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廃村 心霊スポット巡り⑩
しおりを挟む「……よし行くか」
祐司君が自らに言い聞かせるかのように呟き一人車へと歩いて行く。
私と透もゆっくりとその後を追い、私達は車に乗り込んだ。
祐司君は暗い山中に伸びる獣道を見つめ「ふぅ」と一息吐くと車をゆっくりと発進させる。
私達を乗せた車はゆっくりと獣道に入って行った。伸びた雑草が行く手を遮るかのように生い茂っていたが、祐司君は気にする事もなく車を進めて行く。
悪路を進みガタガタと揺れる車内では車の振動が思った以上に体に伝わる。生い茂った木々は太陽の光さえも遮り、まだ日中だというのに薄暗く、車はヘッドライトをつけなければならない程だった。
「中々酷いな」
助手席に座る透が笑いながら言うと祐司君も笑っていた。
どうやら二人共この悪路をオフロードか何かと考えて楽しんでいるようにも思えた。
正直私には理解し難い感覚だった。揺れる振動と衝撃は思いのほか強く、座っているシートを通して体の芯まで伝わってくる。細い獣道は運転操作を誤れば一瞬で事故に繋がりかねない。
私は不安とストレスでいっぱいだった。
そんな私の思いを知ってか知らずか、車はスピードを落とすとゆっくりと停止する。
「ちょっと戻るぞ」
祐司君はそう言って車を後退させる。
少し戻った所で祐司君は窓の外を覗き込んだ。
「なぁ、あれって噂にある鳥居じゃないか?」
そう言って祐司君が指さす方向へ視線を向ける。
今車を停めている所から十メートル程の所に、確かに鳥居のような物があるのがわかった。
噂では廃村の入口は緑色の鳥居が立っていると聞いた事があった。
私達は互いの顔を見合わせた。
「どうする?あれじゃないのか?」
祐司君が真剣な表情で私達に問い掛ける。
「ああ、そうだな。だけどどうする?あの感じは車じゃ無理っぽいぞ。誰も来ないとは思うけど、車をこんな獣道の真ん中に停めていくのか?」
確かに透の言う通り車では入って行けそうもない。だがだからといって誰も通りそうにはないからと、こんな細い獣道の真ん中に車を堂々と停めて行くのも何処か気が引ける。
私達は少し悩んだが、結局少し離れた所に僅かにあった平坦なスペースに車を無理矢理停め、歩いて鳥居の先に入って行く事にした。
私達はゆっくりと鳥居に近付くと、持っていた懐中電灯で鳥居を照らす。
「かなり古いけどやっぱりこれ、鳥居だよな」
祐司君が照らしながら鳥居を見上げて呟く。
古くなりかなり朽ちている為緑色かどうかは定かではなかったが確かにそれが鳥居である事は間違いなかった。
こんな何も無い山中に朽ち果てた鳥居があるだけでも少し気味が悪い。だが逆に鳥居があった事で噂の信ぴょう性が増したのも事実だった。
木々が揺れて葉が擦れる音だけが妙に響く薄暗い山中で、不気味に立つ朽ち果てた鳥居からは妙な威圧感さえ感じられた。
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