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三章 淫鬱の森
フラグ
しおりを挟む「ま、全く……!!掃除箇所が増えてしまったぞ!!」
「モーヴさんもノリノリだったじゃないですか。それにこれ……殆どモーヴさんの汁……」
「う、うるさいっ!!リュカが気持ち良くするから……いけないんだ……」
頬を赤らめ、恥ずかしそうに語気を小さくしながら話し、汚した所に生活魔法を掛けて綺麗にしていくモーヴさん。可愛い。
時間を掛け過ぎた分を取り戻すべく、僕も混ざり二人でせっせと片付けていく。
「良し……粗方片付いたな。長老達の元へ急ぐぞ」
数分もしない内に綺麗に片付いた。さすが魔法……便利だね。
「はい!ついにエルフの里に……!!」
里を飛ばしてこの神殿擬きまで来たから……里を見るの、ちょっと楽しみ。
そして恐らく待ち受けているのはエルフの酒池肉林パラダイス……凄く楽しみ。
考えただけで股間が膨らんでくる。
ジッ……と僕の股間を見てくるモーヴさんの視線をスルーしながら、来た道を戻り神殿擬きの外へ。
空を見れば……背の高い木々の合間から太陽が顔を出していて……正午過ぎくらいかな?
早朝に森に入ったから……随分と長い時間セックスしたなぁ。
そして昼飯時だなぁって意識したらお腹は空くもんで……ぐぅと情けない音が鳴ってしまった。
「す、すみません……!!」
「ふふふ……激しく動いたしな。リナが気を効かせてくれていると良いのだが……」
エルフを食べる前にご飯を食べないと……そんな下らない事を考えながら……二人、木漏れ日差す森を歩く。
心地好い風を頬で受けつつ……静かな森を肩を並べて歩いていると、なんだかデートみたいな雰囲気が出てしまう。
不意に、手がぶつかり……そして、どちらからともなく絡め合い……手を繋ぎ、頬を赤らめつつも……なんだか手が離せない。
「な、なんだ……その……あれだ、久々だ……こういう、胸のトキメキは。小っ恥ずかしいな……ふふっ」
「昔の人達は……こうやって、愛を育んでいたんですか?」
照れ笑いしながら、軽くスキップをする様に弾んで歩くモーヴさん。
……おっぱい、おっぱいがなぁ……!!!大きければなぁ!!!!
「ん?そうだな……。こうして男と女、恋をして……愛し合って……子を産んで。それが当たり前だったよ。どうして……こんな世界になってしまったんだろうな……」
モーヴさんの……憂いを秘めた目。
何があったかは聞けないし……聞かない。
きっと……僕もモーヴさんも、気持ちの良いものじゃないだろうしね。
「やっぱり昔は結婚とかありました?」
「あぁ……あったな。懐かしい……もう何百年と見ていないなぁ…………む?リュカは結婚を知っているのか??」
なんとなく気になったから聞いてみたんだけど、懐かしむ様に微笑むモーヴさんの顔が……凄く綺麗だった。
「え、えぇ……文献で少々。過去の男女に興味がありましたので……!!」
そんな事は無いし、調べた訳でも無いから……下手くそな言い訳になってしまった。
「そうか……。リュカは勤勉だな」
「えぇ。この世界の男女の命運を握るのは……僕だと思っていますから」
「はははっ。大きく出たな!!楽しみにしているよ……また、ウエディングドレスを見れる事を。……ほら、里が見えて来たぞリュカ」
ウエディングドレス何て物も存在していたんだなぁ……なんて感慨深くなる僕を置いて、手を離し小走りで里の方へ行くモーヴさん。
そんな彼女の後を追い、僕も駆ける。
里の方を見れば……モーヴさん達エルフの民族衣装みたいな服に着替えたエマとイーリスが居て、僕の方に向けて手を振り……何かを叫んでいた。
「――――げてっ!!!リュカ!!!」
目を見開き、叫ぶイーリスの声。
良く見れば……エマもイーリスも武器を取り出し構え、コチラに走り出していた。
凄い焦燥感のある……普段のイーリスからは考えられない怒声。
声に反応したモーヴさんがコチラに振り向き……そして目を見開き、体の向きを反転させた所で……僕も異変に気が付き、咄嗟に転移魔法でモーヴさんの横に転移。
「リュカッ!?」
僕の名前を呼ぶモーヴさんの手を取り、もう一度イーリス達の横まで転移を。
「リュカ!!!ナイス判断!!」
「イーリス一体何が――――わっ!?」
イーリスに説明をして貰おうと思った所で……後方から爆音が響く。
場所は……丁度モーヴさんが居た所。
何があったんだと、そちらに視線を寄せれば……砂煙が立ち込める中、赤黒い禍々しい翼が一対見える。
「敵襲……ですか!?」
「お、恐らく……な。不味いぞ……!!」
冷や汗をかき、震える手で剣を構えるエマ。
勇ましいイメージのエマが震える程の魔物なのか……?
正直、女体に溺れて忘れていた……ここは異世界なのだと。ファンタジーな世界なのだと。
意識を切り替え、『アイテムボックス』から両刃の剣を取り出し構える僕に……いや、僕らに向けて、土煙の中から真紅に染まった火の玉が直線的に飛んでくる。
モーヴさんやイーリスとエマが作り出す、木や水の壁を焼き貫き……減速する事無く僕らの元へ火の玉が届く。
咄嗟に手を突き出し、火の玉が触れたタイミングで転移魔法を掛け、土埃の立つ辺りに上から降るように火の玉を転移させる。
更に激しく舞い上がる土埃……最早何も見えない。
「ぐぅ……!!!い、痛い!!痛い……痛いっ!!!!」
転移と同時に回復魔法を掛けたので無事だけど……一瞬だけだったのに掌が大火傷して、物凄く痛かった……もうやらない……。
「リュカッ!!無理しちゃダメッ!!下がってっ!!」
「は、はいっ!!」
僕を守るように前に出る三人。さり気なくモーヴさんも混じっていて……嬉しさと申し訳無さが心に伸し掛る。
結界術が無くなって無ければ……!!
自分の中の使える力を探っていると……不意に、火の粉散らす土埃の中から声が上がる。
「存外、やるじゃねぇか。本当に男かぁ?」
酒焼けした様な……低い、図太い声。
赤黒い翼を広げ、辺りの土埃を吹き飛ばすと……中から現れたのは、翼を背中から生やし、体の至る所に鱗を纏う赤毛の女性。
四肢に筋を作り、筋肉質な体をしているのに……ブラトップで隠されたおっぱいが恐ろしい程デカい。
手に武器は持っていないのに……爬虫類を思わせる、獰猛な目付きと……額に生える猛々しい角が圧倒的強者感を醸し出している。
これは……まさしく……
「龍……人……族……!!」
「へぇ……お嬢ちゃん良く知ってるねぇ。割と珍しい種族なんだがなぁ」
おびただしい程額に汗をかき、杖を支えにしてやっとの思いで立っているイーリスの言葉に、反応する龍人族の女。
エマもモーヴさんも……ガタガタと体を震わせ腰を抜かし、完全に戦意が喪失している。
それ程までの……圧倒的強者。生態系のトップ。
さすがドラゴン……そう言わざるを得ない。
だけど……ここで怯んだらダメなんだ……!!男として、守って貰うだけじゃダメなんだ!!
「貴方の……貴方の目的は何ですか?何の為に……こんな暴力を振るうのですか……!!」
さっきの火傷の痛みが蘇り……この人が怖く、そして恐ろしい。
足が竦み、ガクガクと膝が震える。
けれど……威圧されて、動けない皆の変わりに……僕が動かなきゃ。『健康』である、僕が……!!
何が目的で、何がしたいのかわからない……けど、僕が前に出ないと……。
「へぇ……根性あるじゃねぇかオイッ!!やるなぁ男!!!こりゃ……唆るねぇ」
ジリジリと歩み寄る僕に向けて……瞳孔を開き、鋭い牙を剥き出しにして……凶悪な笑みを向けてくる龍人。
僕に向かって、一歩……また一歩と大きく歩み寄り、足元に大きな足跡を残しながら……威圧してくる。
「リュ、リュカ……!!ダメだ……!!引くんだ……!!逃げ、逃げろぉ……!!」
剣を杖にしてまで、気丈にも立ち上がるエマ。
イーリスもモーヴさんも……言葉に出せないが、強い眼差しで逃げろと伝えてくる。
「大丈夫、です……皆、心配しないで下さい。きっと、悪い様には……されませんから……」
僕の為に、身の危険を犯してまで動こうとしてくれる皆が嬉しくて……安心させたくて、微笑みながら伝える。
「リュ――――――」
「はぁい完成~。お休みなさいねぇ。睡眠!!」
僕の名前を呼ぼうとしたイーリスを遮る、妖艶な声が辺りに響き渡り……僕と龍人以外の皆が倒れ込む。
睡眠……!?ただ、寝ているだけ……そう信じたい。
「な、何をした!?!?皆に何をしたんだっ!!!」
いつの間にか僕の背後に浮かんでいた……ピンクの羽を生やした悪魔の様な女性に怒声を浴びせる。
「あらぁ?なんで効いて無いのかしらぁ?」
不思議そうな顔で僕を見つめる悪魔。
残念……状態異常は無効な体なんだよ!!
「なんでも良いさ。ゆっくり寝てなぁ!!!」
「えっ――――ぐっ……!!うぐぅ……」
してやったり、そう思った僕が最後に見たのは……いつの間にか僕の懐に潜り込んでいた、赤黒い翼だった。
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