怖いお話。短編集

赤羽こうじ

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廃村 廃村の呪い

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 祐司君のアパートに着いた私達は祐司君の車へと乗り込んでいく。

「祐司、お前調子悪いだろ?俺が運転するよ」

 明らかに異常をきたしている祐司君を少し強引に助手席に座らせると透は運転席へと乗り込んだ。
 正直今の祐司君には運転してほしくなかった私は静かに胸を撫で下ろした。

 そうして私達は再び廃村へと向かって行く。

 大きな国道から小さな県道を抜け、祠横の細い獣道を前にして透が一度大きく息を吐いた。

「よし、行くか」

 そう言って透はゆっくりとアクセルを踏み込んだ。私達を乗せた車は静かにエンジンを唸らせゆっくりと獣道を進んで行く。
 そうして暫く進んで行き、先日停めた僅かなスペースに再び車を停めた。

 車を停め、私達が車から降り立つと、辺りには霧が立ち込めており不気味さに拍車をかけていた。

「あっ、ちょっと待って靴紐が解けてる」

 歩き出そうとした私達だったが、自分の靴紐が解けてる事に気付いた私はすぐ二人に声を掛けた。
 しゃがみこみ靴紐を結んでいると透が笑みを浮かべて歩み寄ってくれる。

「ごめん、すぐ済むから」

 私が申し訳なく思い謝罪を口にすると透は微笑んでくれた。

「大丈夫、気にするなって……えっ、おい祐司」

 透は歩み寄ってくれたが一人歩みを止めようとしない祐司君に透が慌てて声を掛けた。だが私が靴紐を結び直している間に祐司君は一人山の中へと歩いて行ってしまった。

 私達は慌てて祐司君の後を追ったが立ち込める霧のせいか、祐司君の姿を見失ってしまい透と二人顔を見合わせる。

「仕方ない、とりあえず廃村を目指そう」

 透の言葉に私は小さく頷き、二人視界の悪い山の中を歩いて行く。

 そうして暫く歩きこの前同様、半壊した建物の前まで辿り着く事が出来た。

「ここまでは来れたな。確かあの気味悪い小さい建物はあっちだったよな?」

「うん、確かそのはず」

 透が指さす方を見て私は頷く。
 
 私の夢の中にまで出てきたあの小さな廃屋。あそこに足を踏み入れた時から祐司君の様子がおかしくなった。あそこに行けば何かがわかる筈――。

 私は透と二人歩き出し、例の廃屋を目指した。

 そうして私達が廃屋までやって来ると、その廃屋の前でうずくまる人影が目に付いた。

 一瞬怯んだ私達だったが、近付くにつれ、その人影が祐司君だと気付き駆け出して行く。

「祐司君!」
「祐司!」

 慌てて私達は駆け寄り声を掛けたが、祐司君は身体を丸めて怯えたように身体を震わせていた。

「おい祐司、大丈夫か?」

「……透……透だよな?来てくれたんだよな?」

 私達の呼び掛けに対して意味不明な答えを返してくる祐司君に、私達は困惑した。

「いや、何言ってるんだ?お前だけさっさと歩いて行ったけど、さっきこの廃村の入口までは一緒に来ただろ?」

 さとすように透が言うが、祐司君は怯えるように私達を見つめて何度も首を振った。

「知らねぇって……俺はあの時からずっとここから出られてねぇんだ!」

 取り乱しながら叫ぶ祐司君を見つめて私達は言葉を失った。
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