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淡い黄昏 朱色に染まる
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あなたはstella。
僕の太陽だ。
誰が何と言おうと。
誰に馬鹿にされようとも。
あなたが居たことを僕は忘れない。
決してーー。
ねえ、君は『恒星』って何だか知ってる?
唐突に、そう声をかけられた。
ホームルームの後、僕は自分の机に体を預けて寝たふりをしていた。
腕組みして。イヤホンを耳に嵌めて。
僕は誰も見ていない。
誰も僕を見ていない。
そう思っていたのに、その子は僕に声をかけてきたのだった。
隣の席に座るクラスメイトの女の子。
席が隣だから、たまに話す。
それくらいの関係しかない女の子だ。
女の子もおそらく同じような認識だろうと思う。
だって、その子は僕の名前すら覚えていないだろうから。
僕は君の名前を知ってるけど。
「恒星っていうのはね、自ら光を発し、その質量がもたらす重力による収縮に反する圧力を内部に持ち支える、ガス体の天体の総称なんだよ」
寝たふりから覚め、眠たげな眼差しを向けた僕に、女の子はそう続けた。
僕が寝ていなかったことを知っていたのだろうか。
「ウィキ先生に聞いたから、間違いないよ」
インターネットで仕入れた知識を唐突に僕に話す。
そこには一体どんな理由があるのか。
僕は一考してみたが、やはり理由は解らなかった。
推測すら立たない。
「重力による収縮に反する圧力を内部に持ち支える、ってところが何か良いよね。すごく中二っぽい」
それのどこが「何か良い」のだろう?
それは「私達は今恒星なんだよ」という比喩なのだろうか。
「押さえ込む力と、外に反発する力っていう相反する力を有していて、それでいて地球みたいな海や陸地がある塊ではなくて、ガスで出来た星なんだよ? すごいよね」
やはり僕にはよく解らない。
彼女が恒星にリスペクトを懐く理由も、それを僕に話す理由も。
ついでに付け加えると、その恒星っていうのは、『ガスの塊』ということで、地球なんかとあまり変わらないのではないだろうか。
地球にも重力がある訳だし。
「君はどう思う? 恒星について、君の考えを聞きたいな」
どう、と言われても。
正直、よく解らない。
だから僕は正直にそう女の子に答えた。
「ふーん。よく解らない。かぁ。そっかぁ……」
何だかすごく残念そうな表情を浮かべて、ふい、と、そっぽを向いてしまった。
どうやら僕の答えがお気に召さなかったらしい。
どうやら、この会話はこれで終わりらしかった。
***
昼食を友達と一緒に食べ、他愛もない話をだらだらと続けていると、不意にあの子が視界に入った。
あの子も友達と外でお弁当を食べて、教室に戻ってきたところらしい。手に持ったお弁当の包みが揺れている。
「あ、そう言えばお前知ってるか?」
友達が会話をぶつ切りにして話題を変えてくる。
「アイツ、夏休みに引っ越すらしいぜ」
へぇ。僕はそう答えた。
そうなんだ。引っ越すんだ。
「俺の親とアイツの親が知り合いでさ。仕事の都合でけっこう遠くに行っちまうらしいぜ」
何処に?
僕は尋ねる。
「いや、そこまでは聞かなかったけど。どーして? もしかして、アイツのこと好きなのか?」
そうじゃないけど。何となく気になって。
友達の容赦無い追求をはぐらかす。
まあ、実際、好きとかじゃないし。
名前を知ってて、隣の席だからたまに話すくらいの仲だし。
たまに数学の宿題を見せてもらったり、今日は当てられる日だからと言って英語の和訳を教えてあげたり。
それくらいの関係でしかないし。
好きとか、そう言うんじゃない。
「そっか。お前、好きな女子とかいなさそうだもんな」
友達はそう言って話題を戻した。
***
放課後の教室で、暮れ始めた空を眺めていた。
「あれ? 君、部活は? 帰宅部だったっけ?」
忘れ物を取りに来たらしい。
部活の途中で抜けて来たのか、体操着にハーフパンツという出で立ちで、額と首筋にじんわりと汗が浮かんでいる。
「今日は熱いね。もうすぐ夏がやってくるんだなって思うよ」
夏がやってくる。
夏休みがやってくる。
「で、部活は? もしかしてサボり?」
うん。
僕は短くそう答えた。
「センパイに怒られても知らないよ~? 君のトコのセンパイ、超怖いんでしょう~?」
うん。きっと殴られる。
僕は小さく笑った。
「えー? マジで? かわいがりってやつ? こわー」
多分かわいがりじゃなくて、単純に教育的指導ってやつなんだろうけど、僕は頷いてそれを肯定した。
「じゃあ早く行かなきゃじゃん」
うーん。
僕は唸る。
「どうしたのさ。何かあった?」
少し黙って、僕は答えた。
いや、別に。
何かあったって訳じゃないけど。
僕に何かあった訳じゃないんだけれど。
「じゃあ誰に何があったって言うのさ。話してみなよ。話聞くくらいは出来るよ?」
部活の途中で抜けて来たんじゃないのかな。
怒られたりしないのかな。
そう、尋ねてみた。
「あはは~。大丈夫だよ。私、もうすぐ転校しちゃうしね。だから今やってるのも、試合に向けてとかっていうより、チームのためって感じ」
ふーん。
小さく答える。
「ふーん。って何よぉ、こっちは心配してあげてんのにさぁ。……あ、分かった。好きな子のこと考えてたんでしょ。だから話したくないんだ? だから部活サボって放課後の教室で黄昏てたんだ? わぁ~中二じゃ~ん」
……うん。そうだね。そうなのかも。
僕は視線を外に向けた。
空を染める色は段々と濃くなる。
「へー。君、好きな人とかいたんだ。何か意外」
意外。
やっぱり他人から見た僕は、そういう奴に見えるんだろうか。
そうなの?
聞き返す。
「そうだよ。クラスの女子と話してても素っ気ないし、男子と話してる時の方が楽しそうだし。君、女の子じゃなくて男の子に興味あるって、一部の女子から噂されてるよ?」
そんな訳あるか。
誰だそんな噂してんのは。
確かに女子には素っ気ないかもしれないけど、それは男友達と違ってどう接していいか分からないだけで、別に男子が好きだから男友達と話すのが楽しいんじゃない。
いや、友達が好きだから男友達と話すのが楽しいのはその通りなんだけどさ。
「そういうとこ」
ん?
「そういう、自分の言ったこと否定して、すぐ肯定して、って、そういうとこが、誤解を招いてるんじゃないかなぁ?」
人格否定かよ……。
とにかく、俺はそっちの趣味がある訳じゃない。
そういう人を変だとか思わないけど、さっきも言ったように、単純に女子との接し方が分からないだけだ。
免疫がないだけだ。
「まあまあ。そういうことにしといてあげよう」
あはは、と笑って何だかうやむやにされた。
何でそこをうやむやにする理由があるんだ。
まあ、別にいいけど。
「ふふ」
?
「やっぱり、変な奴だなーって思って」
変?
何が?
「今朝、恒星の話したの覚えてる?」
そりゃあ。今朝のことだし。
意味不明だったから逆に印象的だったし。
「あれね、君みたいだなーって思ったの」
恒星が?
「そう」
何処が?
「輝いてるとこ」
僕が?
「うん。君が」
何処が?
解らなかった。
何を言ってるのか。
何が言いたいのか。
朝より、ずっと難解な問題を僕は突きつけられている。
「君はね、私の恒星なの」
僕はやはり解らず、次の言葉を待った。
「私の隣の席で輝いてるの」
僕は次の言葉を待つ。
「私達って、この世界で一人ぼっちじゃない? 親も、友達も。本当に私のことを理解してる訳じゃないじゃない?」
紡がれる言葉を待つ。
「私達は、何時だって、何時までだって、一人ぼっちなの。ここに居ても、部活をしていても、ここに居なくても、転校しても」
君が紡ぐ言葉を待つ。
「私はこの一人ぼっちの世界がとっても嫌いだった。楽しくない訳じゃないよ。友達のこと大好きだし。親のことも好きだし。部活は楽しいし。授業のことは、たまに嫌いだけど」
うん。
「でも、君は違った」
僕が。
「そう。君は違った。君だけが違った」
僕が。
「いっつも、友達も笑ってる時も、ホームルームの後に寝たふりしてる時も、私と宿題を見せあってる時も、何時だって。君だけが違った」
「君は、世界を愛していて、そして世界に興味が無かった」
「何時だって、君の心は一人だった。独りきりだった」
「君は孤独だった」
「そして私はそんな君に憧れた」
……。
「世界を恐れない君に。独りを恐れない君に。私が嫌いなこんな一人ぼっちの世界を独りで愛している君に。私が嫌いなこんな一人ぼっちの世界に興味を持たない君に。とても、とてもとても強い君に、私は憧れた」
「そして、君は私の恒星になったの」
沈みかける恒星が、教室を夕闇で包んだ。
僕は君の顔が見えない。
君も僕の顔が見えない。
訪れた淡い黄昏。
君と僕の世界も朱色に染まる。
「君のことが好き」
「僕は」
【ストラトステラ】
ステラはひとつ 魔法をかけた
世界の誰にも 気付かれないように
「もしも、わたしが明日死んだら
すべての光が なくなってしまいますように」
「ステラ、君は多分 気づいてないだろうけどさ――」
あなたが嫌った世界も ぼくは愛してたよ
あなたはステラ ぼくはストラト
行き先なんて 何処にもないよ
触れあうたびに 悲しくなる理由は
いつだって、いつだって、知ってたはずさ
だから、さよなら
街は 街は 淡い黄昏
空は 空は 朱色に染まる
「ステラ!」
彼女は微かに笑い
祝福の鐘に 手を、かけた。
あなたはステラ ぼくはストラト
誰も知らない ストラとステラ
もしも彼女が 世界を愛していたら
そんなことを、そんなことを、考えていたよ
さいごにステラ 「君」がいたこと
確かめさせて 確かめさせて
闇のなかでも それだけでぼくは
なんとかね、なんとかね、笑えるはずだ
さようなら
―サヨナラ
夏休みがやってくる。
(fin)
僕の太陽だ。
誰が何と言おうと。
誰に馬鹿にされようとも。
あなたが居たことを僕は忘れない。
決してーー。
ねえ、君は『恒星』って何だか知ってる?
唐突に、そう声をかけられた。
ホームルームの後、僕は自分の机に体を預けて寝たふりをしていた。
腕組みして。イヤホンを耳に嵌めて。
僕は誰も見ていない。
誰も僕を見ていない。
そう思っていたのに、その子は僕に声をかけてきたのだった。
隣の席に座るクラスメイトの女の子。
席が隣だから、たまに話す。
それくらいの関係しかない女の子だ。
女の子もおそらく同じような認識だろうと思う。
だって、その子は僕の名前すら覚えていないだろうから。
僕は君の名前を知ってるけど。
「恒星っていうのはね、自ら光を発し、その質量がもたらす重力による収縮に反する圧力を内部に持ち支える、ガス体の天体の総称なんだよ」
寝たふりから覚め、眠たげな眼差しを向けた僕に、女の子はそう続けた。
僕が寝ていなかったことを知っていたのだろうか。
「ウィキ先生に聞いたから、間違いないよ」
インターネットで仕入れた知識を唐突に僕に話す。
そこには一体どんな理由があるのか。
僕は一考してみたが、やはり理由は解らなかった。
推測すら立たない。
「重力による収縮に反する圧力を内部に持ち支える、ってところが何か良いよね。すごく中二っぽい」
それのどこが「何か良い」のだろう?
それは「私達は今恒星なんだよ」という比喩なのだろうか。
「押さえ込む力と、外に反発する力っていう相反する力を有していて、それでいて地球みたいな海や陸地がある塊ではなくて、ガスで出来た星なんだよ? すごいよね」
やはり僕にはよく解らない。
彼女が恒星にリスペクトを懐く理由も、それを僕に話す理由も。
ついでに付け加えると、その恒星っていうのは、『ガスの塊』ということで、地球なんかとあまり変わらないのではないだろうか。
地球にも重力がある訳だし。
「君はどう思う? 恒星について、君の考えを聞きたいな」
どう、と言われても。
正直、よく解らない。
だから僕は正直にそう女の子に答えた。
「ふーん。よく解らない。かぁ。そっかぁ……」
何だかすごく残念そうな表情を浮かべて、ふい、と、そっぽを向いてしまった。
どうやら僕の答えがお気に召さなかったらしい。
どうやら、この会話はこれで終わりらしかった。
***
昼食を友達と一緒に食べ、他愛もない話をだらだらと続けていると、不意にあの子が視界に入った。
あの子も友達と外でお弁当を食べて、教室に戻ってきたところらしい。手に持ったお弁当の包みが揺れている。
「あ、そう言えばお前知ってるか?」
友達が会話をぶつ切りにして話題を変えてくる。
「アイツ、夏休みに引っ越すらしいぜ」
へぇ。僕はそう答えた。
そうなんだ。引っ越すんだ。
「俺の親とアイツの親が知り合いでさ。仕事の都合でけっこう遠くに行っちまうらしいぜ」
何処に?
僕は尋ねる。
「いや、そこまでは聞かなかったけど。どーして? もしかして、アイツのこと好きなのか?」
そうじゃないけど。何となく気になって。
友達の容赦無い追求をはぐらかす。
まあ、実際、好きとかじゃないし。
名前を知ってて、隣の席だからたまに話すくらいの仲だし。
たまに数学の宿題を見せてもらったり、今日は当てられる日だからと言って英語の和訳を教えてあげたり。
それくらいの関係でしかないし。
好きとか、そう言うんじゃない。
「そっか。お前、好きな女子とかいなさそうだもんな」
友達はそう言って話題を戻した。
***
放課後の教室で、暮れ始めた空を眺めていた。
「あれ? 君、部活は? 帰宅部だったっけ?」
忘れ物を取りに来たらしい。
部活の途中で抜けて来たのか、体操着にハーフパンツという出で立ちで、額と首筋にじんわりと汗が浮かんでいる。
「今日は熱いね。もうすぐ夏がやってくるんだなって思うよ」
夏がやってくる。
夏休みがやってくる。
「で、部活は? もしかしてサボり?」
うん。
僕は短くそう答えた。
「センパイに怒られても知らないよ~? 君のトコのセンパイ、超怖いんでしょう~?」
うん。きっと殴られる。
僕は小さく笑った。
「えー? マジで? かわいがりってやつ? こわー」
多分かわいがりじゃなくて、単純に教育的指導ってやつなんだろうけど、僕は頷いてそれを肯定した。
「じゃあ早く行かなきゃじゃん」
うーん。
僕は唸る。
「どうしたのさ。何かあった?」
少し黙って、僕は答えた。
いや、別に。
何かあったって訳じゃないけど。
僕に何かあった訳じゃないんだけれど。
「じゃあ誰に何があったって言うのさ。話してみなよ。話聞くくらいは出来るよ?」
部活の途中で抜けて来たんじゃないのかな。
怒られたりしないのかな。
そう、尋ねてみた。
「あはは~。大丈夫だよ。私、もうすぐ転校しちゃうしね。だから今やってるのも、試合に向けてとかっていうより、チームのためって感じ」
ふーん。
小さく答える。
「ふーん。って何よぉ、こっちは心配してあげてんのにさぁ。……あ、分かった。好きな子のこと考えてたんでしょ。だから話したくないんだ? だから部活サボって放課後の教室で黄昏てたんだ? わぁ~中二じゃ~ん」
……うん。そうだね。そうなのかも。
僕は視線を外に向けた。
空を染める色は段々と濃くなる。
「へー。君、好きな人とかいたんだ。何か意外」
意外。
やっぱり他人から見た僕は、そういう奴に見えるんだろうか。
そうなの?
聞き返す。
「そうだよ。クラスの女子と話してても素っ気ないし、男子と話してる時の方が楽しそうだし。君、女の子じゃなくて男の子に興味あるって、一部の女子から噂されてるよ?」
そんな訳あるか。
誰だそんな噂してんのは。
確かに女子には素っ気ないかもしれないけど、それは男友達と違ってどう接していいか分からないだけで、別に男子が好きだから男友達と話すのが楽しいんじゃない。
いや、友達が好きだから男友達と話すのが楽しいのはその通りなんだけどさ。
「そういうとこ」
ん?
「そういう、自分の言ったこと否定して、すぐ肯定して、って、そういうとこが、誤解を招いてるんじゃないかなぁ?」
人格否定かよ……。
とにかく、俺はそっちの趣味がある訳じゃない。
そういう人を変だとか思わないけど、さっきも言ったように、単純に女子との接し方が分からないだけだ。
免疫がないだけだ。
「まあまあ。そういうことにしといてあげよう」
あはは、と笑って何だかうやむやにされた。
何でそこをうやむやにする理由があるんだ。
まあ、別にいいけど。
「ふふ」
?
「やっぱり、変な奴だなーって思って」
変?
何が?
「今朝、恒星の話したの覚えてる?」
そりゃあ。今朝のことだし。
意味不明だったから逆に印象的だったし。
「あれね、君みたいだなーって思ったの」
恒星が?
「そう」
何処が?
「輝いてるとこ」
僕が?
「うん。君が」
何処が?
解らなかった。
何を言ってるのか。
何が言いたいのか。
朝より、ずっと難解な問題を僕は突きつけられている。
「君はね、私の恒星なの」
僕はやはり解らず、次の言葉を待った。
「私の隣の席で輝いてるの」
僕は次の言葉を待つ。
「私達って、この世界で一人ぼっちじゃない? 親も、友達も。本当に私のことを理解してる訳じゃないじゃない?」
紡がれる言葉を待つ。
「私達は、何時だって、何時までだって、一人ぼっちなの。ここに居ても、部活をしていても、ここに居なくても、転校しても」
君が紡ぐ言葉を待つ。
「私はこの一人ぼっちの世界がとっても嫌いだった。楽しくない訳じゃないよ。友達のこと大好きだし。親のことも好きだし。部活は楽しいし。授業のことは、たまに嫌いだけど」
うん。
「でも、君は違った」
僕が。
「そう。君は違った。君だけが違った」
僕が。
「いっつも、友達も笑ってる時も、ホームルームの後に寝たふりしてる時も、私と宿題を見せあってる時も、何時だって。君だけが違った」
「君は、世界を愛していて、そして世界に興味が無かった」
「何時だって、君の心は一人だった。独りきりだった」
「君は孤独だった」
「そして私はそんな君に憧れた」
……。
「世界を恐れない君に。独りを恐れない君に。私が嫌いなこんな一人ぼっちの世界を独りで愛している君に。私が嫌いなこんな一人ぼっちの世界に興味を持たない君に。とても、とてもとても強い君に、私は憧れた」
「そして、君は私の恒星になったの」
沈みかける恒星が、教室を夕闇で包んだ。
僕は君の顔が見えない。
君も僕の顔が見えない。
訪れた淡い黄昏。
君と僕の世界も朱色に染まる。
「君のことが好き」
「僕は」
【ストラトステラ】
ステラはひとつ 魔法をかけた
世界の誰にも 気付かれないように
「もしも、わたしが明日死んだら
すべての光が なくなってしまいますように」
「ステラ、君は多分 気づいてないだろうけどさ――」
あなたが嫌った世界も ぼくは愛してたよ
あなたはステラ ぼくはストラト
行き先なんて 何処にもないよ
触れあうたびに 悲しくなる理由は
いつだって、いつだって、知ってたはずさ
だから、さよなら
街は 街は 淡い黄昏
空は 空は 朱色に染まる
「ステラ!」
彼女は微かに笑い
祝福の鐘に 手を、かけた。
あなたはステラ ぼくはストラト
誰も知らない ストラとステラ
もしも彼女が 世界を愛していたら
そんなことを、そんなことを、考えていたよ
さいごにステラ 「君」がいたこと
確かめさせて 確かめさせて
闇のなかでも それだけでぼくは
なんとかね、なんとかね、笑えるはずだ
さようなら
―サヨナラ
夏休みがやってくる。
(fin)
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