ある日の出来事-THE NANAKO'S STORY-

まっく

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18章

マインドゲート

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まだ薄暗い、早朝の公園。 

緊張と不安で、変な笑いが込み上げてきやがる。 

「確か大野が左側だったから、こっちだよな…」 

ブランコに腰かける。


鎖を握りしめて、ゆっくりと…


ダメだ!
動けねぇ…! 

なんで動けねぇーんだよ!


こんな時は、目を閉じて…


パーーーン!!!

「うっ……」


ダメだ! ダメだ! ダメだ! 

大野が撃たれた場面が甦る。


大野… 大野… 大野…


頼むから、いつもみたいに言ってくれよ!


『ななこさぁぁん、いっきまっすよぉぉ~!』


なんで、いねぇーんだよ…


行かなくちゃ… 

早く行かなくちゃ……


もう一度、目を閉じる。



『諦めたらダメって言ったでしょ!そこで終わっちゃうって言ったでしょ!』



そうだよな…
いつも言ってたよな……



『僕はななこさんと一緒に走りたいんです!ななこさんじゃないとダメなんです!』



フッ…

いねぇーじゃねえかよ。


でも、なんか緊張がおさまってきた。


そうだよな…


あいつが待ってんだ。


だから今、ここにいるんだ。



『3つ目は、とりあえず3次元に戻り…』



まだ作戦の途中なんだよ。



すぅ~……………


「よしっ…」


ゆっくりとブランコをこぎ出す。



「……じゅうはち~……じゅうきゅ~う……」 

行くぜ!大野!


「……に~じゅう!とぉーりゃ!」 

絶対に助けてやる!!!





霧に包まれた空間を、色んな色の光が通り過ぎて行く。


さすがに3回目ともなると、慣れてきた。


フワフワした、何とも言えない感覚。


どんどん体が落ちていく…



「本当にこれで良かったのか?」


また俺の声だ。


「無理してんだろ?本当は凄く怖いくせに…」


うるせー!
そんなこと、わかってんだよ!


「今までも、無理して、意地張って、何回も失敗して…」


うるせー!うるせー!
うるせーーー!!!


わかってんだよ!
そんなこと、とっくの昔に気付いてんだよ!
痛いぐらい、わかってんだよ!


「奈々子、お前は、誰なんだ…?」


だ、誰って…
俺は、俺だよ…


「くっくっくっ……また嘘をついてる……」


笑うな!


なんだよ!
また胸が痛くなってきやがった。


ドクン…… ドクン……


ちきしょー!
なんだよ!
なんなんだよ!


いつだったかな…
俺は、みんなと違うって感じたのは……


いつも周りと、何か違ってた俺。


今までと違う、新しい世界に出会うたびに、それはだんだんと大きくなって…


でもな、それで良かったんだよ。
それしか、出来なかったんだよ。


違うなら、合わせるしかないじゃないかよ!
間違ってたら、誰も点をくれないじゃないかよ!
0点の人生なんて、誰も認めてくれねーんだよ!


俺は何をしても、ダメなんだよ。
それが俺なんだよ。


いいじゃねーか。
俺が我慢すりゃ、良いだけのことだし……



ドクンッ!!!



痛い… すげー痛い…



「本当の姿は、自分にしか見えない」


本当の姿…?

本当って…なんだ…?



じゃあみんなが見てるのは、なんなんだ…?



「あとは自分で…」


ちょ、ちょっと待てよ!
まだ行かないでくれ!


「フフフ……もうずいぶん前に、答えは出てるハズ……」


答え…?

本当の自分……?



なんで、ここにいるんだ…?


いつもみたいに、逃げりゃいいんだよ。
そうすれば、何も起こらない。
嫌な思いもしない。


大野……………


そうだ!
そうなんだよ!


俺は行きたいんだ…
行かなくちゃ、いけないんだ……


俺は…


俺は……


大野に会いたいんだよ!!!


「あと一歩……」


なんだよ!
あと一歩って、なんなんだよ!


うっ… 

ダメだ!
また意識が無くなっていく……



「Be true to myself.」



消え行く意識の中、最後の言葉が、頭の中を駆け巡っていた。
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