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3.監禁以前(2)
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次にアレクシスが泣きついてきたときに婚約破棄(虚言)を決行しようと取り決めてから、数日後のこと。
自分の公務を終えたサラージュはひとり、サンルームでくつろいでいた。
十年前に定められた婚約関係ではあるが、サラージュが王都に本格的に居を移したのは今年からだ。それまでは時折訪れるだけだったこの城が自分の家になる事実に慣れていないこともあって、身体を動かすのとはまた違った疲れが少女の肢体を重怠く絡め取る。
(今日はもう予定はなし。読書でもしようかしら。たしか、読みかけの技法書があったはず……あら?)
ぐっと伸びをしていたサラージュが、不意に扉を振り返った。遅れて、下品ではないがけして城の中では滅多に聞かないようなけたたましい足音と共に、扉が騒々しく開く。
「サラ! ここにいたのか!」
予想通り、飛び込んできたのは見慣れたハニーブロンドの美青年だ。きらきらと陽光を受けて輝く髪も、形のいいライトグリーンの瞳も、まるで絵本から飛び出してきた王子そのもの。――その眉が情けなくひしゃげていなければ、の話だが。
サンルームに飛び込んできたアレクシスは、サラージュの姿をその目に映してぱっと表情を明るくした。まるで飼い主を見つけた大型犬のように、大きな耳と尾がぴくぴくぶんぶんと動いている。
足早に駆け寄ってきた彼に、サラージュは微笑みながら首を傾げた。
「殿下、御公務はお済になって?」
「うむ。膝、よいか?」
「ええ。お話をお聞きしますから、どうぞ楽になさって」
促した途端、アレクシスはベンチに腰かけるサラージュの足元へと座り込んだ。
サンルームは逐一使用人たちが清掃しているとはいえ、あまりの迷いのなさに控えていた新入りのメイドがわずかに動揺するのが見えた。
(まあ、それが普通の反応よね。むしろよく声をあげなかったわ、あの子)
この国で最も高貴な血筋である青年が、婚約者とはいえ一つ年下の娘の膝に頬を摺り寄せて跪くなど通常であればありえない。サラージュとて、最初に強請られたときは断固拒絶したものだ。畏れ多いにも程がある。
だが、しょぼくれた犬のようにペタンと耳を伏せて目を潤ませる自分よりも大きな少年に、最終的には押し負けた。絆されたともいう。
すっかり慣れてしまった姿勢に小さく苦笑しながらふわふわとしたハニーブロンドを漉くように撫でれば、もっと撫でろと言わんばかりに三角形の耳が心地よさそうに倒れた。
(わたくしの婚約者さま、たしか狼人の血をお持ちになっているはずなのだけれど……ほとんど犬よね、これ)
――この世界は、種族の坩堝だ。
素人類と呼ばれる混じり気なしの人間など、よほど隔離していなければ存在しない。ほとんど見た目に特徴がなくとも、それは体表に特徴が発現しないそういう種族であるか、特徴を消す術を心得ているだけに過ぎない。
神話の時代から異種族と交流を続け、その強い力を宿す血を自らの脆弱な血統に組み込むことに人間種は成功した。
そうでなければ、一歩足を踏み入れれば死と言われるような場所が点在するこの世界で、牙も爪も持たず魔力すら弱く、繁殖力以外に突出した部分がなかった人間種がここまで生きながらえることはなかっただろう。数の暴力という言葉が通じない、一騎当千の超越種や理不尽な死はこの世にはありふれているのだから。
今となっては、誰にどんな種族の名残が顔を出すかもわからないほどに多様な血が人間には流れている。
親子やきょうだいであっても異なる姿をしているのはあたりまえ。
北の島国にルーツを持つアザラシ着る人と南の大陸にルーツを持つ宝石の目もつ蛇種の双子などが生まれた事例もある。特殊な血統でもない限り、まず発現種族が限定されることはない。
これを人類繁栄の叡智と呼ぶ者もいるが、実際には異種族側の純血種はまだまだ彼らの郷里に存在すると言うから、単に彼らの繁殖と人間種の生存戦略が合致した結果なのだろう。
閑話休題。
さても、そう言ったわけで人間と一口に言っても、多様な姿をしているわけだが――目の前の彼の場合は、狼人の血を強く発現させている。
見た目にしても犬というにはすこし形状が異なっているし、検査でもアレクシスの体に発現した種族は狼人だった。基本的にヒトは自らと相性のいい一種族の特徴が表層に現れるものなので、ほかのものが混ざっている可能性は限りなく低い……はずなのだが。
じっとアレクシスの顔を見つめる。
くぅん、という声が聞こえてきそうな甘えたな表情は、やはり何度見ても犬にしか見えない。犬と狼は確かに近縁種だが、狼人にもその法則は通用するのだろうか。
そんなことを考えながら、サラージュはすんすんと鼻を鳴らす彼に声をかける。
「殿下、今日はどんなことがありましたの?」
甘えてくるわりに中々本音を吐き出さないのはアレクシスの悪い癖だ。甘えただけれど甘え下手。そんなところを面倒くさいと認識しているものの、どこか愛らしいとも思う。それなりに自制心のあるサラージュでさえこうなるのだから、好意の魔力とは実に恐ろしい。
ふわふわとした耳の縁をなぞって返答を待っていれば、わなわなと唇が震え出すと同時にライトグリーンの瞳が潤んだ。
(これは、泣くわね)
確信すると同時に、脳裏に王との会話がよぎった。
今が例の計画を実行するときらしい。
(上手にできるかしら……王命だから、やるしかないのだけれど)
タイミングを見計らっているうちに、ぼろっと音を立てそうな程大きな雫がアレクシスのまなじりから落ちた。
涙と混ざり合ってしまいそうな嗚咽交じりの言葉は筋道を立てた言語とは言い難い。途切れ途切れな上に泣き声だけがどんどん音量を増していく。ひどく聞き取りづらい。 それでもなんとか言葉を連ねて推測を立ててみれば、何やら弟である第二王子とトラブルがあったらしいと判明した。
(レンは全方位に厳しいというか……真面目だものね)
レン・リ・ファーレン。
東方から輿入れした母譲りの黒髪が特徴的な第二王子。
涼やかな美貌は蛇神の発現に相応しく、温度のないまなざしは思い起こすだけで背筋が正されると評判だ。
アレクシスと腹違いである第二王子は王とも膝の上の王太子とも違い、生真面目が服を着て歩いているような人だ。目に見えて優秀なだけに、時折楽天的な面があるアレクシスに色々思うところがあるのだろう。
もっとも彼は自分自身にも厳しい人なので、理不尽とは無縁だ。彼とぶつかったならばおそらくアレクシスの方が何かやらかしたに違いない。
(あとで何か差し入れを……ああ、でも、彼には避けられているんだった)
ほう、とため息をつけば、じっとりとした視線が刺さった。
当然、アレクシスの視線だ。
慌てて他所にやっていたピントを彼に合わせれば、ライトグリーンの瞳が満足げに蕩けた。
先ほどまで大泣きしていたせいで目元は赤く腫れているし充血もしているけれど、涙自体はもうきれいさっぱり消えている。自分に視線が戻ったことを喜ぶように、ふにゃりとした笑みが咲いた。
「サラの手は心地よいな」
大泣きしたかと思えば、無邪気に笑う。
和んだかと思えば、火がついたように泣く。
それは、ストレスを解消している最中とはいえ――あまりに不安定だ。
こうして矯正する側に立ってみると、その歪さはたしかに目に余るものだ。
今はこれで解消できている負荷が解消できなくなった時、この方法の強度を上げていくのはあまりに危険だ。一歩間違えれば余計に傷つき奈落へ落ちていきかねない。
それは、あってはならないことだ。
(……すべて無条件に受け入れていたわたくしにも、責任の一端はある)
出会った時から何かにつけて大型犬のように甘やかしてきた自覚がある。その上、彼を甘やかすことがサラージュのストレス発散になっていたところもあるのだ。
双方の気質が奇妙に噛み合った事故のようなものとはいえ、罪悪感がチリチリと胃をつついて仕方ない。
サラージュは覚悟を決めて、ひそかに腹に力を入れた。
自分の公務を終えたサラージュはひとり、サンルームでくつろいでいた。
十年前に定められた婚約関係ではあるが、サラージュが王都に本格的に居を移したのは今年からだ。それまでは時折訪れるだけだったこの城が自分の家になる事実に慣れていないこともあって、身体を動かすのとはまた違った疲れが少女の肢体を重怠く絡め取る。
(今日はもう予定はなし。読書でもしようかしら。たしか、読みかけの技法書があったはず……あら?)
ぐっと伸びをしていたサラージュが、不意に扉を振り返った。遅れて、下品ではないがけして城の中では滅多に聞かないようなけたたましい足音と共に、扉が騒々しく開く。
「サラ! ここにいたのか!」
予想通り、飛び込んできたのは見慣れたハニーブロンドの美青年だ。きらきらと陽光を受けて輝く髪も、形のいいライトグリーンの瞳も、まるで絵本から飛び出してきた王子そのもの。――その眉が情けなくひしゃげていなければ、の話だが。
サンルームに飛び込んできたアレクシスは、サラージュの姿をその目に映してぱっと表情を明るくした。まるで飼い主を見つけた大型犬のように、大きな耳と尾がぴくぴくぶんぶんと動いている。
足早に駆け寄ってきた彼に、サラージュは微笑みながら首を傾げた。
「殿下、御公務はお済になって?」
「うむ。膝、よいか?」
「ええ。お話をお聞きしますから、どうぞ楽になさって」
促した途端、アレクシスはベンチに腰かけるサラージュの足元へと座り込んだ。
サンルームは逐一使用人たちが清掃しているとはいえ、あまりの迷いのなさに控えていた新入りのメイドがわずかに動揺するのが見えた。
(まあ、それが普通の反応よね。むしろよく声をあげなかったわ、あの子)
この国で最も高貴な血筋である青年が、婚約者とはいえ一つ年下の娘の膝に頬を摺り寄せて跪くなど通常であればありえない。サラージュとて、最初に強請られたときは断固拒絶したものだ。畏れ多いにも程がある。
だが、しょぼくれた犬のようにペタンと耳を伏せて目を潤ませる自分よりも大きな少年に、最終的には押し負けた。絆されたともいう。
すっかり慣れてしまった姿勢に小さく苦笑しながらふわふわとしたハニーブロンドを漉くように撫でれば、もっと撫でろと言わんばかりに三角形の耳が心地よさそうに倒れた。
(わたくしの婚約者さま、たしか狼人の血をお持ちになっているはずなのだけれど……ほとんど犬よね、これ)
――この世界は、種族の坩堝だ。
素人類と呼ばれる混じり気なしの人間など、よほど隔離していなければ存在しない。ほとんど見た目に特徴がなくとも、それは体表に特徴が発現しないそういう種族であるか、特徴を消す術を心得ているだけに過ぎない。
神話の時代から異種族と交流を続け、その強い力を宿す血を自らの脆弱な血統に組み込むことに人間種は成功した。
そうでなければ、一歩足を踏み入れれば死と言われるような場所が点在するこの世界で、牙も爪も持たず魔力すら弱く、繁殖力以外に突出した部分がなかった人間種がここまで生きながらえることはなかっただろう。数の暴力という言葉が通じない、一騎当千の超越種や理不尽な死はこの世にはありふれているのだから。
今となっては、誰にどんな種族の名残が顔を出すかもわからないほどに多様な血が人間には流れている。
親子やきょうだいであっても異なる姿をしているのはあたりまえ。
北の島国にルーツを持つアザラシ着る人と南の大陸にルーツを持つ宝石の目もつ蛇種の双子などが生まれた事例もある。特殊な血統でもない限り、まず発現種族が限定されることはない。
これを人類繁栄の叡智と呼ぶ者もいるが、実際には異種族側の純血種はまだまだ彼らの郷里に存在すると言うから、単に彼らの繁殖と人間種の生存戦略が合致した結果なのだろう。
閑話休題。
さても、そう言ったわけで人間と一口に言っても、多様な姿をしているわけだが――目の前の彼の場合は、狼人の血を強く発現させている。
見た目にしても犬というにはすこし形状が異なっているし、検査でもアレクシスの体に発現した種族は狼人だった。基本的にヒトは自らと相性のいい一種族の特徴が表層に現れるものなので、ほかのものが混ざっている可能性は限りなく低い……はずなのだが。
じっとアレクシスの顔を見つめる。
くぅん、という声が聞こえてきそうな甘えたな表情は、やはり何度見ても犬にしか見えない。犬と狼は確かに近縁種だが、狼人にもその法則は通用するのだろうか。
そんなことを考えながら、サラージュはすんすんと鼻を鳴らす彼に声をかける。
「殿下、今日はどんなことがありましたの?」
甘えてくるわりに中々本音を吐き出さないのはアレクシスの悪い癖だ。甘えただけれど甘え下手。そんなところを面倒くさいと認識しているものの、どこか愛らしいとも思う。それなりに自制心のあるサラージュでさえこうなるのだから、好意の魔力とは実に恐ろしい。
ふわふわとした耳の縁をなぞって返答を待っていれば、わなわなと唇が震え出すと同時にライトグリーンの瞳が潤んだ。
(これは、泣くわね)
確信すると同時に、脳裏に王との会話がよぎった。
今が例の計画を実行するときらしい。
(上手にできるかしら……王命だから、やるしかないのだけれど)
タイミングを見計らっているうちに、ぼろっと音を立てそうな程大きな雫がアレクシスのまなじりから落ちた。
涙と混ざり合ってしまいそうな嗚咽交じりの言葉は筋道を立てた言語とは言い難い。途切れ途切れな上に泣き声だけがどんどん音量を増していく。ひどく聞き取りづらい。 それでもなんとか言葉を連ねて推測を立ててみれば、何やら弟である第二王子とトラブルがあったらしいと判明した。
(レンは全方位に厳しいというか……真面目だものね)
レン・リ・ファーレン。
東方から輿入れした母譲りの黒髪が特徴的な第二王子。
涼やかな美貌は蛇神の発現に相応しく、温度のないまなざしは思い起こすだけで背筋が正されると評判だ。
アレクシスと腹違いである第二王子は王とも膝の上の王太子とも違い、生真面目が服を着て歩いているような人だ。目に見えて優秀なだけに、時折楽天的な面があるアレクシスに色々思うところがあるのだろう。
もっとも彼は自分自身にも厳しい人なので、理不尽とは無縁だ。彼とぶつかったならばおそらくアレクシスの方が何かやらかしたに違いない。
(あとで何か差し入れを……ああ、でも、彼には避けられているんだった)
ほう、とため息をつけば、じっとりとした視線が刺さった。
当然、アレクシスの視線だ。
慌てて他所にやっていたピントを彼に合わせれば、ライトグリーンの瞳が満足げに蕩けた。
先ほどまで大泣きしていたせいで目元は赤く腫れているし充血もしているけれど、涙自体はもうきれいさっぱり消えている。自分に視線が戻ったことを喜ぶように、ふにゃりとした笑みが咲いた。
「サラの手は心地よいな」
大泣きしたかと思えば、無邪気に笑う。
和んだかと思えば、火がついたように泣く。
それは、ストレスを解消している最中とはいえ――あまりに不安定だ。
こうして矯正する側に立ってみると、その歪さはたしかに目に余るものだ。
今はこれで解消できている負荷が解消できなくなった時、この方法の強度を上げていくのはあまりに危険だ。一歩間違えれば余計に傷つき奈落へ落ちていきかねない。
それは、あってはならないことだ。
(……すべて無条件に受け入れていたわたくしにも、責任の一端はある)
出会った時から何かにつけて大型犬のように甘やかしてきた自覚がある。その上、彼を甘やかすことがサラージュのストレス発散になっていたところもあるのだ。
双方の気質が奇妙に噛み合った事故のようなものとはいえ、罪悪感がチリチリと胃をつついて仕方ない。
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