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47 自覚
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騎士団との話し合いを終えて、マーカスの実家の領地へ跳ぶ日取りが決まったら連絡をする約束をしてサロンを出た。
護衛たちに囲まれて歩いていると、すれ違う人達が来た時よりも多い事に気付いた。特に女性が多くて、エドとリックを見ているのが目に入る。もしかしてわざわざ待ち伏せしていたんだろうか? 傷が消えたことで二人が注目されているってことだよな。
あからさまに態度を変えてくる貴族たちにモヤっとしながら部屋に帰ってきた。
部屋に帰るといったん休憩ってことで、侍女がお茶を淹れてくれた。ソファーに座ってその柔らかい弾力に身体を預けると、安堵のため息が漏れてしまう。
「お疲れですか?」
「ん? 平気だよ。あえて言うなら気疲れってところかな」
「やはり騎士団長のせいですね。討伐から帰ってくるなりアキラ様に会わせろとうるさかったので、護衛の話合いもあるからと面会することにしたのが間違いでした」
「ニスカーナン様が釘を刺してくださったので大丈夫だとは思いますが、今後もあの人には警戒してください」
「警戒? 俺、騎士団長を威圧したよね? そんな人間に近付いてくるかな?」
そう言ったら二人ともが首を横に振って否定してきた。
「騎士団長は美しい人を好みます。自分が見初めた人物を男女問わず愛人として囲っているのです」
身分の低いものは愛人にしたり弄んで終わりという鬼畜っぷりで、身分が高くても、ましてや既婚者や婚約者がいてもお構いなしで手を出しているらしい。見た目が悪くない上に名門侯爵家当主だからか今まで大きな問題になったことが無く、それどころかむしろお近づきになりたいと思ってる者までいると言うのだから驚きだ。
「初対面での騎士団長の振る舞いを思い出してください。アキラ様の美しさに惹かれているのは明らかです」
確かに目が合った途端、大股で距離を詰めてきたな。エドの結界が無かったら強引に迫られていたのかも。それは嫌だな。
「わかった。騎士団長には近付かないようにするよ」
「できれば騎士たちにもあまり近付いて欲しくないのですが…」
言われてサロンでのアンドレアスの言葉を思い出した。
「アンドレアスが言っていた牽制って騎士に対して? でも、護衛だよ?」
「アキラ様がご自身の魅力に全く気付いていないから心配なんです。特に騎士たちはあなたに夢中な者が多いのに、全く警戒していないのですから」
「どうかご自身の美しさをもっと自覚してください」
「ううう、自分が美少年だと思えってことだよね?」
未だにそんな自覚は持てないし、どうしたらいいのか全くわからない。そんな俺の手を取り立ち上がった二人に連れていかれたのは大きな姿見の前だった。
鏡に映っているのは確かに誰が見ても美少年だ。
「ご自身のお姿をご覧になってください。私は今までこんなに美しい人に出会ったことはありませんでした」
「ご降臨された塔の屋上であまりに美しいお姿に心を奪われたのです」
二人が鏡越しに俺を見つめて囁きかけてくる。
「白い肌も、銀色の髪も光を纏っているかのようです」
エドが髪をひと房手に取りキスをする。
「ええ、本当に、黒子ひとつ無い滑らかで白い肌に薄紅の小さな唇が愛らしい」
リックの言葉に全身を見られていることを思い出して頬に熱が集まる。それに気づいたリックの指が頬をなぞり唇に触れた。
「これだけの接触で恥じらうアキラ様が愛しくてたまらない」
「私たちが心配になる気持ちをわかっていただけますか?」
鏡には頬を染めて恥じらう美少年の両側から腰に手をまわすタイプの違う二人の美丈夫が映っている。そして見せつけるように鏡越しに視線を合わせたまま手を取り、指先に何度もキスをして微笑んでいるのだ。
ひょあぁ、なにこれ、ナニコレ?? なにこれぇぇ!!??
俺は何を見せられているんだ? いやこれ自分か。うう、なんて顔してんだ?!
あまりにも艶めいた情景を見せられて、とにかく恥ずかしくて目を逸らそうとしたら頬に手が伸びて顔を固定された。
「可愛らしいお姿をちゃんと見てください」
「無理、恥ずかしい…、うう、」
「ああ、泣かないでください。私たちはただ心配なだけなんです」
羞恥で滲んだ涙に慌てた二人が頭や肩をさすって慰めてくれる。二人が不安なら、俺も同じように不安な気持ちを打ち明けた。
「心配なのは俺もだよ。帰ってくるときエドとリックを女の人が見てた」
「私たちはアキラ様だけです」
「ニスカーナン様が止めてくれますから大丈夫ですよ」
「俺だって、好きなのは二人だけだよ」
俺の言葉に二人は一度目を瞠って、酷く切ないような表情の後強く抱きしめてきた。
俺たちは確かに思い合っているのにお互いに不安になっている。
護衛たちに囲まれて歩いていると、すれ違う人達が来た時よりも多い事に気付いた。特に女性が多くて、エドとリックを見ているのが目に入る。もしかしてわざわざ待ち伏せしていたんだろうか? 傷が消えたことで二人が注目されているってことだよな。
あからさまに態度を変えてくる貴族たちにモヤっとしながら部屋に帰ってきた。
部屋に帰るといったん休憩ってことで、侍女がお茶を淹れてくれた。ソファーに座ってその柔らかい弾力に身体を預けると、安堵のため息が漏れてしまう。
「お疲れですか?」
「ん? 平気だよ。あえて言うなら気疲れってところかな」
「やはり騎士団長のせいですね。討伐から帰ってくるなりアキラ様に会わせろとうるさかったので、護衛の話合いもあるからと面会することにしたのが間違いでした」
「ニスカーナン様が釘を刺してくださったので大丈夫だとは思いますが、今後もあの人には警戒してください」
「警戒? 俺、騎士団長を威圧したよね? そんな人間に近付いてくるかな?」
そう言ったら二人ともが首を横に振って否定してきた。
「騎士団長は美しい人を好みます。自分が見初めた人物を男女問わず愛人として囲っているのです」
身分の低いものは愛人にしたり弄んで終わりという鬼畜っぷりで、身分が高くても、ましてや既婚者や婚約者がいてもお構いなしで手を出しているらしい。見た目が悪くない上に名門侯爵家当主だからか今まで大きな問題になったことが無く、それどころかむしろお近づきになりたいと思ってる者までいると言うのだから驚きだ。
「初対面での騎士団長の振る舞いを思い出してください。アキラ様の美しさに惹かれているのは明らかです」
確かに目が合った途端、大股で距離を詰めてきたな。エドの結界が無かったら強引に迫られていたのかも。それは嫌だな。
「わかった。騎士団長には近付かないようにするよ」
「できれば騎士たちにもあまり近付いて欲しくないのですが…」
言われてサロンでのアンドレアスの言葉を思い出した。
「アンドレアスが言っていた牽制って騎士に対して? でも、護衛だよ?」
「アキラ様がご自身の魅力に全く気付いていないから心配なんです。特に騎士たちはあなたに夢中な者が多いのに、全く警戒していないのですから」
「どうかご自身の美しさをもっと自覚してください」
「ううう、自分が美少年だと思えってことだよね?」
未だにそんな自覚は持てないし、どうしたらいいのか全くわからない。そんな俺の手を取り立ち上がった二人に連れていかれたのは大きな姿見の前だった。
鏡に映っているのは確かに誰が見ても美少年だ。
「ご自身のお姿をご覧になってください。私は今までこんなに美しい人に出会ったことはありませんでした」
「ご降臨された塔の屋上であまりに美しいお姿に心を奪われたのです」
二人が鏡越しに俺を見つめて囁きかけてくる。
「白い肌も、銀色の髪も光を纏っているかのようです」
エドが髪をひと房手に取りキスをする。
「ええ、本当に、黒子ひとつ無い滑らかで白い肌に薄紅の小さな唇が愛らしい」
リックの言葉に全身を見られていることを思い出して頬に熱が集まる。それに気づいたリックの指が頬をなぞり唇に触れた。
「これだけの接触で恥じらうアキラ様が愛しくてたまらない」
「私たちが心配になる気持ちをわかっていただけますか?」
鏡には頬を染めて恥じらう美少年の両側から腰に手をまわすタイプの違う二人の美丈夫が映っている。そして見せつけるように鏡越しに視線を合わせたまま手を取り、指先に何度もキスをして微笑んでいるのだ。
ひょあぁ、なにこれ、ナニコレ?? なにこれぇぇ!!??
俺は何を見せられているんだ? いやこれ自分か。うう、なんて顔してんだ?!
あまりにも艶めいた情景を見せられて、とにかく恥ずかしくて目を逸らそうとしたら頬に手が伸びて顔を固定された。
「可愛らしいお姿をちゃんと見てください」
「無理、恥ずかしい…、うう、」
「ああ、泣かないでください。私たちはただ心配なだけなんです」
羞恥で滲んだ涙に慌てた二人が頭や肩をさすって慰めてくれる。二人が不安なら、俺も同じように不安な気持ちを打ち明けた。
「心配なのは俺もだよ。帰ってくるときエドとリックを女の人が見てた」
「私たちはアキラ様だけです」
「ニスカーナン様が止めてくれますから大丈夫ですよ」
「俺だって、好きなのは二人だけだよ」
俺の言葉に二人は一度目を瞠って、酷く切ないような表情の後強く抱きしめてきた。
俺たちは確かに思い合っているのにお互いに不安になっている。
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