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28 朝寝坊
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翌朝目覚めると昼近かった。いくら勉強が休みの日とはいえ何だか随分長く寝てしまった。着替えて寝室を出ると侍女さんが直ぐに食事を持ってきてくれて遅い朝食を食べていると、エドウィンとロデリックが部屋に入って来た。
「今日はゆっくり休まれたようですね」
「…うん。起きたら昼前でびっくりした」
「昨日は色々ありましたから疲れが出たのでしょう」
「そう、かな? 寝坊なんて久しぶりだよ」
二人がいつも通りでほっとしている自分がいる。あんなに熱烈に告白されたのは夢だったんだろうか…。
食べ終わるといつも通り食後のお茶に二人も付き合ってくれる。侍女が下がってからロデリックが口を開いた。
「本日騎士団長が魔獣退治から戻りましたので、明日以降であれば時間が取れるとのことです」
領地を回ることにしたから騎士団と打ち合わせをすることになったのでロデリックに打診してもらっていた。その返事がきたのだろう。
訓練場に治療に行った時に騎士団長が不在だったのは魔獣退治に出ていたからで、
西方の森で魔獣の大量発生が起きてそちらに赴いていたそうだ。
「魔獣退治してきたなら休んだ方が良いと思う。三日後くらいで大丈夫?」
「明日でも問題ありませんが、では三日後の午後にしましょう」
元副団長なのでそっちはロデリックに任せておけば安心だ。今日は夕方に司祭との面会が入っている。昨日ニスカーナンから連絡してもらったらすぐにも会いたいって事になってスケジュールを調整してくれたらしいんだよね。
「司祭様との面会まで時間があります。何をされますか?」
エドウィンに聞かれてどうしようか悩んでいると、手を取られてテーブル席からソファーに誘われた。立ち上がると反対の手もロデリックに取られた。
「なにもないようでしたら、私たちの話を聞いてもらえますか?」
長ソファーに俺を中心に三人で座る。両隣に推し二人。
「まずは私から。伯爵家の次男で二十七歳。家督は長兄が継ぎますし、傷もちなので婚約者はいませんので安心してください」
「あの、エドウィン?」
「エドと呼んで下さい。親しい人は皆そう呼ぶのでアキラ様にも呼んで欲しい」
そう言いながら俺の手を持ち上げて甲に唇を寄せる美形其の一。
「私のことはリックとお呼びください。アキラ様をより近くに感じたいのです。侯爵家の三男で三十一歳ですが傷もちですから婚約者はいませんので安心ですよ」
こちらの美形其の二は伸びてきた髪をひと房すくって唇を寄せている。
うああああ! 夢じゃなかった!?
「えっと、エド? それと、リック? 待ってくれるんじゃ…」
「待ちますが、アピールはします」
「私たちをより知って考えていただきたいですから」
なにそれ美形の本気モードこわいからやめてぇ!
「俺が二人の顔面に太刀打ちできないのわかっててそんなのずるい…」
ちょっといじけて言ったら二人が嬉しそうな笑顔を向けてきた。
「アキラ様のそんなところが愛しくて仕方が無いのです」
「大好きなのは容姿だけではないと言ってくださいましたよね」
「だって、二人だけが俺に対して普通に接してくれたから。だから信じられるって思ったんだ。もちろん、顔も好きなんだけど…」
もごもごと呟いたら二人から笑い声が上がった。
「声と胸板もでしょう?」
「堪能しますか?」
笑いながらエドに揶揄われ、リックは腕を広げてる。羞恥が振り切ると俺もおかしくなってきて一緒に笑ってしまった。
そのままソファーで他愛ない話をたくさんした。リックは以外にも甘いものに目がないとか、エドは酒豪らしくお酒で誰にも負けたことがないらしい。
呼び名を変えただけなのに前よりずっと二人が身近な存在になった気がする。この世界に来てから俺を支えてくれていた二人はやっぱり特別な存在だけど、それがどんな感情なのか、二人と同じ気持ちなのかはまだちょっとわからないんだよな…。
「今日はゆっくり休まれたようですね」
「…うん。起きたら昼前でびっくりした」
「昨日は色々ありましたから疲れが出たのでしょう」
「そう、かな? 寝坊なんて久しぶりだよ」
二人がいつも通りでほっとしている自分がいる。あんなに熱烈に告白されたのは夢だったんだろうか…。
食べ終わるといつも通り食後のお茶に二人も付き合ってくれる。侍女が下がってからロデリックが口を開いた。
「本日騎士団長が魔獣退治から戻りましたので、明日以降であれば時間が取れるとのことです」
領地を回ることにしたから騎士団と打ち合わせをすることになったのでロデリックに打診してもらっていた。その返事がきたのだろう。
訓練場に治療に行った時に騎士団長が不在だったのは魔獣退治に出ていたからで、
西方の森で魔獣の大量発生が起きてそちらに赴いていたそうだ。
「魔獣退治してきたなら休んだ方が良いと思う。三日後くらいで大丈夫?」
「明日でも問題ありませんが、では三日後の午後にしましょう」
元副団長なのでそっちはロデリックに任せておけば安心だ。今日は夕方に司祭との面会が入っている。昨日ニスカーナンから連絡してもらったらすぐにも会いたいって事になってスケジュールを調整してくれたらしいんだよね。
「司祭様との面会まで時間があります。何をされますか?」
エドウィンに聞かれてどうしようか悩んでいると、手を取られてテーブル席からソファーに誘われた。立ち上がると反対の手もロデリックに取られた。
「なにもないようでしたら、私たちの話を聞いてもらえますか?」
長ソファーに俺を中心に三人で座る。両隣に推し二人。
「まずは私から。伯爵家の次男で二十七歳。家督は長兄が継ぎますし、傷もちなので婚約者はいませんので安心してください」
「あの、エドウィン?」
「エドと呼んで下さい。親しい人は皆そう呼ぶのでアキラ様にも呼んで欲しい」
そう言いながら俺の手を持ち上げて甲に唇を寄せる美形其の一。
「私のことはリックとお呼びください。アキラ様をより近くに感じたいのです。侯爵家の三男で三十一歳ですが傷もちですから婚約者はいませんので安心ですよ」
こちらの美形其の二は伸びてきた髪をひと房すくって唇を寄せている。
うああああ! 夢じゃなかった!?
「えっと、エド? それと、リック? 待ってくれるんじゃ…」
「待ちますが、アピールはします」
「私たちをより知って考えていただきたいですから」
なにそれ美形の本気モードこわいからやめてぇ!
「俺が二人の顔面に太刀打ちできないのわかっててそんなのずるい…」
ちょっといじけて言ったら二人が嬉しそうな笑顔を向けてきた。
「アキラ様のそんなところが愛しくて仕方が無いのです」
「大好きなのは容姿だけではないと言ってくださいましたよね」
「だって、二人だけが俺に対して普通に接してくれたから。だから信じられるって思ったんだ。もちろん、顔も好きなんだけど…」
もごもごと呟いたら二人から笑い声が上がった。
「声と胸板もでしょう?」
「堪能しますか?」
笑いながらエドに揶揄われ、リックは腕を広げてる。羞恥が振り切ると俺もおかしくなってきて一緒に笑ってしまった。
そのままソファーで他愛ない話をたくさんした。リックは以外にも甘いものに目がないとか、エドは酒豪らしくお酒で誰にも負けたことがないらしい。
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