまりました……」
「君も無罪放免とはいかないが、協力するのならそう悪いようにはしない。だがもし、裏切るような真似をするのなら、その時は覚悟しておく方がいいだろうな」
「肝に銘じておきます」
「ではもういい。下がりなさい」
「はい。ありがとうございました、領主様」
マリンは深々と頭を下げ、騎士と共に静かに部屋を後にした。
再び静まり返る室内。妙な緊張感が漂う。
「信用できるのでしょうか?」
マリンを拘束せずに返したことを心配するテオドールは扉の方を眺めながら呟いた。
それは騎士達も同じなのか、同意するように頷く。
するとアイシャは優しく微笑みを浮かべ、『大丈夫だ』と言い切った。
たしかに彼女が裏切らない保証はない。
だがアイシャに見せた涙も懺悔の言葉も、全て後悔しているからこそのものであるはずだ。だからアイシャは彼女を信じるのだと話す。
騎士達は不服そうにしながらも渋々納得した。
「それよりも、リズの方が問題かと」
「リズか……」
イアンは口元を手で隠し、小さくため息をこぼした。
今回の件について騒ぎを大きくすることはイアンの本意とするところではない。何故なら信頼の厚い司祭の裏切りは民の心を大きく揺るがすからだ。冬のこの時期に大きな混乱は招きたくない。
出来るだけ武力に頼らず司祭を現行犯逮捕し、かつその場に来ていた魔族に戦争終結に向けての交渉する必要がある。
そして交渉による解決を望む以上、冷静でいられないのなら連れてはいけない。
イアンが難しい顔で唸っていると騎士団長が遠慮がちに口を挟んだ。
「すみません、旦那様。奥様が同行なさるとのことだったので数に入れたのですが、人選ミスでしたか?」
「まだ何とも言えんな。……とりあえず、テオ。冷静になれないのなら今回の件からはずすと後でリズに言っておいてくれ」
「何で僕が……」
「リズはお前の話なら聞くだろう?どうしてかは知らないが。……どうしてだ?」
「僕に聞かれても困りますよ」
テオドールは面倒臭そうに返した。二人とも、本当にわからないという様子だ。
薄々リズベットの矢印が誰に向かっているのかを勘づいている騎士達は彼女が少し哀れに思えたが、それを口にするのは野暮というもの。
テオドールはアイシャを伴い、リズベットの部屋に向かった。
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イアンの前に跪くマリンは冷静に淡々と話す。彼女の声にも瞳にも怯えた様子はなく、怒りや憎しみなども感じない。ただ、所々言葉に詰まる様子やたまに瞳を潤ませている姿から、彼女が自分の罪を後悔しているようには見えた。
アイシャはそんな彼女に優しく寄り添い、イアンは逆に彼女を冷たく見下ろす。
そばに控えるテオドールや集められた騎士団の面々も皆、主君同様、冷静に彼女を冷めた目で見下ろしていた。
だがしかし、リズベットだけは冷静でいられるわけもなく、ワナワナと肩を震わせていた。
「どうして、どうしてよ!マリン!」
今にも掴みかかりそうになるリズベットを同僚たちは慌て止める。けれど彼女の怒りは収まらない。
……いや、これは怒りではない。悲しみだ。
シスターと騎士と言う立場だが、ずっと共にこの地のために戦ってきた戦友だと思っていた。
それなのに、こんな裏切りはない。
あの日、一番仲の良かった女性騎士がマリーナフカの自爆に巻き込まれ、大怪我を負った日。必死になって治療していた司祭やマリンの姿は嘘だったのだろうか。彼女が騎士を辞めざるを得なくなるばかりか、子どもまで望めない体となったことを一緒に嘆いて泣いてくれたシスター・マリンという人は幻だったのだろうか。
違うというのなら一体どんなつもりで寄り添っていたというのか。
リズベットは内側から出てくる言葉を躊躇うことなくそのまま投げつけた。
マリンはその言葉たちをただただ静かに受け止めた。
騒然とする執務室。
イアンはひとつため息をこぼすと、リズベットに落ち着くよう言い、退室させた。
「我が騎士が失礼した、シスター・マリン」
「い、いえ。私が全て悪いので」
「そうだな。悪いのは君だ。彼女は裏切りにひどく心を痛めたらしい」
「はい……。すみません……」
「それで?司祭殿と魔族の取引とはどのようなものなのかわかるか?」
「はい……。その、まず前提として司祭様は魔族の言葉を知りません。そしておそらく、魔族もこちらの言葉を知りません。ですから奥様がおっしゃるように明確に『保護して欲しい』と依頼された訳ではないと思います」
「なるほどな」
「ただ、言葉を交わさずともジェスチャーで意思の疎通は可能かと思います」
「何となく、お互いの言いたいことを察しているということか」
「……司祭様は大体いつも、雨の降る夜に砦付近まで散歩に向かいます。そして夜の見張り番の兵士たちに軽く挨拶をして、『いつもの墓参りだ』と砦の壁沿いに湖の近くまで歩きます」
「墓参り?」
「はい。昔湖で溺れて亡くなった子どもがいるらしく、その墓がそこにあるのだと司祭様は良く話していらっしゃいました。その話が真実かは分かりませんが、墓は確かにあります。そしてその墓で隠れているのですが、砦の壁が一部くずれている箇所があるのです」
「……なるほど、そこからマリーナフカが出入りしていると」
イアンは砦の管理を任せている騎士団の副団長をギロリと睨んだ。
そんな報告は上がっていない。おそらく墓を動かしてはならんと遠慮していたのだろうか、壁の破損を放置するなど命取りだ。
副団長は申し訳なさそうに頭を下げ、事が終わり次第早急に修復すると約束した。
「雨が降る日に毎回、というわけではないのですが、たまに墓の後ろから綺麗な布が見えるのです。それが合図となっていまして、司祭様は墓石を横にずらすのです。そうすると、壁の向こう側には子どもがいて、子どもだけがその穴からこちら側に入ります。穴の奥を覗くと、魔族の女が遠くから何度も深く頭を下げている様子が見えます。時折、跪いて両手を組み、天に祈るようにしてその手を空高く掲げる姿も目にしました」
「どう見てもこちらに危害を与えようとしているようには見えないと?」
「はい。敵意は感じません」
「いつもこちら側に来たマリーナフカたちはその後どうしているんだ?」
「一時的に司祭様のお部屋に匿ったあと、時期を見て例の禁止薬物を飲ませます。……えっと、その、少しでも楽に、死ねるようにと……」
「ハッ……、そうか」
自分から殺そうとしておいてその気配りをするのかと、イアンは思わず失笑してしまった。
しかし、きっとマリンも同じことを思っていたのだろう。彼女は申し訳なさそうに顔を伏せた。
「わかった、ありがとう。ではしばらく、雨の降りそうな夜を警戒しておくとするよ」
「はい……」
「シスター・マリン。君は司祭殿に感づかれぬよう注意しつつ、彼の書斎から証拠となりそうなものを持ち出し、保管しておいてくれ。彼に変な動きがあればすぐに報告してほしい」
「かしこまりました……」
「君も無罪放免とはいかないが、協力するのならそう悪いようにはしない。だがもし、裏切るような真似をするのなら、その時は覚悟しておく方がいいだろうな」
「肝に銘じておきます」
「ではもういい。下がりなさい」
「はい。ありがとうございました、領主様」
マリンは深々と頭を下げ、騎士と共に静かに部屋を後にした。
再び静まり返る室内。妙な緊張感が漂う。
「信用できるのでしょうか?」
マリンを拘束せずに返したことを心配するテオドールは扉の方を眺めながら呟いた。
それは騎士達も同じなのか、同意するように頷く。
するとアイシャは優しく微笑みを浮かべ、『大丈夫だ』と言い切った。
たしかに彼女が裏切らない保証はない。
だがアイシャに見せた涙も懺悔の言葉も、全て後悔しているからこそのものであるはずだ。だからアイシャは彼女を信じるのだと話す。
騎士達は不服そうにしながらも渋々納得した。
「それよりも、リズの方が問題かと」
「リズか……」
イアンは口元を手で隠し、小さくため息をこぼした。
今回の件について騒ぎを大きくすることはイアンの本意とするところではない。何故なら信頼の厚い司祭の裏切りは民の心を大きく揺るがすからだ。冬のこの時期に大きな混乱は招きたくない。
出来るだけ武力に頼らず司祭を現行犯逮捕し、かつその場に来ていた魔族に戦争終結に向けての交渉する必要がある。
そして交渉による解決を望む以上、冷静でいられないのなら連れてはいけない。
イアンが難しい顔で唸っていると騎士団長が遠慮がちに口を挟んだ。
「すみません、旦那様。奥様が同行なさるとのことだったので数に入れたのですが、人選ミスでしたか?」
「まだ何とも言えんな。……とりあえず、テオ。冷静になれないのなら今回の件からはずすと後でリズに言っておいてくれ」
「何で僕が……」
「リズはお前の話なら聞くだろう?どうしてかは知らないが。……どうしてだ?」
「僕に聞かれても困りますよ」
テオドールは面倒臭そうに返した。二人とも、本当にわからないという様子だ。
薄々リズベットの矢印が誰に向かっているのかを勘づいている騎士達は彼女が少し哀れに思えたが、それを口にするのは野暮というもの。
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