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♡4.破局

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 あれから。

 岩城くんのいろんなことを知った。


 実は甘党なところ。

 実はお兄ちゃんがいるところ。

 手芸と料理が得意なところ。



 そんな岩城くんの知らない一面を知るたびに。


 岩城くんと、ずっと一緒にいたくなる。


 だけど。


「渚っ! 一緒に帰ろ」

「え、無理」

「えっ!?」

「あたし、雪人と帰るから。それに京には岩城くんがいるじゃん」


 ……え?


 いや、それって。


「じゃね、京っ」


 渚はバタバタと教室を出ていった。



 そんなぁ。

 大好きな友だちが遠ざかっていく。

 ちょっぴり、さみしい。



「香藤さん……」

「あ、岩城くん……」


 ほっ。

 岩城くんの顔見ただけで、すこし、ほっとする。


「帰ろ?」

「うん」



 わたしは岩城くんと並んで教室を出た。







「あのさ、香藤さん」

「うんなに?」


 通学路をふたりで。


「実はずっと迷ってたんだけど」

「え? なに?」



「別れよっか……」



 い、岩城くん?


「そ、そっか。岩城くん、そうしたいなら、そうしよっか」



 ズキン。


 急に胸が苦しくなって。



 つらい……。


 だけど。

 岩城くんの目の前では、笑っていたいから。


 わたしは「そうしよ」って、笑った。
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