18 / 24
18章
マインドゲート
しおりを挟む
まだ薄暗い、早朝の公園。
緊張と不安で、変な笑いが込み上げてきやがる。
「確か大野が左側だったから、こっちだよな…」
ブランコに腰かける。
鎖を握りしめて、ゆっくりと…
ダメだ!
動けねぇ…!
なんで動けねぇーんだよ!
こんな時は、目を閉じて…
パーーーン!!!
「うっ……」
ダメだ! ダメだ! ダメだ!
大野が撃たれた場面が甦る。
大野… 大野… 大野…
頼むから、いつもみたいに言ってくれよ!
『ななこさぁぁん、いっきまっすよぉぉ~!』
なんで、いねぇーんだよ…
行かなくちゃ…
早く行かなくちゃ……
もう一度、目を閉じる。
『諦めたらダメって言ったでしょ!そこで終わっちゃうって言ったでしょ!』
そうだよな…
いつも言ってたよな……
『僕はななこさんと一緒に走りたいんです!ななこさんじゃないとダメなんです!』
フッ…
いねぇーじゃねえかよ。
でも、なんか緊張がおさまってきた。
そうだよな…
あいつが待ってんだ。
だから今、ここにいるんだ。
『3つ目は、とりあえず3次元に戻り…』
まだ作戦の途中なんだよ。
すぅ~……………
「よしっ…」
ゆっくりとブランコをこぎ出す。
「……じゅうはち~……じゅうきゅ~う……」
行くぜ!大野!
「……に~じゅう!とぉーりゃ!」
絶対に助けてやる!!!
霧に包まれた空間を、色んな色の光が通り過ぎて行く。
さすがに3回目ともなると、慣れてきた。
フワフワした、何とも言えない感覚。
どんどん体が落ちていく…
「本当にこれで良かったのか?」
また俺の声だ。
「無理してんだろ?本当は凄く怖いくせに…」
うるせー!
そんなこと、わかってんだよ!
「今までも、無理して、意地張って、何回も失敗して…」
うるせー!うるせー!
うるせーーー!!!
わかってんだよ!
そんなこと、とっくの昔に気付いてんだよ!
痛いぐらい、わかってんだよ!
「奈々子、お前は、誰なんだ…?」
だ、誰って…
俺は、俺だよ…
「くっくっくっ……また嘘をついてる……」
笑うな!
なんだよ!
また胸が痛くなってきやがった。
ドクン…… ドクン……
ちきしょー!
なんだよ!
なんなんだよ!
いつだったかな…
俺は、みんなと違うって感じたのは……
いつも周りと、何か違ってた俺。
今までと違う、新しい世界に出会うたびに、それはだんだんと大きくなって…
でもな、それで良かったんだよ。
それしか、出来なかったんだよ。
違うなら、合わせるしかないじゃないかよ!
間違ってたら、誰も点をくれないじゃないかよ!
0点の人生なんて、誰も認めてくれねーんだよ!
俺は何をしても、ダメなんだよ。
それが俺なんだよ。
いいじゃねーか。
俺が我慢すりゃ、良いだけのことだし……
ドクンッ!!!
痛い… すげー痛い…
「本当の姿は、自分にしか見えない」
本当の姿…?
本当って…なんだ…?
じゃあみんなが見てるのは、なんなんだ…?
「あとは自分で…」
ちょ、ちょっと待てよ!
まだ行かないでくれ!
「フフフ……もうずいぶん前に、答えは出てるハズ……」
答え…?
本当の自分……?
なんで、ここにいるんだ…?
いつもみたいに、逃げりゃいいんだよ。
そうすれば、何も起こらない。
嫌な思いもしない。
大野……………
そうだ!
そうなんだよ!
俺は行きたいんだ…
行かなくちゃ、いけないんだ……
俺は…
俺は……
大野に会いたいんだよ!!!
「あと一歩……」
なんだよ!
あと一歩って、なんなんだよ!
うっ…
ダメだ!
また意識が無くなっていく……
「Be true to myself.」
消え行く意識の中、最後の言葉が、頭の中を駆け巡っていた。
緊張と不安で、変な笑いが込み上げてきやがる。
「確か大野が左側だったから、こっちだよな…」
ブランコに腰かける。
鎖を握りしめて、ゆっくりと…
ダメだ!
動けねぇ…!
なんで動けねぇーんだよ!
こんな時は、目を閉じて…
パーーーン!!!
「うっ……」
ダメだ! ダメだ! ダメだ!
大野が撃たれた場面が甦る。
大野… 大野… 大野…
頼むから、いつもみたいに言ってくれよ!
『ななこさぁぁん、いっきまっすよぉぉ~!』
なんで、いねぇーんだよ…
行かなくちゃ…
早く行かなくちゃ……
もう一度、目を閉じる。
『諦めたらダメって言ったでしょ!そこで終わっちゃうって言ったでしょ!』
そうだよな…
いつも言ってたよな……
『僕はななこさんと一緒に走りたいんです!ななこさんじゃないとダメなんです!』
フッ…
いねぇーじゃねえかよ。
でも、なんか緊張がおさまってきた。
そうだよな…
あいつが待ってんだ。
だから今、ここにいるんだ。
『3つ目は、とりあえず3次元に戻り…』
まだ作戦の途中なんだよ。
すぅ~……………
「よしっ…」
ゆっくりとブランコをこぎ出す。
「……じゅうはち~……じゅうきゅ~う……」
行くぜ!大野!
「……に~じゅう!とぉーりゃ!」
絶対に助けてやる!!!
霧に包まれた空間を、色んな色の光が通り過ぎて行く。
さすがに3回目ともなると、慣れてきた。
フワフワした、何とも言えない感覚。
どんどん体が落ちていく…
「本当にこれで良かったのか?」
また俺の声だ。
「無理してんだろ?本当は凄く怖いくせに…」
うるせー!
そんなこと、わかってんだよ!
「今までも、無理して、意地張って、何回も失敗して…」
うるせー!うるせー!
うるせーーー!!!
わかってんだよ!
そんなこと、とっくの昔に気付いてんだよ!
痛いぐらい、わかってんだよ!
「奈々子、お前は、誰なんだ…?」
だ、誰って…
俺は、俺だよ…
「くっくっくっ……また嘘をついてる……」
笑うな!
なんだよ!
また胸が痛くなってきやがった。
ドクン…… ドクン……
ちきしょー!
なんだよ!
なんなんだよ!
いつだったかな…
俺は、みんなと違うって感じたのは……
いつも周りと、何か違ってた俺。
今までと違う、新しい世界に出会うたびに、それはだんだんと大きくなって…
でもな、それで良かったんだよ。
それしか、出来なかったんだよ。
違うなら、合わせるしかないじゃないかよ!
間違ってたら、誰も点をくれないじゃないかよ!
0点の人生なんて、誰も認めてくれねーんだよ!
俺は何をしても、ダメなんだよ。
それが俺なんだよ。
いいじゃねーか。
俺が我慢すりゃ、良いだけのことだし……
ドクンッ!!!
痛い… すげー痛い…
「本当の姿は、自分にしか見えない」
本当の姿…?
本当って…なんだ…?
じゃあみんなが見てるのは、なんなんだ…?
「あとは自分で…」
ちょ、ちょっと待てよ!
まだ行かないでくれ!
「フフフ……もうずいぶん前に、答えは出てるハズ……」
答え…?
本当の自分……?
なんで、ここにいるんだ…?
いつもみたいに、逃げりゃいいんだよ。
そうすれば、何も起こらない。
嫌な思いもしない。
大野……………
そうだ!
そうなんだよ!
俺は行きたいんだ…
行かなくちゃ、いけないんだ……
俺は…
俺は……
大野に会いたいんだよ!!!
「あと一歩……」
なんだよ!
あと一歩って、なんなんだよ!
うっ…
ダメだ!
また意識が無くなっていく……
「Be true to myself.」
消え行く意識の中、最後の言葉が、頭の中を駆け巡っていた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる