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73 難しい条件
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誇らしげなエドとリックと違い、俺はどうしても恥ずかしさが先に立ってしまう。
俺には「二人の傷跡を消したのは俺の愛の力です」なんて堂々と言えないよ。
けれど、ベスティンの傷跡を消せたのは母子の彼に対する愛情の深さなのは確かだ。
「…相手を思う愛情があれば、傷跡を消せるんだと思う」
「それはまた、難しい条件ですな」
司祭は穏やかな口調で言ったけど、お年寄りの言葉には重みがあるなぁ。
愛の形はそれぞれだし、それを計るのは難しい。
でも傷跡を消せる人に出会えたら片っ端から消すつもりだ。
俺が御触れを出したとしても、そんなに直ぐに差別は無くならないと思うし、騎士団長のように傷跡が消えても差別してくる奴もいる。
「これから色んな領地へ行くから、傷もちの人に出会う機会があるかもね」
ニスカーナンの目を見てそう言ったら、彼の眉がぴくっと動いた。
「…承知いたしました。どんな報告が届いても驚かないように、心の準備をしておきましょう」
色々と理解してくれた様子のニスカーナンにはちょっと申し訳ない気持ちになった。
「面倒ごとばかり押し付けてごめんなさい」
「とんでもございません。アキラ様のお役に立てるならどんなことでも引き受けますよ。それが私の使命だと思っております」
「うん…。ありがとう…」
ニスカーナンとは本当に良い関係になれたと思う。
それから傷もちへの差別についての御触れの内容を話し合い、俺の言いたいことをニスカーナンが汲み取ってまとめてくれた。司祭から聞いた浄化魔法で魔獣の穢れは消えていることも加えてもらって、凄くいい感じになったと思う。でもなぁ…
「これ、やっぱり恥ずかしいんだけど…」
司祭の提案通り御触れの内容にはエドとリックの傷跡を消した経緯も加えられていて、俺の愛の力で消えたとしっかり書かれている。
「いえ、これは外せません」
「うう、そうかなぁ…」
「愛の力、という部分が今後のアキラ様の活躍の手助けになりますよ」
ニスカーナンが珍しくいたずらっぽい顔を見せた。
確かに消せる条件は「愛の力」だ。それが噂になってくれればこちらが探さなくても声をかけてくる人がいるかもしれないってことか。
さっき俺が暗に傷もちを治しまくるって宣言した事への意趣返しかな。
俺の羞恥心に蓋をした御触れは王家と神殿から同時に発表してもらうことになった。
「王家から?」
「陛下にはアキラ様のお人柄や今までのご活躍を報告しています。これからは王家もアキラ様を支援していくと陛下がお決めになりました」
転移陣の部屋で「疑っていてすまなかった」と陛下から言われたことを思い出す。
今までは先々代の神子との関係で、俺との距離を図りかねていたんだろうな。
「もちろん神殿もアキラ様を全面的にご支援いたします!」
司祭が興奮気味に宣言した。そういえば神殿関係者は最初から好意的だったな。
「陛下だけでなく司祭様もとなると、式典を開いてアキラ様との関係を大々的に…」
「いや! それはちょっと…」
とんでもない事を言い出したニスカーナンを慌てて遮ってしまった。でもニスカーナンは笑ってて…
「ふふ、そう仰るだろうと思い、あのような場で陛下に宣言していただきました」
ニスカーナンが俺の性格を把握し過ぎている。やばい、嬉しい。
「はは、俺のことを分かってるね! 流石ニスカーナンだ!」
思わず出た俺の軽口に微笑んでいるニスカーナンは嬉しそうで、なんだか俺も凄く嬉しくなった。
御触れは平民向けのものと貴族用に言い回しを変換してもらったものを用意することになった。どちらも扱いはニスカーナンと司祭にお願いして、せっかく神殿に来たんだから祈ってから帰ることにした。
祈るための部屋で、特に酷いと報告があった二つの領地に向けて祈る。
行くのが遅くなっている申し訳なさについ熱心に祈ってしまい、力の抜けた俺はエドとリックに抱えられて転移で王宮に帰って来た。
今日は元々帰りは転移を使ってみることになっていたけれど、抱えられて帰って来るなんて想定外だよ。
ベッドに直行して二人にたっぷり満たされたことは言うまでもない…
俺には「二人の傷跡を消したのは俺の愛の力です」なんて堂々と言えないよ。
けれど、ベスティンの傷跡を消せたのは母子の彼に対する愛情の深さなのは確かだ。
「…相手を思う愛情があれば、傷跡を消せるんだと思う」
「それはまた、難しい条件ですな」
司祭は穏やかな口調で言ったけど、お年寄りの言葉には重みがあるなぁ。
愛の形はそれぞれだし、それを計るのは難しい。
でも傷跡を消せる人に出会えたら片っ端から消すつもりだ。
俺が御触れを出したとしても、そんなに直ぐに差別は無くならないと思うし、騎士団長のように傷跡が消えても差別してくる奴もいる。
「これから色んな領地へ行くから、傷もちの人に出会う機会があるかもね」
ニスカーナンの目を見てそう言ったら、彼の眉がぴくっと動いた。
「…承知いたしました。どんな報告が届いても驚かないように、心の準備をしておきましょう」
色々と理解してくれた様子のニスカーナンにはちょっと申し訳ない気持ちになった。
「面倒ごとばかり押し付けてごめんなさい」
「とんでもございません。アキラ様のお役に立てるならどんなことでも引き受けますよ。それが私の使命だと思っております」
「うん…。ありがとう…」
ニスカーナンとは本当に良い関係になれたと思う。
それから傷もちへの差別についての御触れの内容を話し合い、俺の言いたいことをニスカーナンが汲み取ってまとめてくれた。司祭から聞いた浄化魔法で魔獣の穢れは消えていることも加えてもらって、凄くいい感じになったと思う。でもなぁ…
「これ、やっぱり恥ずかしいんだけど…」
司祭の提案通り御触れの内容にはエドとリックの傷跡を消した経緯も加えられていて、俺の愛の力で消えたとしっかり書かれている。
「いえ、これは外せません」
「うう、そうかなぁ…」
「愛の力、という部分が今後のアキラ様の活躍の手助けになりますよ」
ニスカーナンが珍しくいたずらっぽい顔を見せた。
確かに消せる条件は「愛の力」だ。それが噂になってくれればこちらが探さなくても声をかけてくる人がいるかもしれないってことか。
さっき俺が暗に傷もちを治しまくるって宣言した事への意趣返しかな。
俺の羞恥心に蓋をした御触れは王家と神殿から同時に発表してもらうことになった。
「王家から?」
「陛下にはアキラ様のお人柄や今までのご活躍を報告しています。これからは王家もアキラ様を支援していくと陛下がお決めになりました」
転移陣の部屋で「疑っていてすまなかった」と陛下から言われたことを思い出す。
今までは先々代の神子との関係で、俺との距離を図りかねていたんだろうな。
「もちろん神殿もアキラ様を全面的にご支援いたします!」
司祭が興奮気味に宣言した。そういえば神殿関係者は最初から好意的だったな。
「陛下だけでなく司祭様もとなると、式典を開いてアキラ様との関係を大々的に…」
「いや! それはちょっと…」
とんでもない事を言い出したニスカーナンを慌てて遮ってしまった。でもニスカーナンは笑ってて…
「ふふ、そう仰るだろうと思い、あのような場で陛下に宣言していただきました」
ニスカーナンが俺の性格を把握し過ぎている。やばい、嬉しい。
「はは、俺のことを分かってるね! 流石ニスカーナンだ!」
思わず出た俺の軽口に微笑んでいるニスカーナンは嬉しそうで、なんだか俺も凄く嬉しくなった。
御触れは平民向けのものと貴族用に言い回しを変換してもらったものを用意することになった。どちらも扱いはニスカーナンと司祭にお願いして、せっかく神殿に来たんだから祈ってから帰ることにした。
祈るための部屋で、特に酷いと報告があった二つの領地に向けて祈る。
行くのが遅くなっている申し訳なさについ熱心に祈ってしまい、力の抜けた俺はエドとリックに抱えられて転移で王宮に帰って来た。
今日は元々帰りは転移を使ってみることになっていたけれど、抱えられて帰って来るなんて想定外だよ。
ベッドに直行して二人にたっぷり満たされたことは言うまでもない…
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