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17章
わかんねえ
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「これと、これと…あと何がいるんだ…?」
カバンの中に色々詰めてみたんだけどさ、さっぱりわからない。
食糧は必要だと思うから、カップラーメンを手に入れたんだけど、お湯はどうすんだ?
このヘルメットとヌンチャクだって、相手は銃だぞ!
どうやって立ち向かうんだよ…
あっ!剣道…
いやいや…あんな物かぶって戦うのか…?
考えれば考えるほど、わからなくなる。
どうすりゃいいんだよ…
どうすりゃ…
大野がいてくれりゃ…
「奈々子~!ご飯よ~!降りてきなさ~い!」
母ちゃんの呼ぶ声。
もう晩御飯か…
時間が経つのがわからなくなってる。
「早く来ないと、おかず、なくなるわよぉ~!」
「あ~い。」
カバンを隠して、台所へ。
みんなで晩御飯を食べていると、六実のクラブの話。
「おい六実、お前、来週、試合じゃなかったっけ?」
「おっ!六実、そうなのか。今度こそ勝てるのか?」
「六実は、ずっと負けてばっかだからな…」
「兄ちゃんたち、酷いよ…確かに負けてるけどさ…」
「今度は大丈夫!今回は、最終兵器の俺の祈りがきっと届く…」
「こら!三男!お前は口ばっかだから…」
「二郎兄ちゃん、願いは大切なんだぞ!」
「まあ、そうだけどさ…」
「今回は、一生懸命練習したし、前の反省点もほぼクリアしたし…」
「確かにそうだよな。真剣な顔して、いつも練習してたし…」
「おっ!五希、そうなのか?」
「えっ?五希兄ちゃん、見てたの?」
「ほら、いつも夜になると、こっそり練習してたでしょ?あれ?みんな知らない?」
「知らな~い」
「五希は、そんなに六実が気になるの?」
ちょっと恥ずかしくなる、五希と六実。
「ず…ずっと見てた訳じゃないよ!たまたま…たまたまだよ!」
「くぅ~!美しい兄弟愛!実に素晴らしいねぇ~!」
「四音兄ちゃんまで…からかわないでくれる!」
「たくさん練習したんなら、今度は勝てそうじゃん!」
「うん!それにね、今回はジンクスも大切にしようと思うんだ。」
「なんだよ。ジンクスって…」
「ルーティンだよ。ルーティン。縁起担ぎ。」
「おぉ!六実!ジンクスは大切だぞ!」
「何だよ、一馬兄ちゃん、そんなに大切なのかよ?」
「俺も大切な仕事の時とか、ここ一番の時には、やってるし…必ずこの靴下を履くとか、必ず右足からとか…」
「へぇ~…そんなのやってんだ…」
「あのな、ジンクスってのは、ホントの自分に戻るために必要なもんなのよ。幸運を招くためでもあるんだけど、いつもの自分に戻すためにリラックスして…ガチガチになってたらラッキーどころか失敗を呼び寄せちまうじゃん。」
「さすが一馬兄ちゃん!その通り!俺が勝てないのは、それが原因だったような気がするのよ。」
「ほほぉ~う…」
一同、納得。
ん…?ジンクス…?
いつもの自分…?
「そうかっ!!!」
思わず立ち上がる俺。
「な…なんだよ…突然…」
「な…奈々子…どうし…た…?」
「兄貴たち、あんがと!やっとわかった!」
そうなんだよ…
それでいいんだよ…
「ど…どうした…?」
「なんか奈々子…気持ち悪いぞ…」
ニヤニヤが止まらない。
簡単なことなんだよ。
なぜ、それを思い付かなかったのか。
「こほんっ…」
みんなに目で合図をする一馬。
「あ…」
一馬の顔を見て納得。
「奈々子、何ニヤニヤして…」
「こら!三男!奈々子はご飯が美味しいんだよ!」
「そうそう…母ちゃん、今日のご飯は、一段と美味しいなぁ~!」
「だって…痛っ!」
テーブルの下で、三男の足を蹴る二郎。
二郎たちの顔を見て、やっと気付いた。
「あら、今日の…って、じゃあ、いつもは美味しくないって言いたいの?」
「か、母ちゃん…そうじゃなくて!」
「ウフフ…冗談よ!冗談…」
一同爆笑。
「さあ、みんな、早く食べなさーい…」
深夜、部屋で再度確認。
そうなんだよ。
そもそも、変えちゃダメなんだよ。
まだ全然7次元のことがわかってないんだよ。
わかってるのは、7次元への行き方だけ。
だから、何も変えちゃいけない。
7次元に何か持ち込んで、また、とんでもないことが起きちゃったら…?
ひょっとしたら、7次元じゃない、また別の次元に飛ばされてしまうかも…
『ななこさんは、ななこさんのままでいいんですよ♪』
そうだよな。
大野、そうなんだよな。
なんで気付かなかったんだろ。
今、最大限の出来ることは、とにかく、よく寝ること。
7次元には大野がいる。
大野が待っててくれる。
なんかあれだけ色々考えていたのが嘘みたい。
頭がスッキリして、急に眠気が迫ってきた。
よしっ!
寝る!
布団をかぶり、深い眠りへ。
早朝の玄関。
セーラー服の確認。
よしっ!
今日はちゃんと、ボタンは全部留めた。
あの日の靴。
カバンもこれでよしっと…
靴のヒモをきつく締めて立ち上がり、大きく深呼吸。
すぅ~……………
はぁ~……………
「さっ! 大野、行くぞ!」
そう小さくつぶやき、玄関を飛び出した。
「ヤバッ!早く奈々子を追わないと…」
急いで靴を履き、玄関の扉に手をかける。
ムギュ…
「痛っ!えっ… か、母ちゃん!」
後ろから耳を引っ張られる一馬。
「か~ずまぁ~…こんな朝早くから、何してんのよぉ…?」
「い…いや…奈々子が…」
「奈々子がどうしたのよぉ?」
「え…あの…奈々子が…いや…奈々子と一緒に散歩でもしようかなっと…」
「散歩ねぇ~…ふ~ん…」
ジロジロと一馬を見回す母ちゃん。
「ほら…朝の散歩は、健康に良いって言うし…だから…その………ん~と………」
覚悟を決める一馬。
「母ちゃん!奈々子が何かしようとしてんだよ!だから…」
「だから…?」
「心配で…」
一馬の目をしっかりと見つめて、ゆっくりと話し始める。
「あのね一馬、あんたたちが心配してるのはとっくに知ってるわよ。」
「母ちゃん…」
「心配なのはよくわかる。家族だからね。何を悩んでるのかは私もわからない。でもね、奈々子が一生懸命自分で考えて決めたことを邪魔するんじゃなーいの。」
「でも…でも…」
「あの子はあなたの妹よ。この私の子なのよ。」
「……………」
「きっと自分で乗り越えられる。それが私が唯一教えられる女の強さなんだから…いざって時、女は強いもんなのよ。」
明夫さん、これでいいんだよね…
私、間違ってないよね…
「一馬が奈々子なら、どうされたいと思う?」
「そっか…そうだよな…」
納得して、靴を脱ぎ、家に上がる一馬。
「だから大丈夫だって…!」
後ろから背中を押す母ちゃん。
廊下を歩きながら背中越しに、一馬がゆっくりと話し出す。
「あのさ…前から言おうと思ってたんだけどさ…母ちゃん、そろそろ切り替えていこうぜ!確かにろくな奴しかいねーけどさ。せっかく俺たち家族が多いんだから、みんなで少しずつ分けてもいいと思うんだ。俺たち、男だから力だけはあるからさ。母ちゃんの荷物を俺たちにも分けてくれよ。」
立ち止まる一馬。
「うまく言えねーけどさ、母ちゃんは母ちゃんで良いと思うぜ…」
『貴子は貴子のままでいいんだよ』
「……………」
下を向く、母ちゃん。
「えっ?か、母ちゃん?ど、どうした…?」
慌てて振り向く一馬。
バンッ!
「生意気言ってんじゃないわよ!」
「いってぇぇぇー!!!」
母ちゃんの笑顔のけつキック炸裂。
「さっ、朝ごはん食べるわよ!」
一馬と肩を組む母ちゃん。
「母ちゃん、痛ぇよ!」
「フフフ…」
「なに笑ってんだよ。気持ち悪ぃな…」
「いつの間にか、こんなに大きくなって…」
「ぐっ…頭をワシャワシャしないでよ。」
「いいの。いいの。」
「だからやめてくれって。犬じゃないんだから…」
「ウフフフフ…」
カバンの中に色々詰めてみたんだけどさ、さっぱりわからない。
食糧は必要だと思うから、カップラーメンを手に入れたんだけど、お湯はどうすんだ?
このヘルメットとヌンチャクだって、相手は銃だぞ!
どうやって立ち向かうんだよ…
あっ!剣道…
いやいや…あんな物かぶって戦うのか…?
考えれば考えるほど、わからなくなる。
どうすりゃいいんだよ…
どうすりゃ…
大野がいてくれりゃ…
「奈々子~!ご飯よ~!降りてきなさ~い!」
母ちゃんの呼ぶ声。
もう晩御飯か…
時間が経つのがわからなくなってる。
「早く来ないと、おかず、なくなるわよぉ~!」
「あ~い。」
カバンを隠して、台所へ。
みんなで晩御飯を食べていると、六実のクラブの話。
「おい六実、お前、来週、試合じゃなかったっけ?」
「おっ!六実、そうなのか。今度こそ勝てるのか?」
「六実は、ずっと負けてばっかだからな…」
「兄ちゃんたち、酷いよ…確かに負けてるけどさ…」
「今度は大丈夫!今回は、最終兵器の俺の祈りがきっと届く…」
「こら!三男!お前は口ばっかだから…」
「二郎兄ちゃん、願いは大切なんだぞ!」
「まあ、そうだけどさ…」
「今回は、一生懸命練習したし、前の反省点もほぼクリアしたし…」
「確かにそうだよな。真剣な顔して、いつも練習してたし…」
「おっ!五希、そうなのか?」
「えっ?五希兄ちゃん、見てたの?」
「ほら、いつも夜になると、こっそり練習してたでしょ?あれ?みんな知らない?」
「知らな~い」
「五希は、そんなに六実が気になるの?」
ちょっと恥ずかしくなる、五希と六実。
「ず…ずっと見てた訳じゃないよ!たまたま…たまたまだよ!」
「くぅ~!美しい兄弟愛!実に素晴らしいねぇ~!」
「四音兄ちゃんまで…からかわないでくれる!」
「たくさん練習したんなら、今度は勝てそうじゃん!」
「うん!それにね、今回はジンクスも大切にしようと思うんだ。」
「なんだよ。ジンクスって…」
「ルーティンだよ。ルーティン。縁起担ぎ。」
「おぉ!六実!ジンクスは大切だぞ!」
「何だよ、一馬兄ちゃん、そんなに大切なのかよ?」
「俺も大切な仕事の時とか、ここ一番の時には、やってるし…必ずこの靴下を履くとか、必ず右足からとか…」
「へぇ~…そんなのやってんだ…」
「あのな、ジンクスってのは、ホントの自分に戻るために必要なもんなのよ。幸運を招くためでもあるんだけど、いつもの自分に戻すためにリラックスして…ガチガチになってたらラッキーどころか失敗を呼び寄せちまうじゃん。」
「さすが一馬兄ちゃん!その通り!俺が勝てないのは、それが原因だったような気がするのよ。」
「ほほぉ~う…」
一同、納得。
ん…?ジンクス…?
いつもの自分…?
「そうかっ!!!」
思わず立ち上がる俺。
「な…なんだよ…突然…」
「な…奈々子…どうし…た…?」
「兄貴たち、あんがと!やっとわかった!」
そうなんだよ…
それでいいんだよ…
「ど…どうした…?」
「なんか奈々子…気持ち悪いぞ…」
ニヤニヤが止まらない。
簡単なことなんだよ。
なぜ、それを思い付かなかったのか。
「こほんっ…」
みんなに目で合図をする一馬。
「あ…」
一馬の顔を見て納得。
「奈々子、何ニヤニヤして…」
「こら!三男!奈々子はご飯が美味しいんだよ!」
「そうそう…母ちゃん、今日のご飯は、一段と美味しいなぁ~!」
「だって…痛っ!」
テーブルの下で、三男の足を蹴る二郎。
二郎たちの顔を見て、やっと気付いた。
「あら、今日の…って、じゃあ、いつもは美味しくないって言いたいの?」
「か、母ちゃん…そうじゃなくて!」
「ウフフ…冗談よ!冗談…」
一同爆笑。
「さあ、みんな、早く食べなさーい…」
深夜、部屋で再度確認。
そうなんだよ。
そもそも、変えちゃダメなんだよ。
まだ全然7次元のことがわかってないんだよ。
わかってるのは、7次元への行き方だけ。
だから、何も変えちゃいけない。
7次元に何か持ち込んで、また、とんでもないことが起きちゃったら…?
ひょっとしたら、7次元じゃない、また別の次元に飛ばされてしまうかも…
『ななこさんは、ななこさんのままでいいんですよ♪』
そうだよな。
大野、そうなんだよな。
なんで気付かなかったんだろ。
今、最大限の出来ることは、とにかく、よく寝ること。
7次元には大野がいる。
大野が待っててくれる。
なんかあれだけ色々考えていたのが嘘みたい。
頭がスッキリして、急に眠気が迫ってきた。
よしっ!
寝る!
布団をかぶり、深い眠りへ。
早朝の玄関。
セーラー服の確認。
よしっ!
今日はちゃんと、ボタンは全部留めた。
あの日の靴。
カバンもこれでよしっと…
靴のヒモをきつく締めて立ち上がり、大きく深呼吸。
すぅ~……………
はぁ~……………
「さっ! 大野、行くぞ!」
そう小さくつぶやき、玄関を飛び出した。
「ヤバッ!早く奈々子を追わないと…」
急いで靴を履き、玄関の扉に手をかける。
ムギュ…
「痛っ!えっ… か、母ちゃん!」
後ろから耳を引っ張られる一馬。
「か~ずまぁ~…こんな朝早くから、何してんのよぉ…?」
「い…いや…奈々子が…」
「奈々子がどうしたのよぉ?」
「え…あの…奈々子が…いや…奈々子と一緒に散歩でもしようかなっと…」
「散歩ねぇ~…ふ~ん…」
ジロジロと一馬を見回す母ちゃん。
「ほら…朝の散歩は、健康に良いって言うし…だから…その………ん~と………」
覚悟を決める一馬。
「母ちゃん!奈々子が何かしようとしてんだよ!だから…」
「だから…?」
「心配で…」
一馬の目をしっかりと見つめて、ゆっくりと話し始める。
「あのね一馬、あんたたちが心配してるのはとっくに知ってるわよ。」
「母ちゃん…」
「心配なのはよくわかる。家族だからね。何を悩んでるのかは私もわからない。でもね、奈々子が一生懸命自分で考えて決めたことを邪魔するんじゃなーいの。」
「でも…でも…」
「あの子はあなたの妹よ。この私の子なのよ。」
「……………」
「きっと自分で乗り越えられる。それが私が唯一教えられる女の強さなんだから…いざって時、女は強いもんなのよ。」
明夫さん、これでいいんだよね…
私、間違ってないよね…
「一馬が奈々子なら、どうされたいと思う?」
「そっか…そうだよな…」
納得して、靴を脱ぎ、家に上がる一馬。
「だから大丈夫だって…!」
後ろから背中を押す母ちゃん。
廊下を歩きながら背中越しに、一馬がゆっくりと話し出す。
「あのさ…前から言おうと思ってたんだけどさ…母ちゃん、そろそろ切り替えていこうぜ!確かにろくな奴しかいねーけどさ。せっかく俺たち家族が多いんだから、みんなで少しずつ分けてもいいと思うんだ。俺たち、男だから力だけはあるからさ。母ちゃんの荷物を俺たちにも分けてくれよ。」
立ち止まる一馬。
「うまく言えねーけどさ、母ちゃんは母ちゃんで良いと思うぜ…」
『貴子は貴子のままでいいんだよ』
「……………」
下を向く、母ちゃん。
「えっ?か、母ちゃん?ど、どうした…?」
慌てて振り向く一馬。
バンッ!
「生意気言ってんじゃないわよ!」
「いってぇぇぇー!!!」
母ちゃんの笑顔のけつキック炸裂。
「さっ、朝ごはん食べるわよ!」
一馬と肩を組む母ちゃん。
「母ちゃん、痛ぇよ!」
「フフフ…」
「なに笑ってんだよ。気持ち悪ぃな…」
「いつの間にか、こんなに大きくなって…」
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