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48 不安
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鏡の前で抱き合っていると二人の体温を感じて気持ちも落ち着いてきた。お互いの不安の原因を取り除くにはどうしたらいいんだろう。
「申し訳ありません。嫉妬深い私たちをお許しください」
「アキラ様が魅力的過ぎて、気持ちが先走ってしまいました」
ちっとも悪い事なんかないのに謝ってくる二人に胸が苦しくなる。いつも俺を優先してこんなに俺のことを思ってくれる二人が大好きだ。だからこのままお互いに不安を抱えたままなのは嫌なんだ。
「二人はどうして不安になるの?」
俺の問いかけに二人が黙り込む。それに何かに耐えるような表情をしている。
「俺には二人だけだよ。他にどんなに格好いい人が現れても変わらない」
俺を見つめる二人の瞳に熱を感じる。だから、ずっと気になっていたことを聞いた。
「俺と、…最後までしないのは、どうして?」
ほんのわずかだけど、二人の身体がぴくっと反応した。
まだ数回しか肌を合わせていないけど、俺だけ感じさせるばかりで手で処理を一緒にしたくらいしかしていない。
「俺が男だから、その気にならない?」
自分で言ってダメージを受けた。でもそうなのかもしれない。俺は神子で愛されないと消える存在で、だから…
「そんなわけがないでしょう!」
「こんなに愛しているんです。だからこそ、出来ない!」
良くない方に傾いていた気持ちが二人の叫びで引き戻された。過剰な反応に答えを見つけた気がして更に問いかけてみた。
「どうして出来ないの? 思い合って恋人同士になったら自然なことだろ?」
答えが欲しくて聞いたのに、予想外の反応が返ってきた。
「恋人…私とアキラ様が…」
「恋人同士…そうか…」
呆然とつぶやく二人に頭が真っ白になって、二人の声が遠い。まさか、そう思っていたのは俺だけなのか? 目に映るものがゆらゆら揺れて、そして流れていった。
「アキラ様?!」
「ああ?! こんなに泣いて」
「俺たち、恋人、じゃ、なか、ったのか…」
悲しくて思いがこぼれたら、後頭部に指が差し込まれて引き寄せられ、いきなりリックに唇を塞がれた。わけがわからないし、泣いているから余計に苦しくて思わず唇を噛んでしまった。離れていく口元は血が滲んでいる。
「あ…、ごめ、なさい」
「いいのです。こんな傷に比べたら…っ」
「私たちが間違えたためにアキラ様を悲しませてしまった!」
驚いて涙の止まった俺を二人が抱えて寝室に連れていかれた。そっとベッドに下ろされて、今度はエドの唇が下りてくる。思わず身構える俺に構わずキスをするエドの瞳は熱を帯びていつもより煌めいている。
「ん、どう、して?」
「私たちはアキラ様を愛しています。だからこそ、どうしても失いたくなかった」
「神の声に、アキラ様が愛されなければ消えると告げられて、それから愛情を隠さずにお伝えしてきました」
言葉の通り、二人から愛情を向けられていると感じていた。だから恋人同士になったと思っていたんだ。
「アキラ様は一度、腕の中で消えかけた…。その恐怖が忘れられない…」
あの出来事が相当ショックだったみたいで、二人の瞳には暗い影が落ちている。そこまでのトラウマを与えていたなんて知らなかった。
「最後までしないのか、とお聞きになりましたね? それはあなたに私たちの欲望をぶつける事になると思ったのです」
「体格差もありますし、苦痛を与える事になるかもしれない。あなたに苦しい思いをさせるくらいなら、自分たちの欲望など抑え込むつもりでした」
じゃあ二人は俺の身体を心配して我慢していたってことなのか? まさかそんな風に考えていたなんて。
「愛しいあなたを前に、いつか欲望に負けてしまう日が来るのを恐れていました。だから他の者があなたに邪な思いを向けるのが我慢できなかった」
「けれどアキラ様が恋人だからそれは自然な事だと言ってくださって、失うことを恐れるあまりに本質を忘れていた私たちの目を覚ましてくれました」
「じゃあ、俺たちは、恋人?」
「「 はい! 」」
嬉しくて伸ばした手を二人がそれぞれ取ってキスしてくれる。
「愛しています。恋人のあなたを感じたい」
「手加減できないかもしれません。それでもいいですか?」
「うん、いいよ」
「申し訳ありません。嫉妬深い私たちをお許しください」
「アキラ様が魅力的過ぎて、気持ちが先走ってしまいました」
ちっとも悪い事なんかないのに謝ってくる二人に胸が苦しくなる。いつも俺を優先してこんなに俺のことを思ってくれる二人が大好きだ。だからこのままお互いに不安を抱えたままなのは嫌なんだ。
「二人はどうして不安になるの?」
俺の問いかけに二人が黙り込む。それに何かに耐えるような表情をしている。
「俺には二人だけだよ。他にどんなに格好いい人が現れても変わらない」
俺を見つめる二人の瞳に熱を感じる。だから、ずっと気になっていたことを聞いた。
「俺と、…最後までしないのは、どうして?」
ほんのわずかだけど、二人の身体がぴくっと反応した。
まだ数回しか肌を合わせていないけど、俺だけ感じさせるばかりで手で処理を一緒にしたくらいしかしていない。
「俺が男だから、その気にならない?」
自分で言ってダメージを受けた。でもそうなのかもしれない。俺は神子で愛されないと消える存在で、だから…
「そんなわけがないでしょう!」
「こんなに愛しているんです。だからこそ、出来ない!」
良くない方に傾いていた気持ちが二人の叫びで引き戻された。過剰な反応に答えを見つけた気がして更に問いかけてみた。
「どうして出来ないの? 思い合って恋人同士になったら自然なことだろ?」
答えが欲しくて聞いたのに、予想外の反応が返ってきた。
「恋人…私とアキラ様が…」
「恋人同士…そうか…」
呆然とつぶやく二人に頭が真っ白になって、二人の声が遠い。まさか、そう思っていたのは俺だけなのか? 目に映るものがゆらゆら揺れて、そして流れていった。
「アキラ様?!」
「ああ?! こんなに泣いて」
「俺たち、恋人、じゃ、なか、ったのか…」
悲しくて思いがこぼれたら、後頭部に指が差し込まれて引き寄せられ、いきなりリックに唇を塞がれた。わけがわからないし、泣いているから余計に苦しくて思わず唇を噛んでしまった。離れていく口元は血が滲んでいる。
「あ…、ごめ、なさい」
「いいのです。こんな傷に比べたら…っ」
「私たちが間違えたためにアキラ様を悲しませてしまった!」
驚いて涙の止まった俺を二人が抱えて寝室に連れていかれた。そっとベッドに下ろされて、今度はエドの唇が下りてくる。思わず身構える俺に構わずキスをするエドの瞳は熱を帯びていつもより煌めいている。
「ん、どう、して?」
「私たちはアキラ様を愛しています。だからこそ、どうしても失いたくなかった」
「神の声に、アキラ様が愛されなければ消えると告げられて、それから愛情を隠さずにお伝えしてきました」
言葉の通り、二人から愛情を向けられていると感じていた。だから恋人同士になったと思っていたんだ。
「アキラ様は一度、腕の中で消えかけた…。その恐怖が忘れられない…」
あの出来事が相当ショックだったみたいで、二人の瞳には暗い影が落ちている。そこまでのトラウマを与えていたなんて知らなかった。
「最後までしないのか、とお聞きになりましたね? それはあなたに私たちの欲望をぶつける事になると思ったのです」
「体格差もありますし、苦痛を与える事になるかもしれない。あなたに苦しい思いをさせるくらいなら、自分たちの欲望など抑え込むつもりでした」
じゃあ二人は俺の身体を心配して我慢していたってことなのか? まさかそんな風に考えていたなんて。
「愛しいあなたを前に、いつか欲望に負けてしまう日が来るのを恐れていました。だから他の者があなたに邪な思いを向けるのが我慢できなかった」
「けれどアキラ様が恋人だからそれは自然な事だと言ってくださって、失うことを恐れるあまりに本質を忘れていた私たちの目を覚ましてくれました」
「じゃあ、俺たちは、恋人?」
「「 はい! 」」
嬉しくて伸ばした手を二人がそれぞれ取ってキスしてくれる。
「愛しています。恋人のあなたを感じたい」
「手加減できないかもしれません。それでもいいですか?」
「うん、いいよ」
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