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♡3.お昼には

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 あれから。


 すぐに、わたしと岩城くんが付き合いだしたというのは、
 周知のこととなった。



 昼休み。


 ガラガラガラ。


「香藤さん、いる?」


「岩城くん!」


 岩城くんがお弁当箱を片手にわたしの教室までやってきた。


「今日ご飯、一緒に食べない?」

「うん。いいよ」


 いつもは渚と一緒に食べていたんだけど。

 渚ってば、沢くんにべったり。

 彼と一緒にランチするって、
 目をハートにして教室を飛び出して行ってしまったのだ。


 ちょうど、ひとりだったから。
 誰かとご飯できるのは嬉しい。


「じゃ、屋上、行こ?」

「うん!」




 昼休みの屋上。

 今日は空が青々としてきて、綺麗。


 それにひとけがなくて。

 静かで。


 ゆっくりできそう。



「ここ、座ってい?」


 わたしはいい感じの場所に座った。

 すると。


「えっ」


 岩城くんは、わたしのすぐそばに、座った。


 近っ。


 こんな距離に知らない人がいるだなんて。

 いや、名前くらいなら知ってるけど。


「じゃあ、食べよっかーっ」


 わたしはあえて明るい声をだした。


「緊張してる?」

「え?」

 ず、図星。

「まさか、そんなわけないよ」

「……そっか」

「それより、それ、岩城くんの手作り?」

「ん、ああ」

「そっか、岩城くんって料理できるんだね。おいしそー」

「香藤さん、よかったら食べる?」

「えっ、いいの!?」


「もちろん。俺の彼女、だし……」



 ドキン。

 え。


 なぜか、心臓が、跳ねて。


「そ、そっかー。そうだよね」


 わたしは不思議な気分になりながらも、岩城くんと、美味しくランチタイムを楽しんだ。
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