異世界で神子になりまして

negi

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29 神殿

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 司祭と面会をするためにいつもの動きやすさ重視の服から神子っぽい服に着替えた。こちらに来てもらうのではなく神殿で面会するから正装が良いって言われて、やたら気合の入った侍女たちに白地に銀糸の刺繡をほどこされた丈の長い服を着せられてしまった。すっかり伸びた髪も整えてもらってピンでとめたから視界が広い。

 鏡に映るのはいかにも神子な美少年。これが今の自分だとはいまだに信じられない。着替えが終わるのを待っていたエドとリックも俺を見て驚いている。

「ああ、なんて美しいのでしょう」

「本当に、誰にも見せたくありません」

そんな風に褒められると照れくさくて二人の顔が見れなくなる。

「うう、二人とも大げさだよ。さあ、準備も整ったし神殿に行こう」


 部屋を出て護衛たちと一番近くの出入り口を出ると馬車と馬が数頭用意されていた。

「…馬車に乗るの?」

「王宮の敷地は広いですし、神殿も入り口まで距離がありますから」

 確かにこの服装だと長距離を歩くのに向いていないかもしれない。エドとリックに手助けしてもらって、慣れない服に苦戦しながら馬車に乗せてもらう。座席に着いたら扉を閉めようとするから思わず聞いてしまった。

「え? 二人は乗らないの?」

「――くっ、…はい。馬で並走します」

「…護衛ですから仕方が無いのです」

 なんだか辛そうに返事をされてしまったから「変な事言ってごめん」と謝って大人しく座ることにした。でも直ぐに両側の窓の外に馬に跨るエドとリックの姿が見えて、一気に気分が上向きになる。はわわわ、馬上の二人格好いいぃ!!
 そこから神殿まで凛々しい推しの姿を堪能してたら直ぐに着いてしまった。


 神殿の入り口には司祭と神殿関係者と思われる人たちが膝をついて待っていた。
うぅ、そういうのやめて欲しいな…。

「神子様。お越しいただきありがとうございます」

 真ん中にいる一番豪奢な服を着た人が挨拶してくれた。その人が司祭だと思うんだけど、かなり高齢に見える。

「出迎えをありがとうございます。こんな硬い地面に膝をついてると身体に良くないからもう入りませんか?」

 ご老体に無理をさせているのがどうしても気になってしまい急かしてしまった。そしたら司祭が顔を上げて見る見る瞳が潤んできて、

「おおううぅ…、神子様の優しさに感激で胸が苦しいほどです。う、ううぅ…」

「えっ? ちょっ、泣いてるの? とと、とにかく入りましょう!」

 泣き出しちゃった司祭をまわりにいる神殿関係者が支えてなんとか中に進むことが出来た。お年寄りはいたわらないとね。

 神殿内は天井が高く装飾も王宮と違う荘厳な雰囲気で、やっぱりこういう場所は身が引き締まる感じがする。おしゃべり厳禁な気がして黙って歩いた。

 案内された応接室は予想通りの広すぎるくらいの豪奢な部屋で。これまた高そうなソファーに座ってまずは自己紹介だ。

「山田彰です。アキラが名前です。神子ではなく、名前で呼んでください」

「アキラ様でございますね。私は司祭を勤めるフランシス・シルヴァンです。お会いできて嬉しく思います」

「ずっと祈りに来なくてすみません」

「ニスカーナン様に事情は聞いております。大変後悔されておりました」

 どうやらニスカーナンは面会を取り付けてくれただけじゃなく、俺の現状も伝えてくれていたらしい。それなら話しやすいと思い、色々質問することにした。

 神殿で祈る頻度や国に表れる効果なんかを聞いて、せかっく来たんだから祈りを捧げていくことにした。神子が祈るための場所があると言うので、名残惜しそうな司祭と別れて案内してもらうと、そこは意外に狭い部屋だった。



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