怖いお話。短編集

赤羽こうじ

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廃村 心霊スポット巡り⑨

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 私達を乗せた車は県境の山間部へと入って行った。

「なんだかまだそれらしい雰囲気にならないね」

 私が窓の外を見つめながら呟く。
 車は山間部を走ってはいるものの、道も広く他の車なんかも走っている為、まるで三人でドライブを楽しんでいるような感覚だった。

「まぁまだこれからだから。ちょうどここから雰囲気出てくるんじゃないかな?」

 祐司君がそう言うと、車は小さな三叉路を右へと入って行った。
 確かに祐司君の言う通り、先程まで走っていた広い国道から狭い県道へと入って来ると他の車も一気に無くなり寂しさが増して行く。
 そして暫くそのまま県道を走り一山越えた辺りで再び二又の分かれ道が現れ、祐司君は更に寂しそうな左側の道へと入って行った。

「おい、本当に合ってるのかよ?」

 少し不安になったのか透が苦笑いを浮かべて尋ねるが祐司君は笑みを浮かべたまま頷いていた。

「大丈夫こっちだ。従兄弟には事前に聞いてあるから間違いない」

 自信満々に祐司君は言うが、透が不安になるのも頷ける。先程まで走っていた県道も十分寂しかったが今入った道は更に寂しく、脇からは雑草も伸び、ガードレールなんかも所々折れ曲がり錆び付いたりしていた。
 勿論他の車なんかも走っておらず、孤立感が深まって行く。

 だが深まる孤立感とは裏腹に私の中では浮ついた高揚感も高まっていた。
 それはやはり、なかば都市伝説化していた廃村へ行けるかもしれないという期待感でもあった。

 そうして暫く走った所で祐司君が車を停める。

「ここが例の場所だな」

 祐司君が運転席から窓の外を見つめながら確かめるかのように言う。
 祐司君が見つめる先には三体の地蔵が並んでいた。まさにここが写真に写っていた場所に違いなかった。

 祐司君が車を降り、地蔵の元へと歩いて行くので私達も車を降り後に続いた。
 写真で見た通り、地蔵は首を九十度傾けており、私達は地蔵が見つめるその先に視線を向ける。その視線の先には確かに小さな祠がそこにはあり、私は思わず息を呑んだ。

 祐司君と透がその小さな祠の方へとゆっくりと歩んで行き、私は無言のまま静かに後を追った。

「なんとか入って行けそうだな」

 祠まで行き、その横に伸びる未舗装の道を見つめて透が呟いた。
 そこは今まで走って来たようなアスファルトで舗装された道とは違い、草が生い茂る砂利道が山の中へと伸びていた。

「……これ行けるのか?」

 苦笑いを浮かべて祐司君が呟くが私と透は無言のまま笑みを浮かべるしかなかった。
 暗い山の中へと伸びるその獣道を見て確かに不安には駆られたが、ここまで来て引き返すという選択肢は私達にはなかった。
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