バレンタインより特別な日に

設楽シイ(旧 甘瑠川椋心)

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❚4.いじわる

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 昇降口。



「とーもかっ」

 ガバッ。
 
「きゃっ。は、ハル……ッ!? も~! いきなり後ろから抱きつかないでよッ!」


 わー、びっくりした。
 いんや、まだびっくりしてる。


 心臓バクバクだし。


「ね~、またお菓子、教えてよ」




 聞いてしまったこと

 と、

 見てしまったこと。


 あたしは思い出してしまい……。





 ……ズキン。



「無理」

「え?」

「だから、もう無理」


 ハルはあたしのことばにぽかんとしている。


「だから、もうイヤって言ってるでしょ!! ハルのバカッ」


 そう叫んで、あたしは走った。





 ……バカ。


 なのは、ほんとはどっち?






 あーあ。
 わかってる。

 こんなの、ヤツアタリだし。


 好きって、ずーっと言えてない自分が悪いんだし。

 あんなふうに女の子と仲良くしてる、ハルが悪いんだし。

 ……いや、それはないかもだけど。


 嫉妬とヤキモチで、あたしのなかドロドロ。
 えげつない。

 あたしってこんなに、ダメな子だったっけ……?



 ……はぁ。


 あのときのハル。

 きっとショックだったよね。




 ……決めた。



 今度こそ、決着つける。



 もうバレンタインなんかに頼らない。

 頼ったって、義理とか言って逃げ道作って、逃げ回ってきていたから。


 何でもない日でいい。

 あたしがその日を特別な一日に変えるんだ。

 あたしはスーパーに走った。


 材料を買いに。
 
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