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首都イオニア編
キミが好き
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「……どういう意味だ? 俺の事も支配するつもりか」
「いや、私は示唆しただけさ。キミはこの世界で二度、死ぬ可能性があった。だが、この世界では非凡な能力で生き残った。教えてくれないか、スギヤマ・タケミツ?」
ヌルっとするような動きで顔を近づけてきた。
「――どうやってスザクを祓ったんだ?」
接近するのを拒絶するように後ろに後ずさる。
「ピリス、いや、ピリス・アイスクラ―、アナタの目的はなんだ?」
「フッフフフ、その顔、シュミットくん程ではないが嗜虐心をくすぐるのは否めないね」
クラウス・シュミット――ピリスはどこまで関与しているのだ?
「私が黒幕とでも言いたげな顔だが、それは違うと伝えておこう。キミに嫌われたくはないからね。シュミットくんの行動は制度の範疇内とは言え時々、度が過ぎてしまう。監督不行届きと言うなら甘んじて受け入れよう。もちろん、キミが求めるなら彼への処罰も検討しようじゃないか」
「奴の事はいい、ならボッカイとの争いを止めてくれ」
「それこそ不可抗力で起きてしまったものだからね。キミが形だけの役職に就いたとしても、この世界の人間ではない者はどこまでいっても部外者にすぎない。キミ個人の不利益は補填するが、ボッカイの住人たちとの軋轢は別問題だ」
それはつまり、エレメントアーミーによるボッカイへの侵攻を止める気は無いという意味か?
ダメだ、冷静になれ、この場でそんな事を決めつけるんじゃない。
そう、これは『ぐだぐだ』しているだけだ。
「……そうだな。ボッカイの問題は、俺じゃなく、魔法使いとエレメントマスターの問題だ。当人たちで存分に話し合えば良い。とは言え俺も形だけだが、それなりの影響力は持ち合わせているつもりではある――朱雀に対応できる程度の力はあるからね」
ピリスの表情から冷たい微笑みが消えた。
「ほぉ、流石だね、その考え方。キミはやはりこちら側の人間だよ。今からでも遅くはない、こちら側に戻ってくるなら『キミもシャワーを浴びてきたら』と返答しようじゃないか?」
「……ピリス、戦争を止めてくれ」
心臓を鷲掴みにするかのような強烈な殺意を感じた。
これがもし初めてだったら、屈服していたかもしれない。
けど、これにはもう馴れている。
「んー、いけない……こういう感じに馴れていないものでね。まさか、私を振る男性がいることに驚きを感じているよ」
ため息をつきながらピリスはベッドから立ち上がった。
「ピリスは恩人だ、感謝してもしきれない。けど、」
「おっと、そんな感じで言わないで欲しいな。それより、もっとステキな言葉でお別れしたい」
ピリスは今まで会ってきた中で、一番真面目な顔をしながら、
「キミが好きだよ」
別の意味で心臓を鷲掴みにされた。
「え、っと、それは」
「魔法使い達は、もうキミに告白したのかい?」
「そ、そんな関係じゃない」
「ふふふふ、なら、これは私が一番だな」
ピリスはそういうと俺に背を向けドアノブを握った。
「さぁ、今日は取り敢えずシドウの下へ帰そう……明日が楽しみだからね」
開かれたドアを通るとピリスが耳元でささやいた。
「私はケイラスに頼らない、キミの技術を買いたいな」
甘いささやきを無視して、ピリスの家をあとにした。
「いや、私は示唆しただけさ。キミはこの世界で二度、死ぬ可能性があった。だが、この世界では非凡な能力で生き残った。教えてくれないか、スギヤマ・タケミツ?」
ヌルっとするような動きで顔を近づけてきた。
「――どうやってスザクを祓ったんだ?」
接近するのを拒絶するように後ろに後ずさる。
「ピリス、いや、ピリス・アイスクラ―、アナタの目的はなんだ?」
「フッフフフ、その顔、シュミットくん程ではないが嗜虐心をくすぐるのは否めないね」
クラウス・シュミット――ピリスはどこまで関与しているのだ?
「私が黒幕とでも言いたげな顔だが、それは違うと伝えておこう。キミに嫌われたくはないからね。シュミットくんの行動は制度の範疇内とは言え時々、度が過ぎてしまう。監督不行届きと言うなら甘んじて受け入れよう。もちろん、キミが求めるなら彼への処罰も検討しようじゃないか」
「奴の事はいい、ならボッカイとの争いを止めてくれ」
「それこそ不可抗力で起きてしまったものだからね。キミが形だけの役職に就いたとしても、この世界の人間ではない者はどこまでいっても部外者にすぎない。キミ個人の不利益は補填するが、ボッカイの住人たちとの軋轢は別問題だ」
それはつまり、エレメントアーミーによるボッカイへの侵攻を止める気は無いという意味か?
ダメだ、冷静になれ、この場でそんな事を決めつけるんじゃない。
そう、これは『ぐだぐだ』しているだけだ。
「……そうだな。ボッカイの問題は、俺じゃなく、魔法使いとエレメントマスターの問題だ。当人たちで存分に話し合えば良い。とは言え俺も形だけだが、それなりの影響力は持ち合わせているつもりではある――朱雀に対応できる程度の力はあるからね」
ピリスの表情から冷たい微笑みが消えた。
「ほぉ、流石だね、その考え方。キミはやはりこちら側の人間だよ。今からでも遅くはない、こちら側に戻ってくるなら『キミもシャワーを浴びてきたら』と返答しようじゃないか?」
「……ピリス、戦争を止めてくれ」
心臓を鷲掴みにするかのような強烈な殺意を感じた。
これがもし初めてだったら、屈服していたかもしれない。
けど、これにはもう馴れている。
「んー、いけない……こういう感じに馴れていないものでね。まさか、私を振る男性がいることに驚きを感じているよ」
ため息をつきながらピリスはベッドから立ち上がった。
「ピリスは恩人だ、感謝してもしきれない。けど、」
「おっと、そんな感じで言わないで欲しいな。それより、もっとステキな言葉でお別れしたい」
ピリスは今まで会ってきた中で、一番真面目な顔をしながら、
「キミが好きだよ」
別の意味で心臓を鷲掴みにされた。
「え、っと、それは」
「魔法使い達は、もうキミに告白したのかい?」
「そ、そんな関係じゃない」
「ふふふふ、なら、これは私が一番だな」
ピリスはそういうと俺に背を向けドアノブを握った。
「さぁ、今日は取り敢えずシドウの下へ帰そう……明日が楽しみだからね」
開かれたドアを通るとピリスが耳元でささやいた。
「私はケイラスに頼らない、キミの技術を買いたいな」
甘いささやきを無視して、ピリスの家をあとにした。
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