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第二章 『画廊寄武等とyouじん!』
34.姿を現した敵。
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見えない敵に対して、アリアさんは虚空に呼び掛けた。
のだが一切の反応は無く。そのままの状態で数分が経過していた……。
「……あのー、なんの動きも見えないんですが…?」
何の変化も起こらない、そんな状況にさすがに耐えきれなくなってきた僕は、おずおずとそう切り出した。
「あれ、おかしいの? 周囲に音が漏れないように結界は張っておいたが、まさか加減を間違えてこの場所自体も防音モードにしてしまったのじゃろうか」
「なんだそりゃ?」
しかし、彼女は態度を変えないままだ。
「じゃが、確実に何者かが居る。人間以外の何かがな」
そう断言する言葉には、バトルとは無縁の世界で生きてきた僕を信じさせるに足るだけの根拠は無かったが、逆らって怒らせてしまうとこちらの命に関わる気がした。
「おぬしは下がっておれよ。でないと余計な怪我をする羽目になるぞ」
「もう充分に怪我は負わされてるんだけどな……」
僕はそうぼやく。挿絵イラストではセンシティブ判定を避けるためにケガの表現は控えめにされているが、実際はもっとひどい状態だったりするのだ。
なのでさすがにこれ以上のダメージを受けるのもごめんなので、ふらつく足でその火災現場の敷地の端の方へと退避した。
そんな事を思っている間にもアリアさんは独り言のように続ける。
「儂をじらして罠にでも誘導する気かの。あ奴の情報通では姑息な手を使う小物達らしいからの」
――いや、だから自分の知ってる情報を一々相手に知らせるようなことしてどーすんだよ……。
「まあ良い。ならばその手に乗ってみせようか」
――だから一々親切に自分の考えを声に出して説明しない方がいいのでは……。
というか、彼女はそんな手間のかかる駆け引きが面倒になったのだろう、再び虚空へと問い掛けた。
「どうやら気配を消すのは得意なようじゃが、この儂を欺き続けられるとでも思っておるのか?」
だが、その問いにも相変わらず返事は無い。
「まだだんまりを決め込むか? ならば行くとしようかの……」
なんだか、まんまと相手の焦らし作戦に乗っているようにしか思えない。そんな感じで数歩進んだアリアさんの足元から、突然に触手のようなものが焼け跡の瓦礫から湧きい出ると彼女に襲い掛かるように巻き付く!
かに見えた、その刹那。
アリアさんは右手を軽く一振りしただけで、彼女に巻き付こうとした触手が一瞬の内に炎に包まれて、その体に触れることも無いまま灰も残さずに燃え尽きていた。
「ふん、この程度の呪術トラップでは足止めにもならんぞ!」
まだ姿を見せないその相手を挑発するようにアリアさんはそう言いながら宙に浮いてみせると、地面から二~三メートルほどの所で静止して辺りを見おろす。
その次の瞬間、焼け跡のそこかしこから炎が勢いよく燃え上がる。どうやらアリアさんの力が‶そこここに仕掛けられてたのであろう何か〟を焼き尽くしているようだ。
「ふ、残念じゃなぁ。何者かは知らんが、せっかく苦労して施した罠も全てこのとおり無駄に終わったの……」
そう言い終わる前に、浮遊している彼女の背後から黒い影が躍り掛かるが、目にも留まらぬ速さで振り向くアリアさん。それまでのボケっぷりとは正反対の戦いっぷりだった。
「ほう、それで不意打ちのつもりか?」
そう言ったアリアさんの手には、いつの間にかロングソードが握られていて、その刃が黒い影を両断していた。
「あん?」
途端、人の形をしていた黒い影は小さな紙のようなものに変わり、あっという間に燃え尽きるのだが、それを見てアリアさんは訝しげに言う。
「式神じゃと!?」
式神?
「それは、法術によって、紙や物に使い魔としての能力や姿を与え使役するという、この世界でいうと陰陽道の秘術じゃな」
自覚もないのだが気付かないうちに声に出ていたのだろうか、アリアさんはそんな僕の疑問に答えてくれたかのように言葉にしてくれた。そんな隙を付くかのように、彼女の背後から刃のような物が現われその首元を狙う。
ガキィン!!
と金属と金属の衝撃音が響いた。
便宜上そんな表現をしているが実のところ、傍から見ていた僕には、そんな彼女達の攻防を目で捉えることなどはできてはいない。
こちらから認識できたのは、その動きが止まってからのことで、背後から彼女を襲ったのが敵の持つ鎌であり、彼女がそれを剣で受け止めているらしいと認識してから想像して驚くだけだ。
――てっきりあの女神様が自分の勘違いを誤魔化そうと一人芝居をしているのかと思ってたんだが……本当に敵が居たのか……。
そんな僕の感想をよそに、空中での鍔迫り合いをしていた黒い影は、文字では表現できないような奇妙な笑い声をあげながら、空中で対峙しつつ間合いを取った。
「くけけけけっ! あっさり受けられちまうんだぁ。強えーじゃねーか! 迷惑だなぁ、くけけけけっ!」
そいつは、
黒いフード付きのボロボロの衣装。
その手に握られている大きな鎌の柄の先端は鎖で繋がれている。
一見、骸骨のようにも見えるその顔は、右目部分こそ骸骨っぽく空洞になっているが、その左側は顔を斜めに横断するかのように、目が何個も並んでいる。そんな異様で不気味な見た目をしていた。
のだが一切の反応は無く。そのままの状態で数分が経過していた……。
「……あのー、なんの動きも見えないんですが…?」
何の変化も起こらない、そんな状況にさすがに耐えきれなくなってきた僕は、おずおずとそう切り出した。
「あれ、おかしいの? 周囲に音が漏れないように結界は張っておいたが、まさか加減を間違えてこの場所自体も防音モードにしてしまったのじゃろうか」
「なんだそりゃ?」
しかし、彼女は態度を変えないままだ。
「じゃが、確実に何者かが居る。人間以外の何かがな」
そう断言する言葉には、バトルとは無縁の世界で生きてきた僕を信じさせるに足るだけの根拠は無かったが、逆らって怒らせてしまうとこちらの命に関わる気がした。
「おぬしは下がっておれよ。でないと余計な怪我をする羽目になるぞ」
「もう充分に怪我は負わされてるんだけどな……」
僕はそうぼやく。挿絵イラストではセンシティブ判定を避けるためにケガの表現は控えめにされているが、実際はもっとひどい状態だったりするのだ。
なのでさすがにこれ以上のダメージを受けるのもごめんなので、ふらつく足でその火災現場の敷地の端の方へと退避した。
そんな事を思っている間にもアリアさんは独り言のように続ける。
「儂をじらして罠にでも誘導する気かの。あ奴の情報通では姑息な手を使う小物達らしいからの」
――いや、だから自分の知ってる情報を一々相手に知らせるようなことしてどーすんだよ……。
「まあ良い。ならばその手に乗ってみせようか」
――だから一々親切に自分の考えを声に出して説明しない方がいいのでは……。
というか、彼女はそんな手間のかかる駆け引きが面倒になったのだろう、再び虚空へと問い掛けた。
「どうやら気配を消すのは得意なようじゃが、この儂を欺き続けられるとでも思っておるのか?」
だが、その問いにも相変わらず返事は無い。
「まだだんまりを決め込むか? ならば行くとしようかの……」
なんだか、まんまと相手の焦らし作戦に乗っているようにしか思えない。そんな感じで数歩進んだアリアさんの足元から、突然に触手のようなものが焼け跡の瓦礫から湧きい出ると彼女に襲い掛かるように巻き付く!
かに見えた、その刹那。
アリアさんは右手を軽く一振りしただけで、彼女に巻き付こうとした触手が一瞬の内に炎に包まれて、その体に触れることも無いまま灰も残さずに燃え尽きていた。
「ふん、この程度の呪術トラップでは足止めにもならんぞ!」
まだ姿を見せないその相手を挑発するようにアリアさんはそう言いながら宙に浮いてみせると、地面から二~三メートルほどの所で静止して辺りを見おろす。
その次の瞬間、焼け跡のそこかしこから炎が勢いよく燃え上がる。どうやらアリアさんの力が‶そこここに仕掛けられてたのであろう何か〟を焼き尽くしているようだ。
「ふ、残念じゃなぁ。何者かは知らんが、せっかく苦労して施した罠も全てこのとおり無駄に終わったの……」
そう言い終わる前に、浮遊している彼女の背後から黒い影が躍り掛かるが、目にも留まらぬ速さで振り向くアリアさん。それまでのボケっぷりとは正反対の戦いっぷりだった。
「ほう、それで不意打ちのつもりか?」
そう言ったアリアさんの手には、いつの間にかロングソードが握られていて、その刃が黒い影を両断していた。
「あん?」
途端、人の形をしていた黒い影は小さな紙のようなものに変わり、あっという間に燃え尽きるのだが、それを見てアリアさんは訝しげに言う。
「式神じゃと!?」
式神?
「それは、法術によって、紙や物に使い魔としての能力や姿を与え使役するという、この世界でいうと陰陽道の秘術じゃな」
自覚もないのだが気付かないうちに声に出ていたのだろうか、アリアさんはそんな僕の疑問に答えてくれたかのように言葉にしてくれた。そんな隙を付くかのように、彼女の背後から刃のような物が現われその首元を狙う。
ガキィン!!
と金属と金属の衝撃音が響いた。
便宜上そんな表現をしているが実のところ、傍から見ていた僕には、そんな彼女達の攻防を目で捉えることなどはできてはいない。
こちらから認識できたのは、その動きが止まってからのことで、背後から彼女を襲ったのが敵の持つ鎌であり、彼女がそれを剣で受け止めているらしいと認識してから想像して驚くだけだ。
――てっきりあの女神様が自分の勘違いを誤魔化そうと一人芝居をしているのかと思ってたんだが……本当に敵が居たのか……。
そんな僕の感想をよそに、空中での鍔迫り合いをしていた黒い影は、文字では表現できないような奇妙な笑い声をあげながら、空中で対峙しつつ間合いを取った。
「くけけけけっ! あっさり受けられちまうんだぁ。強えーじゃねーか! 迷惑だなぁ、くけけけけっ!」
そいつは、
黒いフード付きのボロボロの衣装。
その手に握られている大きな鎌の柄の先端は鎖で繋がれている。
一見、骸骨のようにも見えるその顔は、右目部分こそ骸骨っぽく空洞になっているが、その左側は顔を斜めに横断するかのように、目が何個も並んでいる。そんな異様で不気味な見た目をしていた。
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