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第二章 魔法協会セミナー編

魔術経営2.0 ~魔術紋をアップデート~

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「今日、魔法協会は魔術紋を再発明するわ――それが魔術紋2.0!」

 黒いタートルネックにジーンズっぽい服を着たパシーがスライドをバシッと指す。
 パイナップルコンピューターの創始者っぽい服装を提案したのは俺だが、まさか、こんなに……ムチムチな感じになるとは!
 でも、これはこれでイイ!!

「うーん、パシー嬢なかなかやるわね」
「あのよう野良狐をお褒めになられるとは……ですが、アイスクラ―さまのご慧眼の通り、非常に蠱惑的な内容です。特にエレメントギアに関する見識が高く、ウカウカしていると魔術使い達にエレメントギアの主導権を握られてしまう危惧を感じます」
「いやいや、そうじゃなくてエロくない?」
「え……エロでしょうか?」
「そうそう。シュミットくんに質問だが、私とパシー嬢はどちらがエロいと思うかい?」
「そ、そそそ、そのような眼で、私は、アイスクラーさまを見たことは」

 クラウスが汗をダラダラと流しながら、赤い顔でアタフタしている。
 ははぁん、さては童貞だな? ……まぁ、俺も素人童貞ではあるが。
ゴホン、くだらない事を考えてないで受講者の反応を見ないと……まぁ、男子はスライドよりも、ね。
 棒状の何かを持っている娘は、ふんふんと頷きながらメモを取っていた。熱心で素晴らしい……俺だったらメモにメロンしか書けないかも。
 くいくいと、袖を引っ張られる。

「お兄ちゃん、ボクの講座……どうだった?」

 不安げな顔しながらアカネが俺の顔を覗き込んできた。

「もちろん、最高だったよ。アカネは今後の魔法協会セミナーのエースになるよ」
「ホントに? うれしい!」

 喜ぶアカネの頭をぽんぽんと撫でる。

「……でも、お兄ちゃん、パシーさんの講座見ている時の方がニコニコしているけどぉ」

 なんですって? 
「なんですって?」

 しょげたような顔でアカネは口を尖らせる。

「お兄ちゃんはボクに優しいけどぉ、パシーさんやピリスちゃんを見ている時と違くない?」

 実は……俺はおっぱい大好きおっぱい異世界人です!
 なんて言えるか!
 アカネは自分の胸に手を当ててこちらをぢーっと見てくる。

「アカネ……人にはそれぞれ個性があると俺は思うんだ。パシーやピリスにあるものとアカネにあるものは違う」
「ボクにあるもの……個性」
「そう、パシーとピリスは脂肪が詰まっているだけで、アカネは違う……夢がある」

 そう、アカネは可愛くて素直で癒し系で――男の娘2.0。
 なんてお得!

「……見たまえ、クニドスくん。特殊な性癖を持っている異世界人が見えるぞ。彼に金貨を渡そうと思うから、誰か雇って襲わせてくれるか?」
「ええ、喜んで!」

 やっぱりピリスが黒幕だったか!!
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